歴史上、権力を持ちどんな願いも叶う立場にありながら、人格が伴わず自由奔放に権力を振りかざす王が沢山いたことだろう。裸の王様のイメージである。王程度ならまだよかっただろうに、今作の主人公の「かおちゃん」は全知全能の神であり余計にタチが悪い。

p14より引用 全知全能の神「かおちゃん」 見た目は普通の可愛い女性。
かおちゃんは全宇宙どころか平行宇宙も含めた全世界を統べる神であり、全ての宇宙の情報を知り自分の思うように世界を作り変える力を持っている。

p136より引用 様々な宇宙の報告を聞くことが「ご公儀」とのこと。

p116より引用 「友達が欲しい」という願いを叶えるため友達を創るかおちゃん。
そんな全知全能の神であるかおちゃんだが、「とっても退屈」(p17より引用)しているらしく、公儀をサボって人間界に遊びに行ったと自由気ままに行動する上、言動もコロコロ変わるため、配下は振り回されっぱなしである。失敗を犯した時間軸ごと切り取ったりと、神の力を使ってやりたい放題。スケールの大きい、愚君と言える。全知全能の神でありながら人格が伴っていないというのがアンバランスで面白い。

p115より引用 かおちゃんは非常に直情的。それに振り回される配下。

p88より引用 気に入らない時間軸の切除なども可能なよう。
そんなかおちゃんが恋に落ちたところから物語は始まる。しかも恋の相手は神などではなくただの人間である。名前は鮫島晃一(通称こうちゃん)。こうちゃんと一緒にいたいかおちゃんはあの手この手(神の力)を用いてこうちゃんと一緒になろうとする。だが、上手くいかない。全知全能の神の願いなのになんで?

p13より引用 鮫島晃一(こうちゃん)。かおちゃんの意中の相手。

p100より引用 すっかり恋する乙女のかおちゃん。神なのに。
作者である野田彩子の前作『わたしの宇宙』を読んだ方なら「鮫島晃一」の名前と容姿に覚えがあるだろう。それもそのはず、前作や他の野田彩子作品にも鮫島晃一は何度か登場している。スターシステムなのか。しかし、『わたしの宇宙』の中での鮫島晃一の役割は非常に特殊であった。漫画の登場人物が自分自身が漫画の登場人物であると自覚するという漫画メタ漫画でる『わたしの宇宙』の中で、鮫島晃一は意のままに世界を操る存在として登場し、思わせぶりな言葉を吐き退場していく。さながらメタの代弁者である。それでは、今回の鮫島晃一はどうなのか。

p128より引用 神の予想の外を行く鮫島晃一。何者なのか。
ここで一つの仮説を提唱したい。それは前作『わたしの宇宙』と今作の設定が部分的にリンクしている説である。そして鮫島晃一は「漫画のキャラクター」として作品内に配置されている、と私は予想する。鮫島晃一はスターシステムの登場人物の一人として、全知全能の神であるかおちゃんの恋愛の相手という役割を持って作品内に配置されている「キャラクター」ではないのか。「漫画のキャラクター」であるがゆえ、死んでも蘇るし、何度でもかおちゃんの目の前に現れる。鮫島晃一は自分がキャラクターであることを自覚しているが、自由奔放な神の相手という役割が嫌になっている。その結果が、「おれはただ、普通に生きて普通に死にたいだけだ。」「ひとつの社会に溶け込んで。」(p149より引用)というセリフに出てきているのではないか。そして、漫画の世界をかおちゃんは恐らく知覚できていない。全知全能の外側に、メタの世界が広がっている。
あくまで一つの仮説で多分間違っている。ただ、前作では一筋縄ではいかないメタ構造で読者を楽しませてくれた野田彩子なので、今作も予想の斜め上を行くストーリーを期待している。できれば、かおちゃんに幸あれ。
読んだ総数41冊。先月の100冊ごえからの落差は大きいが、まぁ通常営業はこれくらい。まぁこれを毎月でだいたい年間500冊ペース(既に464冊)。
先月一番面白かったのは『宇田川町で待っててよ。』。新刊じゃないけど。葛藤のあるBLで非常に好み。今月は他にもBLとか百合とかその辺に頑張って手を出した。『エトランゼ』シリーズとか『加藤さん』シリーズとか。元々恋愛物は好きで、BLも百合もまぁ根本は一緒なので、これからも色々挑戦していきたい。
連載作品の新刊で面白かったのは、『とんかつDJアゲ太郎』とか『ダンジョン飯』とか『リューシカ・リューシカ』とか『ちはやふる』あたり。安定。『私を連れて逃げて、お願い』は前の巻から非常に伸びた。良い。
新刊以外だと、『愛の時間』は素晴らしかった。いい漫画だった。キンドルのセールでたまたま買ったけど、こういう出会いも大事だなぁ。
以上。来月も良い漫画と出会えますように。
さつま@satsuma0122
『名前をつけて保存しますか?』読んだ。雁須磨子による家族を題材とした短編集。ホントにホントに、雁須磨子は今が全盛期だと思ってる。三話目の構成とか、ちょっと完璧じゃないですかね?もうほんとに、ここまで繊細な感情を描き切る手腕は他の漫画家にないよ。オススメ。皆、雁須磨子読もう。
2015/08/01 20:23:15
さつま@satsuma0122
『不思議なひと』読んだ。安藤ゆきのデビュー短編集。6年前なのか。少女漫画らしい絵柄と設定ながらも、画面作りとストーリーがユニーク。作品自体は少女漫画の枠の中に納まっているので、読んでいて甘酸っぱい感覚。この漫画家さんはすごいよ。新作も出たみたいなのでkindle化楽しみ。
2015/08/01 20:36:47
さつま@satsuma0122
『りとる・けいおす(2)』読んだ。女子小学生3人によるシュール気味ギャグ漫画、完結。打ち切りかー。個人的には絵柄ネタとか好きだったけど、なかなか評価は得られなかったみたい。作者さん自身は納得しているようなので次回作に期待。同じノリになりそうだけど。
2015/08/01 20:41:01
さつま@satsuma0122
『ユリ熊嵐(2)』読んだ。百合で熊で嵐の、ホントに変な漫画。2巻冒頭のストーリー紹介の文章の時点でもうわけわかんない。すごい設定だなー。支離滅裂とかではなくて、秩序のある変な漫画。この絵柄でこんな変な漫画描くのすごいなー。変な漫画読みたい人におすすめ。
2015/08/01 20:46:10
さつま@satsuma0122
『ディアティア』読んだ。楽園連載の高校生の恋愛物。ベーシックなストーリーによくある絵柄。特に特筆すべきとこなし。楽園は、あんな尖った漫画家も抱えてるのに、一方でこんなに悪く言えば無個性な漫画も連載してて、よくわからん雑誌だ。
2015/08/11 11:25:59
さつま@satsuma0122
『繋がる個体(1)』読んだ。30歳の冴えないおっさんが元カノ同僚とその妹の女子高生に好意を向けられる三角関係っぽい話。おっさんがフラフラしながら右往左往するのがモーニングらしい。絵が下手でもカラーページ貰えてるところもモーニングらしい。良くも悪くもおっさん向け。
2015/08/11 11:37:26
さつま@satsuma0122
『とんかつDJアゲ太郎(3)』読んだ。今一番面白いクラブカルチャー漫画。まさかのアニメ化。一見稚拙な絵柄だが、漫画としてはキャラクタやストーリー構成、演出が抜群でぐいぐい引き込んでくれる。騙されたと思って読んでみてほしい。オススメ。アニメはどんな形になるのか。
2015/08/11 11:45:28
さつま@satsuma0122
『進撃の巨人(17)』読んだ。人類側でのイザコザはこれにて一段落か。相変わらず展開の波が上手に制御されている。謎の回収を少しずつ、なおかつ確実に行うことで読者を離さない。しかし作画面では、ここ2、3巻、適切でないタイミングでの線の荒らさが目立つ。まぁお忙しいんだろうなぁ。
2015/08/11 12:01:19
さつま@satsuma0122
『その娘、武蔵(2)』読んだ。『千年万年りんごの子』の田中相によるバレーボール漫画。展開とか試合描写を無理にスポ根漫画っぽくしてるけど、わざわざ田中相が描く漫画かなぁと思う。そりゃ好きな題材描けば良いけど、勿体ないと感じてしまう。うーん、「静」の描写は好きなんだけどなぁ。
2015/08/11 15:06:03
さつま@satsuma0122
『ナイトメア・ファンク(3)』読んだ。相変わらず、激しい戦闘描写が際立つハードボイルドアクション漫画。コミカルな日常シーンとの対比が良い。キャラが増えて賑やかになってきたが、旧キャラの影が薄くならない。動かし方が上手。展開が遅いが、長期連載のためとポジティブにとらえておこう。
2015/08/11 15:18:00
さつま@satsuma0122
『帝一の國(11)』読んだ。生徒会長を目指すための学校戦争を描いたシリアスな笑い漫画も11巻目。展開はホントによく転がって、全く先が読めない。新キャラの台頭で沈みかけてる旧キャラがいるが、好きなキャラなので頑張ってほしい。どうなることやら。
2015/08/11 15:35:22
さつま@satsuma0122
『シュガーウォール(1)』読んだ。ちょっとミステリアスなラブストーリー。えらく電子書籍化が遅かったが、ようやく1巻がキンドル化。2巻で第1部は完結とのことだが、色々ばらまかれている面白い伏線はうまく回収できるのか。2巻も早くキンドル化してくれー。
2015/08/11 15:39:23
さつま@satsuma0122
『10ミニッツ メイド』読んだ。10分だけ現れるメイドが、なんてことない家事を通して呼び出した人の悩みを解決する短編集。家事という地味な題材ながら薀蓄は面白いし、起承転結はしっかりしているし中々読みやすかった。話を詰め込むためにコマ割りが色々工夫してあったのも印象的。
2015/08/11 15:47:07
さつま@satsuma0122
『カツカレーの日(1)』読んだ。西桐子による女性の婚活漫画。極端な登場人物がちょくちょく登場するが、やり過ぎて目につく。しかも非常にステレオタイプな極端さ。主要人物の設定もそうだけど、漫画のかなりの部分がイメージというか偏見で描かれている印象。まぁそれが西先生の漫画だけど。
2015/08/11 15:58:32
さつま@satsuma0122
『辺獄のシュヴェスタ(1)』読んだ。魔女狩りで母親を殺された少女の復讐劇。残酷な展開に躊躇がなくてよい。絶望的な劣勢からの逆転っていうのは最近よく見る展開な気がする。進撃しかり。流行ってるのかな。いかに説得力ある逆転劇を描いてくれるかが問題。今後に期待。
2015/08/11 17:35:41
さつま@satsuma0122
『わたしの小鳥先生(1)』読んだ。身長のちっさい新米教師とその教え子になった幼馴染の女子高生のラブストーリー。絵柄は4コマ漫画家にありがちな線が細くてすっきりした絵柄。安定はしている。ほんわかした雰囲気が魅力か。ストーリーはあんまりありません。
2015/08/11 17:47:44
さつま@satsuma0122
『こいのことば』読んだ。エロ漫画家、緑のルーペによる、エロ漫画家と女子中学生の一癖ある恋愛物。ストーリー重視のエロ漫画家さんっぽくて色々仕掛けがしてあるけど、ちょっと都合がよすぎるし展開のつなぎも悪くて乗り切れなかった。描きたいことが明確なのは良いと思った。
2015/08/11 18:00:00
さつま@satsuma0122
『のーぷろぶれむ家族(1)』読んだ。ラブドールを妻と思い込む男と、そんな父親のフォローに追われる子供達とその周辺の人々の話。出落ちのようなネタだが、父親の異常性を「家族の事情」としてクラスメイトに隠そうとする娘と、秘密を共有する男の子とのやりとりが強烈だった。続刊期待。
2015/08/11 18:02:41
さつま@satsuma0122
『パラダイス 新田章作品集』読んだ。『あそびあい』は読んでないけど、気になる漫画家さんではあるので作者買い。盛り上がるようで盛り上がらない、テーマがあるようでないようで、いかにもサブカルっぽい短編集だった。2話目が非常にあほらしくて良かった。ああいうワンアイディア大好き。
2015/08/11 18:13:00
さつま@satsuma0122
『宇田川町で待っててよ。』読んだ。女装物BL。むちゃくちゃ面白かった!基本的に恋愛物は好きなので、恋愛の過程が魅力的に描かれている作品はたとえBLだろうが百合だろうが面白く読めることに最近気づいた。性的マイノリティであることへの戸惑いなんかは良いスパイス。非常に良かった。オススメ
2015/08/11 18:43:08
さつま@satsuma0122
『愛の時間』読んだ。面白かった!セックスが怖い女とゲイの男の話。性別とかを飛び越えたラブストーリーで、派手な演出はないもののドラマチックな展開が良い。レズビアンの漫画家さんだからこそ、客観的な性への視点が持てるのかなぁ。祥伝社のセールでたまたま買ったけど当たりだった。オススメ。
2015/08/17 07:19:06
さつま@satsuma0122
『カプチーノ(3)』読んだ。完結。ハルタ連載なのに普通のラブコメ。多分、私の中の「普通」のハードルがかなり低いだけかもしれない。でもキャラクタがバカなだけで、ストーリーはベタだよなぁ。普通って何か考えさせられる。絵柄はハルタにありがちな森薫風味。ありがち過ぎる。
2015/08/17 20:01:20
さつま@satsuma0122
『ダンジョン飯(2)』読んだ。皆大好きダンジョン飯。相変わらず九井先生の空想力がそのまま紙面に落とし込められていて素晴らしい。キャラ配置も抜群だし、かといってキャラに頼りすぎない。オムニバス感も失われていない。かなり構想を練っての連載だったことを伺わせる。どんどん売れてほしい。
2015/08/17 20:09:56
さつま@satsuma0122
『新月を左に旋回』読んだ。久しぶりの衿沢漫画。思春期女子中学生の元にマスコットキャラ的な少女(正体フクロウ)がやってくる話なんだけど、描きたいのはやっぱり思春期の女の子だなぁ。最終話の先生のセリフは興味深いが、その内容は描ききれていたかというと疑問符。うーむ、難しい。
2015/08/17 21:02:02
さつま@satsuma0122
『シュガーウォール(2)』読んだ。ちょっと変なラブストーリー(多分)。一見面白そうなエピソードが各話ごとに並んでるけど、それぞれの話の繋がりがバラバラで、読んでてストレスを感じる。読みやすいというのが、私の漫画評価の初めにあるので、読みにくい漫画はそれだけで損してる気がある。
2015/08/18 23:22:02
さつま@satsuma0122
『500年の営み』読んだ。コールドスリープがメインギミックの近未来SF。時間の流れがダイナミックに進む構成は良い。SF設定の作り込みはまぁまぁ。ラブストーリーとしてBLである必然はないのでBL漫画で括るのは違和感。人間とアンドロイドの恋愛という要素の方がもっと強調されるべき。
2015/08/23 11:59:04
さつま@satsuma0122
『くも漫。』読んだ。風俗店舗内においてくも膜下出血で倒れた際の闘病記を描いたエッセイ漫画。くも膜下出血の症状や治療の様子は興味深い。ただ、それより何より、風俗で倒れたことを隠し通そうとする作者の必死さがコミカルだが、多分自分もそんな心理になるだろうなーと共感を誘う。絵は荒い。
2015/08/23 12:13:57
さつま@satsuma0122
『ジョジョリオン(10)』読んだ。サスペンスミステリな要素が強めのジョジョ第8部。今巻はまるまる1冊バトル。謎は少しずつ紐解かれてるが、まだまだ主人公チームを取り巻く状況は不透明で他の部とは違う雰囲気。誰が悪なのかが分かりにくいのも良いなぁ。まだまだ楽しませてくれる荒木先生。
2015/08/23 12:22:52
さつま@satsuma0122
『やわらかい。課長 起田総司(2)』読んだ。女性漫画家が描くED男が主人公のギャグ漫画。女性漫画家っていうかカレー沢薫。内容はいつものカレー沢漫画。題材がED男かオタク女か政治かどうかの違いのみ。いや、好きなんだけどさ。頑張ってる感はあるけど相変わらず絵は安定しない。
2015/08/27 23:15:42
さつま@satsuma0122
『リューシカ・リューシカ(10)』読んだ。空想好きな少女の日常物語、堂々完結!長すぎず短すぎず、ちょうどよいタイミングでのエンディングだったのではないでしょうか。後書きでの、作者とリューシカの変化がリンクしているという話は興味深かった。いい漫画でした。オススメ。
2015/08/27 23:19:31
さつま@satsuma0122
『あさがおと加瀬さん。』『おべんとうと加瀬さん。』読んだ。ピュア百合アンソロジー ひらりコミック。ピュア百合とかいう凄まじい新語。元気いっぱいの画面作りとキャラクターの落ち着きのなさが上手くマッチしていていい感じ。シチュエーションの作り方と構図もなかなか。いい百合漫画。
2015/08/27 23:24:09
さつま@satsuma0122
『海辺のエトランゼ』『春風のエトランゼ(1)』読んだ。 全編通してなんんだか爽やかな風が吹き抜けるBL。絵柄は繊細で背景の書き込みも凝っている。ストーリーはすんなり行かず、性別を超えた感情からBLに落とし込む過程が良かった。私の好きな、葛藤のあるBL。良いBL漫画。
2015/08/27 23:30:15
さつま@satsuma0122
『にゃん天堂(2)』読んだ。完結(打ち切り)。多彩なジャンルで活躍してるようで各所において個性を隠し切れていない漫画家、うさくんによるゲーム会社題材のギャグ漫画。ギャグの切れは悪くない。打ち切りになったからこそ、最後まで全力疾走できた感もある。うさくん好きは買っても損はない。
2015/08/27 23:35:33
さつま@satsuma0122
『恋のシャレード』読んだ。ルネッサンス吉田による教師と生徒の恋愛物。感性豊かな観察眼で繊細な感情を描きつつも、大筋はわかりやすくエンタメ性強い。ルネッサンス吉田なのに。わりと面白かった。ただ、がしがしした線が持ち味なのはわかるけど、キャラの指だけはシャープに描いてほしい。ガサガサ
2015/08/27 23:42:57
さつま@satsuma0122
『この世にただひとり』読んだ。百合アンソロジーひらり掲載のピュア百合短編集。直接の恋愛を描かず、恋が始まる土台までを描いてるのが印象的。登場人物は皆繊細で可憐。収録作品の中では連作短編の『少女アソート』がお気に入り。強欲な少女のキャラクタが良い。
2015/08/27 23:49:53
さつま@satsuma0122
『塩田先生と雨井ちゃん』読んだ。教師と生徒の恋愛物。積極的な癖に肝心なところでは初心な部分が露呈してしまう雨井ちゃんのリアクションが素晴らしい。pixiv発祥の作品らしく、物語の流れは荒削りなところもあるが、とりあえず描きたい題材を描いている感が良い。オススメ。
2015/09/01 21:58:19
さつま@satsuma0122
『ちはやふる(28)』読んだ。28巻でも勢いの衰えない競技かるた漫画。膨大なキャラクタを出しつつ、それぞれにエピソードを付けて全員活かす徹底ぶりは賛否両論ありそうだが、それども主要キャラが埋もれず目立つように演出してるので良いのかな。千早はやっぱりすごい。キャラが強い。
2015/09/01 22:04:59
さつま@satsuma0122
『富士山さんは思春期(7)』読んだ。実は時間が進んでいる高身長中学生女子フェチ漫画。富士山さんも素晴らしいキャラクタだけど、背伸びしたくて、でもまだまだ子供で、っていう上場も良い。上場萌え漫画でもある。絵に関して、静止画へのこだわりは巻を追うごとに強くなってきている気がする。
2015/09/01 22:10:17
さつま@satsuma0122
『響~小説家になる方法~(2)』読んだ。天才とはどんなものかを描こうとしている小説家題材の物語。意欲作ではあると思うが、納得できる天才像かと言われるとなぁ。ただのやばい人感はある。仕掛けは見事に引っかかりました。絵はもう少しなんとかならんのか。体型とか流石に素人目に不自然過ぎる。
2015/09/01 22:13:48
さつま@satsuma0122
『私を連れて逃げて、お願い(2)』読んだ。夢見る少女と空っぽ青年の逃避行。2巻ラストの話の二人の言葉まで、2冊使って持って行った。練りこまれたキャラ造形と物語構成。松田洋子らしい人情劇も交えつつ、徐々に閉塞感を漂わせる展開は素晴らしい。終わらせ方次第では傑作。どう畳むのか。
2015/09/01 22:20:12
さつま@satsuma0122
『猫背を伸ばして』読んだ。押切先生のエッセイ漫画。ハイスコアガール再開(予定)記念で読んでみた。押切クオリティ全開のネガティブ雰囲気であふれていて良かった。筆のような荒い線を使っての演出は、陰鬱な雰囲気を演出はしてるけどちょっと見にくい。あと、電子版の印刷が荒い。出版社の問題か。
2015/09/01 22:28:33
さつま@satsuma0122
『高杉さん家のおべんとう(10)』読んだ。完結。伏線のなかった久留里の就職先とか、急に久留里を意識し出す高杉くんとかやりたい放題だったけど、作者の描きたいように描き切ったんだろう。やり方次第でタイミングも間違えなければメディアミックスもあったろうに。とりあえず丸くは収まった。
2015/09/01 22:33:01
さつま@satsuma0122
『WEB版 WORKING!!(2)』読んだ。web版作画リテイクのファミレスコメディ。書き直してない話との絵柄の差も楽しめる2巻目。相変わらずバカ様と東田が付き合う展開とは思えんなー。志保とユータも。リアルタイムで追ってたあたりだからホント懐かしい。
2015/09/01 22:35:43
来月は多いなぁ。待ちに待ってた作品もちらほら。
09/04『4ジゲン(4)』(にざかな)
『B.B.JOKER』コンビによる、40か月ぶりの新刊。
あんなに原作者と作画の仲悪いのに細々と続いてるなあ。
kindleで11巻出たのが最近なのに、もう12巻出るのか。
刊行ペースはえー。
09/07『甘々と稲妻(5)』(雨隠 ギド)
ノスタルジックな雰囲気漂う女子高生日常物。
各話で雰囲気が違って、ちょっと空灰っぽい。
09/14『ヒナまつり(9)』(大武 政夫)
サイキッカーとヤクザによるギャグ漫画。
まさか9巻まで続くとは......
09/23『白馬のお嫁さん(2)』(庄司 創)
産める男子によるSFギャグラブコメ。
SF設定が非常にユニークで作りこまれていて良い。
09/25『WEB版 WORKING!!(3)』(高津 カリノ)
09/25『三月のライオン(11)』(羽海野 チカ)
衝撃のラストだった10巻からどう動いたか。
すげー楽しみだけど、多分電子版は同時発売じゃないな......
09/26『変身!(2)』(横山 旬)
ユニークな絵柄のドタバタコメディ。
いかにもビームらしい。灰汁の強い漫画。
09/27『孤独のグルメ(2)』(久住 昌之/谷口 ジロー)
隠れオタクOLによるオタク生態漫画。
刊行ペースはえーよー。
09/30『夕空のクライフイズム(6)』(手原 和憲)
独特のノリの高校サッカー物。
これも刊行ペースはえー。電子版同時に出してくれー。
漫画は日本においては最も裾野が広いメディアだと思われる。大手だけでも月刊1000冊程度の単行本が出版されており、加えてインターネット媒体の普及により表現の場はさらに広がっている。膨大な量の漫画が世に出て行っていることは、それだけ多様かつニッチなニーズに対応する作品が生み出されているということでもある。
ただ、ここで浮上してくる問題として、題材がマニアックなだけでは対象の顧客が手に取ってくれないことが上げられる。まず、根本的に作品の知名度が足らないこともあるだろうし、題材がどストライクだとしてもそれ以外の要素ではじかれる場合もある。少しでも多くの人の目に触れて、届いてほしい顧客へと知れ渡り、一定数の読者を確保しなければならない。さらには、興味がなかった層にも魅力を伝え、潜在的な顧客を増やしていく必要もある。そのためにも、手に取ってもらうための工夫が必要となる。
今回紹介する作品の題材は「爬虫類飼育」である。学習漫画のような丁寧な描写で爬虫類の生態や飼育方法について説明されている。爬虫類の造形に関する描写も、写実的な絵とキャラクタ化された絵がうまく使い分けられており、興味がない層にも爬虫類の魅力が伝わりやすいように工夫がなされている。

p30より引用 飼育描写は非常に丁寧。

p41より引用 おまけページ。作者が解説するのが学習漫画っぽい。

p90より引用 爬虫類を知らない人にも魅力的な造形描写。
ただ、爬虫類という題材、一定数の支持者は存在するだろうが、苦手な人はとことん苦手というジャンルと思われる。その苦手な層にも手に取ってもらうための工夫として登場するのが、表紙に描かれているヒロイン、由莉である。大人びて物怖じしない女子小学生という設定の彼女は、シャープな絵柄とキャラクタ造形がマッチして非常に魅力的に描かれている。

p20より引用 ヒロインの由莉。美少女小学生。
マニアックな題材の作品に美少女をセットで出してキャッチ―にしようとする試みは他の作品でも多数見受けられる。ただ、本作のユニークなところは、メインの題材と美少女を同列として扱い、さらには性癖として比較しながら描かれているところである。
本作の主人公である裕也は爬虫類性愛(オフィディシズム)である。爬虫類飼育漫画を描くだけなら、ただの爬虫類好きの青年でも設定上良かったはずだが、敢えて特殊性癖とした理由には、同じく特殊性癖であるロリコンと対比させる狙いがある。裕也はオフィディシズムを「特殊な性癖」(p6)と自覚しながら、「俺は俺自身にロリコンじゃないことを証明する!!」(p64)とロリコンであることは否定しようとする。爬虫類の交尾をビデオで撮りながら性的興奮を感じる描写がある一方で、由莉の姿を想像しながら自慰行為にふける場面もある。直接的な性描写を交えつつ、二つの性癖の間で板挟みになっている様子が対比的に描かれている。

p66より引用 由莉が性的に描かれる場面も多い。各話表紙とか。
対比の極め付けは本作のタイトル『マドンナはガラスケースの中』である。爬虫類と由莉、どちらも過度なスキンシップは禁止である。ガラスケースの中の存在であり、触れてはいけない対象でなければいけない。少なくとも裕也の中では、その線引きがされているはずである。
由莉も裕也に惹かれていっており、恐らく二人の恋愛物としても物語は進んでいくのであろう。その際に裕也が二つの性癖に対してどのように葛藤し、解決していくかが作品のキモとなる。作者の手腕に期待。

p158より引用 ここだけ見ると、普通の恋愛物っぽい
(あくまでオタクカルチャーの中において)ロリコンはメジャーなジャンルだが、爬虫類好き(もしくはオフィディシズム)は非常に少数派であろう。本作はマニアックな題材を扱う際により多くの顧客を獲得するため、メジャーな性癖とセットで売るというユニークな方法をとった。ニッチなジャンルを狙う漫画が話題だけで終わらずに継続的に売れるためには、題材だけに胡坐をかかずに、それ相応の工夫をし新規層を開拓する必要がある。