各世代を代表する不条理ギャグ漫画がある。『伝染るんです。』から始まり、『GOLDEN LUCKY』が続き、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』がジャンプというメジャー雑誌で連載されたことにより、一気に不条理ギャグが市民権を得るようになっていく。その後も、『ギャグマンガ日和』、『ボボボーボ・ボーボボ』、『日常』などなど新しい作品が次々誕生しており、どの時代でも一定の需要のあるジャンルとなっている。

 

 ところで、不条理ギャグとは何か。正確な定義は難しいのだが、ここでは便宜的に、読んでいる人間が「こんなやついるかよ!」と感じるのが普通のギャグ漫画、「なんだこいつ……」となるのが不条理ギャグ漫画、とする。不条理ギャグは読み手の思考の外からやってくる。自分の常識からかけ離れているからこそ、虚構の世界でのトリップを楽しむことが出来る。それこそ不条理ギャグの醍醐味だが、あまりに常識から離れると読者は着いていけなくなる。そこで登場するのが、「ツッコミ」という手法だ。

 

 ツッコミの役割は、常識外のトリップ真っ最中の読み手に、常識の位置を確認させることだ。常識側から繰り出されるツッコミは、読者の位置を相対的に明確にし、不条理だけが先行する事態を防ぐ。『マサルさん』が天下の週刊少年ジャンプの読者に受け入れられた要因の一つとして、フーミンというわかりやすいツッコミ役が存在し、不条理ギャグが独り歩きしなかったためだ。逆の例として、『GOLDEN LUCKY』などはツッコミが存在せず、読者はどんどん深いトリップにはまっていく(多くの人にとってはバッドトリップかもしれない)。

 

 今回取り上げる『ふうらい姉妹』は、美人姉妹がひき起こすエキセントリックな行動を描いた四コマ漫画である。一昔前の少女漫画を思わせる美麗な絵柄と不条理ギャグとのギャップもこの漫画の魅力の一つだが、注目すべきはツッコミだ。

 姉であるれい子の奇抜な行動、思考に対して、基本的には妹のしおりがツッコミを入れる。ただ、しおりに関しても、れい子よりは常識人ではあるが天然な思考の持ち主であり、話によっては姉に便乗してボケ続ける。ツッコミが入る場合と入らない場合があり、読者は常識外へ行ったり来たりを繰り返す。四コマだからこそできる、不条理ギャグの派生形だ。

この作品は、ツッコミという観点以外でも、不条理ギャグ漫画としてレベルが高い。姉妹の突飛な行動も、非常識具合が絶妙だ。不条理ギャグのニューウェーブとして、今後も注目していきたい。