音楽を題材にした漫画を読んでる時は
音の表現に苦労してるなぁといつも思う。
本作は音を視覚的に表現する説得力と画面の力がある。
本作の主人公は二人の男女だ。
1人は擦れた19歳の少年ヨタカ。
ギターと音楽と音楽喫茶『ライアーバード』だけを愛するという彼は、
それ以外の人間関係一切を無価値と割り切り
ただただ、 憧れの人であるライアーバードのマスターのギターをコピーしようと努力する。

本編1巻p. 25より引用。憧れのマスターのギターコピーだけを生きがいにする青年ヨタカ。
もう一方の主人公は、破天荒な性格の少女コト。
歯に衣着せぬ物言いで周りを困らせる。

本編1巻p. 90より引用。もう一人の主人公である破天荒な少女コト。
コトには、本作の物語を左右する特殊な能力がある。
それは、音が視覚で「視える」というものだ。
ヨタカのギターの音を花火と例えたり、ライブハウスでの演奏を「立体的」と表現する。
コト視点の音の表現が非常に緻密でダイナミックに描かれているのは本作の魅力の一つだ。

本編1巻p. 17より引用。 コト視点の世界は「音」で溢れている。日常生活に支障を来すレベル。

本編2巻p. 61より引用。ライブハウスでの音は「立体的」に視えるというコト。
そんな二人がライアーバードにて出会うところから物語が始まる。
出会った当初からいがみ合う二人だったが、
ある時、ヨタカは自分がどんなに努力しても出来ないマスターのギター演奏のコピーを
一度演奏を聴いただけのコトが完全にこなす様を見せつけられる。
音を五感で感じ取るコトは一度聞いた音を模倣する特技を持っているのである。

本編1巻p. 52,53より引用。コトによるマスターの演奏の完全なコピーを目の当たりにするヨタカ。
自分の人生の目的を軽々達成されてしまい打ちひしがれるヨタカ。
それをきっかけに彼は、本当は自分が何をしたかったのかを思い悩む。
自分にとってのギターとは何だ、音楽とは、ライアーバードは自分に何を与えてくれるのか。
不器用な生き方しかしてこなかった彼は自分のやりたい事探しに人一倍もがき苦しむ。

本編2巻p. 20,21より引用。自分の本当にやりたかったことがわからなくなり悩むヨタカ。
同時にコトも悩みを抱える。
音が「視える」ことが災いし、普通の人並みの仕事も行えないコト。
自由奔放で「なんでも欲しい」と訴える彼女だが、本当に欲しいものが自分でわからない。

本編1巻p. 149より引用。何でも欲しいと言いながら、何が一番欲しいかわからないコト。
そんな二人は、自分の持っていない物を相手が持っていることに気付く。
ヨタカはコトの、音を感じる耳とそれを自在に演奏する表現力を、
コトはヨタカの、音楽への情熱とひたむきな努力を羨む。
不器用な二人は自分の足りないところばかり見てしまう。

本編2巻p. 156より引用。コトの音楽の才能を羨むヨタカ。

本編2巻p. 36より引用。ヨタカの音楽に魅かれるコト。
そんな二人が一緒にライブをすることに。
コトが視る景色の中での音が合わさる描写もユニークだ。
楽器の演奏をコトの歌が弾き飛ばすような表現。
孤独で不器用な二人が合わさって新しい音を作り出す姿が
視覚的な表現でダイナミックに描かれる。

本編1巻p. 186,187より引用。ヨタカの演奏とコトの歌が合わさった描写。見開き2連発で大迫力。
2巻時点では、二人はお互いの足りない部分を補い合うという発想に至らずすれ違ったままだ。
今後、二人が協力し、どんな美しい音を読者に「視せて」くれるのか楽しみにしたい。

















