※注意
この記事中で扱う新人漫画家の定義は、
「2016年1月1日~2016年12月31日の間に
初商業コミックが発売になった漫画家(Amazon調べ)」
としています。ホントに新人漫画家か?という人もいますが、ご了承下さい。



年末ですので読んだ漫画まとめ記事第一弾。
ブログのタイトルに何故だか「ニューウェーブ」とか入っているので、
オススメの新人漫画家さんをまとめます。
上述したレギュレーションの「新人漫画家」の中で私がコミックを読んだのは計90人。
結構、努めて知らない漫画家さんに触れるようにしていたので結構頑張った感ある。

その中で特にオススメの漫画家さんを20人ピックアップします。
まぁあくまで個人的意見ですが、今後も注目していきたい漫画家さん達。
試し読みURLも貼っておきます。皆さんも気になったら是非コミックを買ってみて下さい。
若い才能に投資して、貢ぎましょう。 
 


高舛ナヲキ(『ジグソークーソー 空想地図研究会』)

試し読み
 
同人誌で発表していた同名作が商業連載となり、めでたくコミック発売となった
『ジグソークーソー』では、地図から情報を読み解き思い出の場所を探し出す
「地理ミステリ」というユニークなジャンルを確立した。
同人誌の電書自己出版なども行っており精力的な漫画家さん。



昭和初期の大学を舞台に、生き方の違う二人の青年の苦難と交流を描いた
『さよなら ハヰドランジア』をヒバナにて連載。
情熱の向かうところが見つからない若者たちの姿、
そして複雑な主人公の感情を上手くストーリーに絡ませて描いていて良い。



手品を披露しようとするも失敗ばっかりでポンコツだけど、
ダメなところが可愛い先輩を描いた『手品先輩』が今年一部で話題に。
キャラクタで勝負している作品だけど、ページ数ランダムでオチが付く
ユニークな構成で繰り広げられるギャグ自体もなかなかのキレ。



未来の宇宙のSF設定を土台にしたオムニバス、『宇宙のプロフィル』では、
一話完結という短いページの中で巧みに構成されたストーリーを魅せてくれた。
どんでん返しのある物語だと短編が合っているとは思うが、
次回作ではSFのアイディアを活かした長編を読んでみたい。



日中戦争直前の上海に引っ越してきた日本人の少女と現地の少年が、無邪気に交流
しながらも自分たちの立場の違いを少しずつ認識していく物語、『星間ブリッジ』を連載。
祖母の実体験を元に描かれたというエピソードや当時の上海町中の様子が
丁寧に描かれており、重い題材に対して誠実に取り組む姿に好感が持てる。



ハルノ晴(『僕らは自分のことばかり(1)』)

試し読み

高校を舞台に、才能を持った天才とその天才を見つめる凡人を題材とした
オムニバス、『僕らは自分のことばかり』をマガジンエッジにて連載。
様々な構図で凡人側から見た天才を描いていてアイディア豊富。
各話にスパイスとなる小道具があり、ワンパターンにならないように工夫されていて良い。



各路線の終電の守護霊的な存在の終電ちゃんを主人公に
終電にまつわる心温めるエピソードを描いた『終電ちゃん』をモーニングで連載。
敢えて描線の荒さを残した味のある絵柄と、萌えキャラみたいな見た目の終電ちゃん、
そしてゴリゴリの人情物語のミスマッチ感が心地よい。



今回のレギュレーションでは一応新人に該当するという
WEBシュール漫画界の鬼才、小林銅蟲先生がめでたく商業誌デビュー。
ご本人のブログ『パル』で公開されている異常な料理の数々にシュールエンタメ感を
付加して漫画に落とし込んだ『めしにしましょう』は個人的に今年のグルメ漫画では優勝。



ひらのりょう(『FANTASTIC WORLD』)

試し読み
 
地球の表層内側に広がる不思議な世界を舞台に、少年と変な生き物(なんと「歯」!)の
冒険を描いたファンタジー物語、『FANTASTIC WORLD』をトーチにて連載。
フルカラーの画面で作者の空想をそのまま落とし込んだような世界を疑似体験できる。
漫画家というかアーティストさん。アニメーションやイラストなど作品の発表形態も様々



高校の演劇部を退部した外れ者達が第二演劇部を新たに創設し、
元いた演劇部メンバーを見返すために奮闘する高校青春物『文豪アクト』を連載。
くっきりした力強い線で描かれる画面と真っすぐ活き活きと動き回るキャラクタ達に
パワーを感じる。情熱のこもった作品で素晴らしい。



魔法により人の傷を治す姉と動くぬいぐるみを創る弟、美しい双子の姉弟を描いた
ファンタジー作品、『ツインドルの箱庭』をとなりのヤングジャンプにて連載。
枠線までこだわった繊細かつフルカラーの作画が画面一杯に広がっていて絵本のよう。
独特の空気が漂う幻想的な世界観をお腹いっぱい楽しめる作品。



人々の欲望をくみ上げて魂を奪うのが仕事のはずなのに
ヘタレでビビりで全然ダメな悪魔を描いた『悪魔のメムメムちゃん』をジャンプ+で連載。
ダメ可愛いメムメムちゃんのキャラクタと若干のお色気要素、
お手本のようなテンポの良いギャグなど少年漫画のコメディとして高クオリティ。



妹を亡くした女性と妹の婚約者の男性、妹の幻影に苦しみながらも
魅かれ合う二人を描いた『春の呪い』は今年の話題作筆頭候補。
個性的な絵柄で太めの輪郭線とすらっとした人物の描き方、キャラクタの表情が良い。
2巻で完結したところも好感が持てる。無駄のない物語に仕上がっていた。



天使のような女の子と性悪召喚術士の男の子が主人公のドタバタコメディ、
『左門くんがサモナー』が少年ジャンプで連載中。
週刊連載にも関わらず作画とネタの安定感あって読んでいてストレスがない。
個性豊かなキャラクタ達を上手く束ねあげて活かしている手腕も素晴らしい。



やわらかい輪郭線で描かれる印象的な画面作りで、
「お盆」を境に生者と死者が混ざった世界を描いた『盆の国』をトーチにて連載。
ノスタルジックな雰囲気と一夏の冒険物語を1巻完結で描いた秀作。
イラストレーターとしても活躍。ツイッターで載せている料理漫画も美味しそう。



永田カビ(『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』、『一人交換日記』)

試し読み
 
生まれ育った家庭や漫画家としての挫折に思い悩み、人恋しさにもがき苦しむ作者の姿を
赤裸々に描いたエッセイ漫画、『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』がヒット。
自分の考え方を豊かな比喩表現や演出で分かりやすく表現している。
次回作もエッセイかなぁと思うけど、どんなフィクション描くかも気になる。



大気圏外から襲来する人類の敵、「蝶」に対抗するために作られた
人の心を持ったヒューマノイドの戦いを描いたハードSF、『鉄腕アダム』を連載中。
スタイリッシュな絵柄と現代の科学技術をバックグラウンドにしたSF設定が良い。
イラストレーターとしても活動していたりと多彩な漫画家さん。



氷に閉ざされた世界の中で、妹を殺された主人公が復讐のために立ち上がる
ダークファンタジー、『ファイアパンチ』は今年を代表する漫画の一つとなった。
展開が次々移っていき先の予想が出来ないジェットコースターなストーリーが魅力。
妙なこだわりがあるフェチな描写や間の抜けたギャグなんかもユニーク。



山本亜季(『HUMANITAS ヒューマニタス』)

試し読み
 
自分の運命に対して抗う様々な立場の人々が主人公の中編を集めたオムニバス、
『HUMANITAS ヒューマニタス』は上質なドキュメンタリーのような作品。
文化の違い、生まれた場所の違いなどあれど、力強く生きる人々の姿は美しい。
最後の話で少しだけ全体の総括が入るのも良い。読後感素晴らしい。



不死身の肉体を持っている死にたがりの女性と、その女性と共に暮らすために
女性を殺し続ける男の奇妙で儚い運命を描いた『兎が二匹』が全2巻で完結。
完全に物語として完成していた読み切り版の魅力を活かしつつ、
新しい物語としてセリフリメイクした手腕に脱帽。大傑作。 


最後に読んだ新人漫画家さん計90人分のリストを貼り付けておきます。
良い作品の読み漏らしも多々かと思うのでコメント等で教えて頂けると幸いです。

2016読んだ新人漫画家リスト_修正3