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多分、どのジャンルのオタクも似たような気質を持っている。


今回紹介するのは『怒りのロードショー』(マクレーン)。
映画オタクの男子高校生4人組が映画についての持論を展開する会話劇だ。
オタクは拘りが強い生き物なので会話もヒートアップしやすく、
そういう雰囲気を上手く描写した作品である。


ここで、『怒りのロードショー』の各シーンを
映画オタクから漫画オタクに置き換えてみたいと思う。
別ジャンルのオタクであっても気質は同じ。
考えていることもだいたい似たり寄ったりなものだったりする。


・「ライトな読者層の否定」

p5
p.5より引用。

読む量や見る量が増えるほど起こりがちな自惚れの典型例。
沢山知ってれば偉いわけじゃないし、楽しみ方も人それぞれ。



・「俳優ネタ」

p6
p.6より引用。

これは漫画オタクの会話には出てこないネタ。
アニメオタクなら声優で同じような会話が繰り広げられているのかも。



・「同じ俳優の他作品を見ていないことへの批判」

p11
p.11より引用。

本作内では俳優ネタだけど、漫画でいうと同作者の他作品の話かなぁ。
『孤独のグルメ』だけ見て谷口ジロー語ってるにようなものだろうか。



・「ネットでネタにされがちな作品を叩く」

p12
p.12より引用。

ネタ漫画はインパクトが大きいからネタにされがち。
本当に『カイジ』が好きだけど、ネタにされすぎて憤っているファンもいるはず。



・「やたらと作品にテーマ性を求める」

p13
p.13より引用。

文学的で純粋な表現として優れている作品が良いわけではない。
大衆的で娯楽的、わかりやすい作品も素晴らしいものだ。



・「同ジャンルの作品に詳しくないとそのジャンルについて語らせてくれない」

p27
p.27より引用。

野球漫画とか音楽物とかにありがち。
漫画は一作読むのに時間と金がかかるから網羅するの難しい。



・「ジャンルの区分に厳しい」

p31
p.31より引用。

「スポーツ漫画は現実路線しか認めない」とか(ちょっと違うかも)。
いいじゃないの。トンデモスポーツ漫画も。



・「作中の固有名詞を使いたがる」

p37
p.37より引用。

呪文やら技の名前、言葉使いをやたらと日常生活でも使いたがる。
日常生活というよりも、最近はSNSとかの方がその傾向強いか。



・「作品の内容を忘れる」

p39
p.39より引用。

これは受け手側のオタクの永遠のテーマでもある。
記憶を維持するのはなかなか難しい。ディテールなんてすぐ忘れる。



・「映画監督ネタ」

p52
p.52より引用。

上述した「俳優ネタ」と被るが、これも漫画で言うと作者かなぁ。
もしくは漫画の場合は「雑誌ネタ」があるかもしれない。もしくは「出版社ネタ」。



・「古い作品の画面表現への批判」

p75
p.75より引用。

漫画でも、一昔前の絵柄だからといって手が伸びなかったりはよくある。
案外慣れれば気にならなかったりするのも共通事項か。



・「キャラクタファン」

p83
p.83より引用。

漫画は映画よりもキャラクタの重要度が高くなりがちで、この系統のファンも多い。
腐女子の方々なんかはまさにそれ。楽しみ方は人それぞれ。



・「同作者の作品を全部見てるかどうか」

p89
p.89より引用。

ベテランの漫画家さんとかになると、全作品の網羅は難しくなってくる。
漫画だと絶版なんかも障害に。映画でも手に入れにくくなるのかな。



・「超有名作品は意外と見られていない」

p90
p.90より引用。

有名過ぎて逆に見られていない作品は漫画でも結構あるはず。
『タッチ』とか『めぞん一刻』とか、皆知ってるけど読んでる人少ない。アニメの影響強いけど。



・「あげく見てないのに批判しだす」

p95
p.95より引用。

ネットの書評とかで満足した人にありがち。
流石に批評は読んでからしましょう。



・「アホアホ作品大好き」

p121
p.121より引用。

どのメディアにおいても突き抜けたアホアホ作品は一定の支持を得る。
ネタ漫画って定義に近い。『テニスの王子様』やら『バキ』やら。



・「ヒット作に対しての、底が浅い、という批判」

p123
p.123より引用。

「このマンガがすごい!」のランキング批判してる人なんかにありがちなパターン。
まぁ漫画の場合、奇抜なアイディアがヒットに結びつく場合もあるから一概には否定できないけど。

ただまぁ、

p128
p.128より引用。

色んな作品を面白く感じれる感性持ってた方が楽しめる範囲が広がっていいと思う。



・「他ジャンルのオタク批判」

p161
p.161より引用。

憎しみしか生まない行為なのでやめましょう。
オタクは皆オタクです。仲よくしよう。



・「シリーズの最強キャラ論争」

p173
p.173より引用。

長期連載のジャンプ漫画にありがち。
この辺の話題で熱くなっちゃうあたりがオタクの真骨頂。



・「にわか映画通、という決めつけ」

p204
p.204より引用。

過去の名作を好きだと言うと貼られがちなレッテル。
ただ、漫画の場合は名作はだいたいメディアミックス済みなので、
こういう批判はサブカル畑とかに向けられがち。



・「楽しみ方の決めつけ」

p206
p.206より引用。

受け手によって作品の感じ方は十人十色。
『シグルイ』がギャグかバイオレンスか人間ドラマか、意見色々である。



・「完全版」

p213
p.213より引用。

漫画でも「完全版」や「復刻版」はヒット作ではよくある。
おまけや加筆修正が入ったりと、「愛」が追加される場合も多い。



・「ネット評は認めない派」

p214
p.214より引用。

情報のノイズが多すぎて嫌われがちなネット評。
ただ、参考になる場合も多い。使い方次第。


以上。
長々まとめたが、案の定、映画オタクも漫画オタクも同じようなこと考えている。
多分、アニメオタクもミステリオタクもゲームオタクも鉄オタでも、
拘り強い人はオタク気質であり、この作品に共感できるところはあるだろう。
オタクの特徴をよく捉えた作品である。


怒りのロードショー<怒りのロードショー>
マクレーン
KADOKAWA / エンターブレイン
2017-01-30