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1月読んだ漫画をまとめましょう。 
先に投稿した『2018.1_読んだ新人漫画家まとめ』とは別物です。
新人に限らず、読んだ漫画のまとめ。

1月に読んだ漫画は57冊。紙の本はゼロ。全部電書。
新刊に限るとその数字だけど、『それでも町は廻っている』(石黒正数)全16巻を一気に読み返したりと、大変漫画充した1月でした。

続いて、特に面白かった作品をいくつかピックアップ。
まずは、1月発売だった作品から。


・『甘々と稲妻(10)』(雨隠ギド)

父親と娘と女子高生、料理を通して繋がる3人の絆を描く家庭料理ホームドラマ。
少女二人の成長や変化をきっちり描いており読者は子供を見守る親のような気分になれる。


・『LIMBO THE KING(3)』(田中相)

謎の奇病「眠り病」に、患者の精神に潜り込んで治療する二人の男を描くSFサスペンス。
主人公達の個性のぶつかり合い認め合っていく描写が丁寧でバディ物として素晴らしい。


・『水上悟志短編朱「放浪世界」』(水上悟志)

WEBで公開された際に話題を呼んだSF中編『虚無をゆく』を含む、水上悟志の短編集。
ワンアイディアから広がる短編の楽しさが詰まっている。特に『虚無をゆく』は大傑作。


・『二本松兄妹と木造渓谷の冒険』(水上悟志)

怪異絡みの仕事を請け負う「拝み屋」兄妹の冒険を描いた単巻完結のファンタジー作品。
濃いキャラクタやアクロバティックなストーリーがギュッと一冊に詰め込まれている。


・『彼女は宇宙一』(谷口菜津子)

自称「宇宙人」の変な女に振り回される男子を描いた表題作含む短編集。
瑞々しい特徴的な絵柄で描かれる女性達は、それぞれ個性的で現実にいそうな生々しさ。


・『凪のお暇(3)』(コナリミサト)

空気を読み過ぎる自分に嫌気がさし、仕事も辞めて人間関係も切った女性を描く物語。
主人公の精神的自立についての描写が濃くなった。一筋縄にはいかない展開でドキドキ。


・『うたかたダイアログ(2)』(稲井カオル)

同じバイト先で働く高校生男女の軽快な会話劇を描いたコメディ。
主人公二人のキャラクタががっちりかみ合ってボケツッコミのサイクルがテンポよく回る。


・『恋文-山本崇一朗短編集-』(山本崇一朗)

『からかい上手の高木さん』などの原型になった短編含む、山本崇一朗先生の作品集。
読みやすい画面とコマ割りはどの作品にも共通しており素晴らしい。


・『ロマンチック-山本崇一朗(裏)短編集-』(山本崇一朗)

IKKI投稿作品など、現在とかなり雰囲気の違う山本先生の初期作品が楽しめる短編集。
荒削りな作品も多いけど、作家さんの試行錯誤がわかるこういう初期短編集は興味深い。


・『バスルームのペペン(1)』(川西ノブヒロ)

人間と一緒に住むことになったペンギンのようなカッパを主人公にした妖怪コメディ。
前作『いい百鬼夜行』の流れを汲んで、ほっこり優しい作品に仕上がっている。


・『ニコラのおゆるり魔界紀行(1)』(宮永麻也)

魔族が住む魔界に迷い込んだ人間の少女の呑気な冒険を描いたファンタジー作品。
メルヘンでキュートな絵柄と題材がマッチしている。キャラクタ達の設定や造形も可愛い。


・『ぶっきんぐ!!(1)』(美代マチ子)

廃業しかけの個人書店で働くことになった、突っ走り気味な熱血少女を描いた本屋物。
一人のキャラクタの影響で周りの人々に血が巡っていく展開好きだなぁ。


・『猫村博士の宇宙旅行』(杉谷庄吾〔人間プラモ〕)

天才博士が太陽系から銀河を飛び越えて宇宙中を旅する単巻完結SFアドベンチャー。
未知の展開と驚きに溢れた、『ポンポさん』とは別ベクトルで楽しい作品だった。


・『二匹目の金魚』(panpanya)

ノスタルジックな背景と屁理屈を具現化したような世界観が特徴的な短編集。
何気ない日常から派生したヘンテコ世界は作者の思考を漫画にそのまま投影した雰囲気。


以上が、1月発売の作品で面白かったもの。
一番良かったのは『水上悟志短編朱「放浪世界」』(水上悟志)
収録作品どれも粒ぞろいだけど、SF中編『虚無をゆく』のクオリティが圧巻。
水上悟志先生が渾身の力で描いた74ページ、漫画好きならマスト読み。


続いては、1月発売じゃないけど面白かった作品。


・『ハヴ・ア・グレイト・サンデー(1)』(オノ・ナツメ)

老作家と息子、娘婿の3人の毎週末の会合を描く日常物。
オノナツメ先生の描く余裕のある大人はカッコいい。ゆっくりとした時間の使い方も素敵。


・『ジャガーン(3)』(金城宗幸/にしだけんすけ)

人の欲望が増大して生まれた「懐人」の力を得た主人公を描くパニックヒーロー物。
ストーリーもキャラクタも画面も、わかりやすいカタルシスを意識して描かれている。


・『違国日記(1)』(ヤマシタトモコ)

天涯孤独となった少女とその叔母で人見知りな女性、二人の新しい生活を描いた作品。
コミュニケーションの難しさに焦点を置いた描写と本作の題材が綺麗にマッチしている。


・『あやつき(3)(完)』(寺田亜太朗)

妖怪と同化した男子高校生4人が、妖怪の特殊能力を活かして人助けをする物語の完結巻。
細部の拙さは目立つものの、描きたい物語の力強さが伝わってくる良い作品だった。


・『男爵にふさわしい銀河旅行(1)』(速水螺旋人)

貧乏だけどプライドはいっちょ前な貴族が理想の花嫁を探して銀河を旅するファンタジー。
奇想天外なアイディアたっぷりに描かれる各星の文化や住人達の様子が素晴らしい。