2018上期まとめ_圧縮版

2018年上半期まとめ記事、全3つ中の1つ目。好きだった表紙まとめ。

 私は4年ほど前から完全に電子書籍に移行しており、紙の漫画を手に取る機会も少なくなりました。装丁の美しさという点においては、電書は紙の本には絶対に叶わないのですが、漫画の表紙デザインは引き続き重要な要素となってくるかと思います。下に示す図はkindleのコミックストア(PC版)のスクリーンショットですが、漫画表紙がずらっと並びます。日々大量の漫画が発刊され、過去作も膨大な量がある中で、読者に手に取ってもらうためには印象的な表紙デザインが今後も必要になると考えています。

スクリーンショット (136)
kindleコミックストアのスクリーンショット。漫画表紙が雑然と並ぶ。

 本記事では2018年上半期に私が読んだ400冊強の漫画の中で、特に表紙デザインが好きだったものを20作品ピックアップしました(順番はだいたい発売月順)。漫画選びの参考にして頂けますと幸い。皆さんも好きな表紙デザインについて一度考えてみましょう。


『彼女は宇宙一』(谷口菜津子)

自称「宇宙人」の変な女に振り回される男子を描いた表題作含む短編集。
女性の顔のアップと画面一杯に撒き散らされる大粒の涙が強烈なインパクトがある。


『ニコラのおゆるり魔界紀行(1)』(宮永麻也)

魔族が住む魔界に迷い込んだ人間の少女の呑気な冒険を描いたファンタジー作品。
少女が魔界を旅する雰囲気がうまく表現されている。縫ったようなフォントもユニーク。


『欅姉妹の四季(1)』(大槻一翔)

バラバラの個性を持った4姉妹の賑やかな日常を描いた作品。
それぞれの個性を躍動感ある動きも交えつつ一つの画面に上手く収めておりお見事。


『月曜日の友達(2)(完)』(阿部共実)

中学生になり変わっていく周囲に戸惑う少女と変わり者の少年を描いた作品の完結巻。
タイトルや作者名は最小限に留め、幻想来な作品の雰囲気を前面に押し出した美しい画面。


5発の銃弾と拳銃を手に入れた6人の女子高生が殺したい相手について思いを馳せる物語。
少女達の性格が伝わってくる上手い構図。弾丸に撃ち抜かれているフォントも面白い。


18世紀のチベットを舞台に、薬草好きな少年と彼の婚約者の少女との日常を描いた作品。
刺繍のような外枠と温かい配色に作品の雰囲気が投影されている。タイトルの配置も大胆。


『雨天の盆栽(2)』(つるかめ)

盆栽を愛する女子高生を中心に結成された盆栽部を舞台にした作品。
情報量の多い画面の中で少女3人の存在感がビシッと際立っているのが巧み。


『ニッケルオデオン』以来3年半ぶりとなる道満晴明ショートショートの新作。
死を感じさせる作品が多い中で葬式のような背景の模様が何とも皮肉めいている。


『無限大の日々』(八木ナガハル)

作者がコミティアで発表していた作品を集めたハードSF短編集。
壮大な未知の世界が広がっていることを連想させる一枚絵の迫力が強い。


『狭い世界のアイデンティティー(2)』(押切蓮介)

暴力に支配された漫画業界を描いたトンデモ出版業界バトル物。
黒い背景にまがまがしい赤いフォント、不敵にほほ笑む人物と本作の雰囲気がよく伝わる。


人間の父親を捜して人間の世界を訪れる妖怪三兄弟を描いた表題作を含む短編集。
三段に色分けされた背景の中を歩く黒い服を着た3人という配色のセンスが良い。


『いそあそび(1)』(佐藤宏海)

プライドは捨ててない没落社長令嬢を主人公に海辺の田舎町の魅力を描いた作品。
水中から覗いているような構図で近く魚達のピントを外す演出もユニーク。


周りには内緒で付き合っている高校生女子二人のささやかな交流を描いた百合漫画。
白い背景に主人公二人のシンプルな画面。タイトルフォントの爽やかな印象が際立つ。


『みやこ美人夜話』(須藤佑実)

京都を舞台に一筋縄ではいかない京女達を描く短編集。
京都っぽい背景の中に佇む艶やかながらも芯の強そうな女性の姿が美しい。


『メタモルフォーゼの縁側(1)』(鶴谷香央理)

75歳にしてBL漫画にハマった老婦人とBL好き女子高生との交流を描いた作品。
縁側にて読書に勤しむ老人と若者という画面から作品のテーマが良く伝わってくる。


『星明かりグラフィクス(2)』(山本和音)

人付き合いが苦手な美大生と人脈作りが得意なその友人というコンビを描く美大物語。
前面に主人公二人、後面に美大学祭の喧騒、と二段構造になった構図がユニーク。


『町田くんの世界(7)(完)』(安藤ゆき)

他人のことをが好きで周りからも愛されている男子高校生を描いた物語の完結巻。
慈しむような優しい笑顔を向ける町田くんの表情はこの作品の最終巻表紙にふさわしい。


『みっちゃんとアルバート(1)』(森長あやみ)

ゆるキャラのようなクマっぽい宇宙人と同居する女子大生との掛け合くコメディ4コマ。
中身は日常ギャグだけどロードムービーのようなカッコいい表紙というギャップが良い。


『あげくの果てのカノン(5)(完)』(米代恭)

ある男性を病的に愛している女性と特異体質を持つその男性とのSFラブストーリー。
1巻から見ていくとストーリー性のある表紙群。晴れた空と人物がいなくなった最終巻。


『古見さんは、コミュ症です。(9)』(オダトモヒト)

ものすごい美少女だけど極端に人との交流が苦手な主人公を中心としたキャラコメディ。
少女の立ち振る舞いの美しさと外野の賑やかさという本作の雰囲気が良く表れた画面。