漫画情報を集めるには漫画に詳しい人と一緒に本屋に行くのが一番で、そんな体験をオンラインで出来ないかなぁという話です。

 出版不況の中にも関わらず漫画の新刊発行点数は増え続けているそうで、2014年は年間約12,000点の新刊漫画が発売されている(データ引用元:『コミックの市場とフリー』https://shimirubon.jp/columns/1674596)。とにかく漫画業界は裾野が広い。同人誌や個人出版なんかも含めると更に数は増える。読者はそんな中から自分に合った漫画を探し出さなければいけない。
 そんな中で、読者と未知の作品との「出会いの場」が必要とされている。以前は漫画雑誌がその役割を果たしていた部分もあったが、雑誌廃刊が相次ぐ昨今、その力は弱まりつつある。また書店での新しい作品との出会いというのも、今後は主流ではなくなっていくであろう。
 現状、「出会いの場」の機能を担っている場所の例をあげると、(1)SNS、(2)ウェブマガジンやアプリ、(3)賞レース、などがあげられる。各サービスに対する私なりの簡単な解釈は下記の通り。

 (1)SNS
 膨大な情報量と強力な拡散力、即時性があり、今後(もう既に?)主流になっていくであろう「出会いの場」だ。ページ切り抜き画像や試し読みページへの誘導などで自分のアンテナに引っかかる作品かどうかをすぐに確かめることができる。欠点としては、情報にノイズが多く自分の欲しい情報を取捨選択することが容易ではないことがあげられる。

 (2)ウェブマガジンやアプリ
 出版社にとっては雑誌に代わる存在であろう。定期的な連載作品の更新などはまさに雑誌そのままで、雑誌のビジネスモデルをそのまま持ってきたいという出版社の姿勢が見て取れる。欠点として、出会える作品の選択肢が狭いことがある。現状は基本的に出版社ごとにサービスを展開しているため、一つのサービスだけ使っていたのではその出版社の作品しか読めない。複数サービスの使い分けは大変わずらわしい。

 (3)賞レース
 『このマンガがすごい!』や『マンガ大賞』などを指す。各レース年1回の発表ながら、そこで話題に上がった作品を参考に漫画を購入する読者も多いはずだ。断続的に情報が得られる場ではないが、ノイズがそぎ落とされた純度の高い情報源としては優秀である。

 どの情報収集方法も一長一短であり、各人にあった使い分けが必要となる。

 ただ、最も効率的で強力な漫画情報収集の方法として個人的にオススメしたいものがある。それは、「自分と趣味が近い漫画に詳しい人と本屋に行く」ことである。本屋を歩きながら、新刊棚、各出版社棚、作家別棚や書店員オススメ棚を順に巡る。お互いに読んでいる作品についての感想を述べ合いながら相手の趣味傾向を探り、そして相手が未読の作品を薦めていく、という「本屋徘徊」が最もピンポイントに自分に合った漫画の情報を得られると私は考えている。また一般的に、漫画好きは自分の好きな作品を布教したい生き物である(諸説あり)。布教の機会が与えられるのであれば、本屋だろうとオフ会だろうと、ホイホイ出向いてくれるであろう。

 ただ、悲しいことに本屋の数が減っていく時代である。また、地方在住などで、漫画に詳しい人と巡り合えない人もいるだろう。オンラインで「漫画に詳しい人と本屋に行く」体験ができるサービスが欲しいのだ。

 現状で最も近い体験ができるのは、「SNSで漫画に詳しい人と知り合いになる」ということであろう。何より重要なのは、自分と趣味の合う漫画に詳しい人のSNSアカウントを見つけることだ。そこが一番難しい工程であるが、それさえ見つけてしまえば、後は交流を図り相互フォローで仲良くなるのも良いし、相手が読書記録を積極的に発信する人ならばそれをフォローするだけでも十分な情報を得ることができる。

 ただ、個人的には「AIが勝手に自分の漫画趣味を分析してドンドン未読漫画を薦めてくれるサービス」があればいいなぁと思っている。Amazonで買い物した後なんかに出てくる、「あなたにオススメの商品」の精度を向上させたイメージだ。Amazonの既存システムでは、恐らく「出版社、雑誌、作家、他の人の購買傾向」などを分類してオススメをピックアップしているのだろう。更に制度をあげるためには作品の内容まで踏み込んだ分類、評価が必要になってくると思われる(漫画の定性、定量評価については、そのうち別記事であげたいので今回はさらっと流します)。

まとめ
 漫画が過剰供給される昨今、漫画好きが求めているのは「ほっといても自分好みの漫画情報が勝手に入ってくるシステム」だろう。各人がSNSでコツコツと情報を集めるのも良いが、私としては出版社などの企業からそのようなシステムを開発、提供してもらいたい。漫画を探す手間が減り、沢山の人がより漫画を楽しみやすいサービスの提供が、漫画業界の縮小を押しとどめるキーになるのでは、と私は考えている。