【テーマ別】ナレーションが特徴的なコメディ

 テーマ別漫画紹介記事の第4弾。

 漫画のナレーション演出といえば、『カイジ』シリーズで有名な福本伸行作品や『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)のキメラアント編、『シグルイ』(南條範夫/山口貴由)なんかのシリアス系漫画にて多様されている印象が強いです。第三者の目線としてナレーションを入れることで、キャラクタ達のやり取りを説明臭くしないまま、設定の詳細などを読者に示すために有効なテクニックかと思われます。

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『賭博黙示録カイジ(1)』より引用。状況説明のためにナレーション演出。

 そんなナレーション演出がコメディ作品に使われている例もちょくちょく見かけます。意図としては、(1)第三者目線介入による展開回し、(2)キャラクタ心理の代弁、(3)シリアス作品と同様に設定の説明、などが考えられます。キャラクタの掛け合いや派手な展開でワンパターンになりがちなコメディ作品において、ナレーション演出を入れることでペースが変わってテンポが良くなる印象を受けます。上手く使っている作品には読みやすいものが多いです。コメディにおいてストレスなく読みやすいことは本当に重要です。
 そんなナレーション演出を上手く使っているコメディ作品のオススメを5作ほどご紹介します。ラブだったり、ギャグだったり、はたまた下ネタ、とコメディといっても様々ですが、どれもオススメですのでご興味あれば是非読んでみて下さい。


『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(赤坂アカ)(既刊10巻)

相手から告らせようと躍起になる両想いの高校生男女を描くラブコメディ。
ナレーション演出で心理戦(?)を盛り上げるユニークなスタイル。

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『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜(1)』より引用。ナレーションが心理戦を演出。


『古見さんは、コミュ症です。』(オダトモヒト)(既刊9巻)

完璧超人のようでコミュ障な主人公とその周りの個性的な人々を描くラブコメディ。
一言も喋らない主人公の心理を補足するようにナレーション演出が多様される。

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『古見さんは、コミュ症です。(1)』より引用。主人公の心情をナレーションで補足。


『保安官エヴァンスの嘘』(栗山ミヅキ)(既刊4巻)

モテたいくせにスカしてチャンスを逃す保安官を主人公にした西部劇コメディ。
ツッコミに近い役割を担う冷静なナレーション演出のテンポが良い。

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『保安官エヴァンスの嘘(1)』より引用。ナレーションによるツッコミでテンポが良い。


『快楽ヒストリエ』(火鳥)(既刊1巻)

歴史上の人物や出来事に無理矢理エロマンガを絡ませて描かれる非エロバカコメディ。
歴史上の人物をエロマンガにこじつけるためのナレーション演出がアホらしくて好き。

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『快楽ヒストリエ』より引用。アホ世界観を説明するためのナレーション演出。


『金剛寺さんは面倒臭い』(とよ田みのる)(既刊2巻)

頑固過ぎる面倒臭い女子と誠実な鬼男子を描くジェットコースターラブコメディ。
トゲトゲの吹き出しで喋るハイテンションなナレーションは本作の大きな特徴の一つ。

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『金剛寺さんは面倒臭い(1)』より引用。テンションが高過ぎるナレーション。