
テーマ別漫画紹介記事の第5弾。今回はふわっと広いテーマ設定。
企業の採用活動の中でよく聞かれる「ダイバーシティ(多様性)(diversity)」という言葉、意味は下記の通り。
1 多様性。相違点。
2 企業で、人種・国籍・性・年齢を問わずに人材を活用すること。こうすることで、ビジネス環境の変化に柔軟、迅速に対応できると考えられている。
(デジタル大辞泉より引用)企業においては「ダイバーシティ」は上記2の意味で用いられ、主に障害者や女性、外国人、高齢者の雇用拡大を掲げる際に使われていますが、その3つ以外にも、言語、宗教、思想、ライフスタイル、など様々な「多様性」を指す意味が含まれている言葉です。また、企業だけでなく、社会全体においてもダイバーシティの重要性が度々取り沙汰される時代となっています。
昨今の漫画業界においても、セクシャルマイノリティ物を中心にダイバーシティを意識した作品が沢山発表されています。そこで、今年コミックが発売された漫画の中でダイバーシティを取り上げたオススメ作品を10作紹介します。ダイバーシティがメインテーマでない作品もありますが、どれも読んでて多様性を意識させられる内容になっています。簡単なあらすじとどのような観点からダイバーシティを描いているかの簡単な解説も併記しますので、気になる作品がありましたら是非手に取ってみて下さい。
『サトコとナダ(1)~(3)(最終4巻12月発売)』(ユペチカ/西森マリー)
日本人とサウジアラビア人、二人の女子大学生を主人公にした国際交流物語。
国籍も宗教も思想が全く違う人々の交流とそれらを超えた友情が描かれている。
『アスペル・カノジョ(1)(2)(連載中)』(萩本創八/森田蓮次)
同人描きの男のもとに突然転がり込んできたアスペルガー症候群の女性を描いた作品。
彼女の思考がロジカルに説明されており症状を持つ人々への理解と共感を促す構成。
『青のフラッグ(1)~(5)(連載中)』(KAITO)
一筋縄ではいかない高校生男女の関係を描いた青春物語。
LGBTs物という枠を飛び出し男女関係の価値観の多様性までテーマは広がっている。
『しまなみ誰そ彼(1)~(4)(完結)』(鎌谷悠希)
性自認を容認できない少年を主人公にLGBTsの人々が集まる「談話室」を舞台にした物語。
年代も性自認も様々な人々の苦悩と願いを力強いメッセージと共に描き切っている。
『ほしとんで(1)(連載中)』(本田)
芸術学部の俳句ゼミに配属された小説好きの青年とゼミ仲間達が主人公の俳句コメディ。
「学び」に置いてどんな人々も平等に扱われる大学という空間の魅力が描かれている。
『の、ような。(1)(連載中)』(麻生海)
二人の少年を引き取ることになった30代女性と恋人の男性との生活を描いた物語。
結婚を選択しない主人公の姿など、多様な生き方を肯定する雰囲気が伝わってくる。
『ブルーピリオド(1)~(3)(連載中)』(山口つばさ)
美術に関心がなかった主人公が絵を描く楽しさに目覚め高校2年生から芸大を目指す物語。
変わっていることが当たり前な美大志望者の描き方が新鮮で理想的な姿のように思える。
『プリンセスメゾン(1)~(5)(最終6巻1月発売)』(池辺葵)
理想の住居を探したり購入した部屋での自由を謳歌する独身女性達を描いた物語。
世間体や見栄に縛られず、やりたいことを選択する生き方が作品を通して提案されている。
『メタモルフォーゼの縁側(1)(2)(連載中)』(鶴谷香央理)
75歳にしてBL漫画にハマった老婦人とBL好き女子高生との交流を描いた作品。
高齢になっても新しいことに挑戦し自由で豊かな生活を送る姿に新しい時代を感じる。
『ニューヨークで考え中(1)(2)(連載中)』(近藤聡乃)
ニューヨーク在住のアーティストが描く日常エッセイ。
海外の暮らしが庶民的な視点で描かれておりその生活に対して親近感が湧く。