
2018年の読んだ漫画まとめ記事、その4。2018年に完結巻が出た作品紹介。
2018年に完結巻が出た作品で(単巻完結のものは除く)私は読んだ作品は全部で66作品、綺麗なラストもあれば打ち切りっぽい幕切れの作品もありましたが、分け隔てなく全作を紹介します。そして作者さんの次回作への応援にもなりますし、気になった作品は是非買いましょう。
(紹介はだいたい発売日順)
『バンデット』(河部真道)(全6巻)
鎌倉時代末期を舞台に、歴史に名が残らない悪党を描いた歴史物の完結巻。
ダイナミックで力強い、オンリーワンな魅力に溢れた作品だった。
『ミコさんは腑に落ちない』(イツ家朗)(全2巻)
仕事の忙しい女性と同居する気遣い完璧な彼氏(ただし無職)を描いた日常物。
普段の生活の中の何気ない感情や他人への思いやりを丁寧に描いていた作品だった。
『燐寸少女』(鈴木小波)(全6巻)
妄想が具現化する燐寸を手にした人々それぞれの顛末を描くダーク御伽話。
レトロで幻想的な画面表現とズシリと心の奥に響く物語が素敵。
『ファイアパンチ』(藤本タツキ)(全8巻)
読者どころか登場人物さえ、急展開の連続に思考が追いつかないダークファンタジー。
物語全体で構成が練り込まれており、巧みな伏線の張り方に思わず唸らされる。
『スローモーションをもう一度』(加納梨衣)(全7巻)
80年代カルチャーという共通の趣味を持った高校生カップルを描いた恋愛物語。
ゆっくり丁寧に展開を積み重ねていく作風で、最終巻も1冊かけてのエピローグ。
『ニンジャスレイヤー』(余湖裕輝 他)(全14巻)
トンデモ日本の世界観の中、ニンジャが殺し合うサイバーパンク小説のコミカライズ。
アクションシーン中心に描かれたラスボスとの重厚な最終決戦。第二部に続く。
『あれよ星屑』(山田参助)(全7巻)
戦後の東京を舞台に、辛い記憶を引きずりながらも逞しく生きる人々を描いた作品。
骨太で重い題材ながらコミカルとシリアスのメリハリが効いており読みやすい。
『ムシヌユン』(都留泰作)(全6巻)
沖縄の離島を舞台に、キモい青年に命運を握られた人類を描いた銀河規模のSF作品。
エロやギャグ、ホラーなどが入り混じるカオスな雰囲気は圧倒的オリジナリティ。
『月曜日の友達』(阿部共実)(全2巻)
中学生になり変わっていく周囲に戸惑う少女と変わり者の少年を描いた作品の完結巻。
変化を嫌い恐れていた二人が友人になり大人になっていく物語は眩いばかりの美しさ。
『かけおちはスクーターに乗って』(野村宗弘)(全2巻)
夫から逃げてきた女性と、その女性に惚れた若い男との駆け落ちを描いた作品。
各キャラクタの事実に対する「認識」の違いが印象的。鈍痛を覚える読後感。
各キャラクタの事実に対する「認識」の違いが印象的。鈍痛を覚える読後感。
『少女終末旅行』(つくみず)(全6巻)
人類が滅んで巨大な都市だけが残る世界を旅する二人の少女を描いた物語。
スケールの大きな都市の残骸描写と二人の少女の独特な価値観がユニーク。
『ライアーバード』(脇田茜)(全4巻)
音が「見える」少女と頑固な少年、不器用な二人が音楽を通して繋がる物語。
音の共感覚を画面で表現した描写力は圧巻。クセの強いキャラクタ達にも拘りを感じる。
『真昼の百鬼夜行』(比嘉史果)(全2巻)
天狗や猫又など、様々な妖怪達を人間と近い距離感で描いたオムニバス。
なんだか艶めかしい妖怪の造形が印象的。妖怪達の個性もユニーク。
『リウーを待ちながら』(朱戸アオ)(全3巻)
ある伝染病が蔓延し隔離された地方都市を舞台にしたパンデミックサスペンス。
リアリティのある医療描写とエッジの効いたエンタメ性が高い次元で両立している。
『オオカミの子』(佐々木順一郎)(全2巻)
口が達者で生意気な少女と謎の青年との魔王討伐の旅を描いたコメディの完結巻。
少女のキャラクタや掛け合いのテンポ、何故か挟まる名言など独特な雰囲気だった。
『鉄腕アダム』(吾嬬竜孝)(全4巻)
宇宙から飛来する「蝶」と戦うヒューマノイドが主人公のハードSF、完結。
エンタメ性の高い序盤から壮大なスケールの終盤まで密度の濃い作品だった。
『やおろちの巫女さん』(武月睦)(全4巻)
大妖怪の力を宿す少女とその少女を倒そうとする怪物達との奇妙な関係を描く日常物。
矛盾を孕む少女と怪物達の距離感がユニークな作品だった。
『4分間のマリーゴールド』(キリエ)(全3巻)
触れた人の死の瞬間が「見える」救急救命士の男性が主人公の恋愛作品の完結巻。
キャラクタ、伏線、メッセージを全て過不足なく物語に盛り込んでおり素晴らしい読後感。
『偶像事変~鳩に悲鳴は聞こえない~』(にんじゃむ/ミサヲ)(全4巻)
特殊な刷り込み教育プログラムをテーマにしたサイコサスペンス。
物語の細部に荒さはあったがメインに据えられていた作品の核はきっちり描き切っていた。
『フードファイタータベル』(うすた京介)(全7巻)
大食いのプロであるフードファイター達を描いたシュールギャグ漫画。
メタネタが作中に多かったといっても、何やってもギャグになるわけではなかろうに。
『恋は雨上がりのように』(眉月じゅん)(全10巻)
冴えない40代バツイチ男性に恋をした女子高生が主人公の青春物語。
中盤ダレていると感じていたが、終わってみれば綺麗にストーリーはまとまっていた。
中盤ダレていると感じていたが、終わってみれば綺麗にストーリーはまとまっていた。
『ぶんぐりころころ』(安藤正基)(全2巻)
文房具マニアの少女と実業家の青年との掛け合いを中心とした文房具コメディ。
実在のユニークな文房具を使ったハイテンションな掛け合いがユニークだった。
『だがしかし』(コトヤマ)(全11巻)
駄菓子屋を舞台に個性的なキャラクタ達の掛け合いを描いたギャグ作品、完結。
作画やキャラクタの動かし方への拘りが最終巻でもきっちり発揮されていた。
『町田くんの世界』(安藤ゆき)(全7巻)
他人のことをが好きで周りからも愛されている男子高校生を描いた物語の完結巻。
最後まで町田くんは町田くん。シンプルな設定ながらオンリーワンなキャラクター。
『言ったよきいちゃん!』(コニシリュウイチ)(全2巻)
人の言うことを聞かないエキセントリックなOLを中心に描かれるギャグ漫画。
テンポの良い掛け合いやユニークな言葉選びなどセンスの光る作品だった。
『子育てビフォーアフター』(吉川景都)(全3巻)
子育て前後で価値観が180°変わったという女性漫画家による子育てエッセイ。
ネガティブな描写が少なく子供の不可思議な行動の面白さや可愛さを描いていた。
『あげくの果てのカノン』(米代恭)(全5巻)
先輩を病的に愛している女性とその先輩との関係を描いたSFラブストーリー。
変わらない愛と変わる愛を対比的に描いてきた本作ならではのラスト。
『サザンと彗星の少女』(赤瀬由里子)(全2巻)
地球人の青年と巨大なパワーを溜め込んだ少女との冒険を描くスペース・スペクタクル。
水彩絵の具で描かれる画面は配色センスがユニークで鮮やか。太く短いストーリーも良い。
『死神!タヒーちゃん』(かふん)(全3巻)
人の寿命を糧するポンコツ死神とその周りの人々との掛け合いを描いたドタバタコメディ。
オリジナリティ溢れるキャラクタデザインと画面のセンスが面白い作品だった。
『魔法少女おまつ』(吉元ますめ)(全2巻)
未来から江戸時代来た魔法少女の相棒と現地で調達した急造魔法少女を描いた江戸コメディ。
昭和漫画っぽい雰囲気に寄せている絵柄やメタ発現厭わないギャグスタイルが好きだった。
『しをちゃんとぼく』(T長)(全2巻)
死に異常な憧れを示す不死者の男を描くスプラッタコメディ。
「死ぬ者」達とは感覚の違う突拍子のない行動に出る主人公の様子が面白可笑しい。
「死ぬ者」達とは感覚の違う突拍子のない行動に出る主人公の様子が面白可笑しい。
『恋情デスペラード』(アントンシク)(全6巻)
江戸と西部劇を混ぜた世界観の下、惚れっぽい女渡世人を描いたガンアクション作品。
緻密で躍動感溢れる美しい画面は最後まで素晴らしかった。
『星間ブリッジ』(きゅっきゅぽん)(全4巻)
戦時中の上海を舞台に、日本人の少女と中国人の少年との絆を描いた物語。
避けられなかったであろう二人の決別とヘビーな戦争描写を真正面から描き切った。
『キャッチャー・イン・ザ・ライム』(背川昇/般若/R-指定(CreepyNuts))(全2巻)
高校フリースタイルラップ部を舞台に部員5人の苦悩や葛藤を描いた青春群像劇。
ラップの特徴である音の面白さは最後まで紙面から伝わってこず残念。
『恐竜の飼いかた』(いしがきのぼる)(全3巻)
犬や猫のように恐竜が民家で飼われている世界での日常を描いた作品。
独特の緩い絵柄で描かれるのっぺりした恐竜達が可愛く緩い空気感の漫画だった。
『しまなみ誰そ彼』(鎌谷悠希)(全4巻)
LGBTの人々が集まる「談話室」を舞台にした物語の完結巻。
年代も性自認も様々な人々の苦悩と願いを力強いメッセージと共に描き切った。
『CICADA』(山田玲司/バナーイ)(全4巻)
漫画の所有が禁止される世界で特殊な能力を持った「シカーダ」達を描くファンタジー。
描きたかった展開やメッセージを無理矢理詰め込んだような印象の終盤はやや残念。
描きたかった展開やメッセージを無理矢理詰め込んだような印象の終盤はやや残念。
『僕らはみんな河合荘』(宮原るり)(全11巻)
変人ばかりが住むアパートを舞台に繰り広げられるラブコメディの完結巻。
最終巻でもいつも通りのノリは維持したまま、きっちり区切りをつけて綺麗な幕引き。
『ようことよしなに』(町田翠)(全3巻)
自由奔放なワガママ少女とその娘に振り回される友人との関係を描く青春物語の完結巻。
主人公にイライラさせられてきたけど物語通しての撒き餌であった。ラストの展開美しい。
『黒き淀みのヘドロさん』(模造クリスタル)(全2巻)
正義の化身としてヘドロから作られた少女が人々の根深い悩みを解決する物語。
非常に特徴的な可愛らしい絵柄でかなり重めなストーリーの組み合わせはユニーク。
『バタフライ・ストレージ』(安堂維子里)(全4巻)
死人の記憶情報が詰め込まれた「蝶」を回収する公的機関を舞台にしたSF作品。
独特な舞台設定とキャラクタ達が魅力で綺麗に完結。続編も連載中。
『時計じかけの姉』(いけだたかし)(全3巻)
死んだ弟そっくりのアンドロイドが春を売る様子を覗き見る女性を描いた作品。
ぶっ飛んだ設定の作品だったが、結局何が描きたかったのかよく分からないまま終了。
『BLACK TORCH』(タカキツヨシ)(全5巻)
妖怪の力を宿した少年を主人公に、隠密部隊と妖怪達との戦いを描いたアクション。
スタイリッシュな画面は魅力的だったがオリジナリティにやや欠ける嫌いがあった。
『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。』(ペス山ポピー)(全2巻)
殴られ願望(比喩表現でなく)のあるマゾ作者の実体験を赤裸々に描いたエッセイ。
マゾの特殊な性癖とその思考回路は、理解は難しいが興味深い。
『君が死ぬ夏に』(大柴健)(全7巻)
未来からやって来た幽霊の少女と彼女の死を防ぐために奮闘する少年を描いた青春ミステリ。
やや間延びしたが、複雑化していた物語にしっかり決着をつけて綺麗なラストだった。
『五佰年BOX』(宮尾行巳)(全4巻)
500年前に繋がった箱をキーアイテムにした物語の完結巻。
トリッキーな題材で大きく広げた風呂敷を畳み切れずに終わってしまった。
『銀河の死なない子供たちへ』(施川ユウキ)(全2巻)
二人の不死の姉弟と人間の少女との出会いと別れ、そして旅立ちを描いた作品。
素晴らしい舞台設定とストーリー構成により描かれた簡潔かつ濃密で美しい物語だった。
『人馬』(墨佳遼)(全4巻)
人と馬が合わさった「人馬」達の苦悩と戦いを描いた物語。
架空の生き物ながらまるで実在するかのように躍動感溢れる人馬達の描写が魅力的。
『潜熱』(野田彩子)(全3巻)
ヤクザの中年男に恋をしてしまった女子大生のスリリングな恋を描いた物語の完結巻。
直情的で衝動にまかせた主人公の恋を3巻通して描き切っておりラストの余韻が絶妙。
『今日のちょーか!』(戎島実里)(全2巻)
釣り大好きな少女とその娘に無理やり付き合わされるもう一人の少女を描く釣りコメディ。
ハイテンションギャグと釣りのハウツーが全体通して良いバランスだった。
『実況!!泉くんの恋模様』(大箕すず)(全2巻)
内気な男子高校生が恋をきっかけに自分を変えようと努力する物語。
天真爛漫なヒロインが魅力的だったが敢え無く打ち切り。ぶつ切りラストは残念。
『岡崎に捧ぐ』(山本さほ)(全5巻)
幼馴染の女性との腐れ縁を中心に作者の半生を描いた自伝エッセイ完結巻。
幼馴染との友情とその時の作者の思考がドラマチックに漫画へと落とし込まれていた。
『横浜駅SF』(新川権兵衛/柞刈湯葉)(全3巻)
無限に自己増殖を続けて本州を覆いつくした横浜駅を舞台にしたSF作品コミカライズ。
わけわからん設定ながら、独特の世界観がハードSFの雰囲気を演出していた。
『剣姫、咲く』(山高守人)(全4巻)
圧倒的な実力を持ちながら性格に難ありの少女が主人公の剣道部活物。
緻密で安定感がある作画で美少女超能力スポーツが描かれていた。
『おじさんと猫と少女』(遊佐ハルカ)(全3巻)
独身の男性と使用人の少女、無口な人間二人の仲を取り持つ黒猫の奮闘を描いた物語。
世話焼きな黒猫というキャラクタを中心に物語を進めるというコンセプトが面白かった。
『中村くんの金パは柔らかい』(熨斗目ナオ)(全3巻)
見た目はヤンキーだけど手芸が趣味な少年と不器用少女が主人公のラブコメディの完結巻。
主役カップルのリアクションが全コマで可愛い。画面も賑やかで楽しかった。
『青高チア部はかわいくない!』(conix)(全3巻)
曲者ぞろいの高校チアリーディング部を舞台に描かれる高校部活物。
イラストレーターとしても活動する作者が描く輪郭線の太い独特の絵柄は見ていて面白かった。
『海街diary』(吉田秋生)(全9巻)
海辺の街を舞台に、そこに住む四姉妹とその周りの人々との交流を描いた物語。
爽やかな街の雰囲気とそこに根付く人々の生活を裏表包み隠さずに描いた本作も大団円。
『星明かりグラフィクス』(山本和音)(全3巻)
人付き合いが苦手な美大生と人脈作りが得意なその友人のコンビを描く美大物語の完結巻。
二人がそれぞれの道を歩んでいく過程が太く短くしっかり描かれていて読後感素晴らしい。
『サトコとナダ』(ユペチカ/西森マリー)(全4巻)
日本人とサウジアラビア人、二人の女子大学生のルームシェア生活を描いた日常物4コマ。
文化の違いなど飛び越えて主人公二人が固い友情を育んでいく様子が丁寧に描かれていた。
『快楽ヒストリエ』(火鳥)(全2巻)
歴史上の人物や出来事に無理矢理エロマンガを絡ませて描かれる非R18バカコメディ。
エロマンガやその使用方法が共通言語として語られる雰囲気のアホらしさが好き。
『アダムとイブの楽園追放されたけど…』(宮崎夏次系)(全2巻)
子供を育てる自身がないイブとおおらかで能天気なアダムが子育てに奮闘するコメディ。
作画も掛け合いも適度に抜けた雰囲気とメッセージ性があるのかないのかわかんない読み味。
『猫のお寺の知恩さん』(オジロマコト)(全9巻)
お寺に住むおっとり美人と同居する従弟の高校生との日常を描いた物語。
主人公二人およびサブヒロインの人生の岐路にしっかり区切りをつけての幕引き。
『麻衣の虫ぐらし』(雨がっぱ少女群)(全2巻)
農業に関連した虫達を紹介しつつ、農家を営む少女二人を主人公にした美少女農家物。
耽美な絵柄で描かれる女性キャラは魅力的で流石成人向け漫画家さん。
『笑うあげは』(田中ユタカ)(全4巻)
麻雀でばっさばっさと悪人を切り伏せる盲目の美女を描いた作品。
主人公のキャラクタが美しいと同時に底知れない怖さも描けていて良かった。