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 九州漫画読み会にて、課題作の『かげきしょうじょ!!』について面白い議論ができたので、その内容のメモを投稿します。何となく会の雰囲気を感じ取って貰えると幸いです。

 九州漫画読み会では毎回、参加者の方々に事前に読んできてもらう「課題作」を設定しています。2019年10月12日開催の会の課題作は『かげきしょうじょ!!』(斉木久美子)だったのですが、既刊10巻(シーズンゼロ含む)、どの巻も漏れなく語りどころがあると判断した結果、「インターバル読み合わせ」という変わった方式で読書会を進めてみました。ルール詳細は下記の通り。


<インターバル読み合わせルール>
(1)制限時間内に最初の巻を各自で読み返して見どころや推しポイントをピックアップする(今回の制限時間は2分)。
(2)(1)の制限時間終了後、皆でその巻の内容について議論する。
 (推しポイント紹介は該当ページを他の人に見せながら語るなど工夫してなるべく簡潔にする。)
(3)次の巻に移行して(1)(2)を繰り返す。


 上記の流れで『かげきしょうじょ!!』のシーズンゼロ上下巻と本編既刊8巻分、私含む7名の方々と議論をしました。各巻で話す分、話題の焦点が絞られていてメリハリついた良い議論になったかと思います。
 参考に内容メモを下記の通り示します。『かげきしょうじょ!!』最新8巻までのネタバレ注意です。


『かげきしょうじょ!! シーズンゼロ 上巻』
・キャラクタ紹介による土台固めを丁寧にしている印象。この巻でのカタルシスは少な目。
・最新刊読んだ後見ると、愛の髪の毛がえらく短く感じる。
・自衛隊の先生好き。
・自衛隊エピソード、薫のプライドの高さが最初から現れてて良い。
・「呪いの言葉」という作品通してさらさを縛るトピックが序盤から登場している。
・リサ、イジワル先輩ポジションかと思いきやデレが早くて良い。
・それに比べて聖の第一印象の悪さったらない。
・聖のJPX好きが初期から設定として生きておりキャラクタ設定の綿密さが伺える。

『かげきしょうじょ!! シーズンゼロ 下巻』
・愛のトラウマエピソード、気持ち悪さが伝わってきて良い。
・愛のトラウマに対するJPXのメンバーの「それだけ」発言、ずっしり重い。
・他の作品ならJPX内で愛の悪い噂広まってそう。
・聖のSNS拡散、やり過ぎ感強い。
・彩子のエピソード好き。
・愛がさらさとの出会いを通じて他人との関係性に前向きになっていく流れ素晴らしい。この巻だとまずは彩子への忠告。
・p245の画面華やかで美しい。

『かげきしょうじょ!! 1巻』
・p10の「表現力」のシーン、ツイッターでバズってた。
・国広先生の過去エピソード、3回くらい泣いた。「空襲で燃えてしまったよ」から白薔薇のプリンス登場、そして復興までの流れ美しい。
・薫のしっかり者っぷり好き。
・漢字読めない愛が可愛い。
・愛が徐々にクラスメイトと打ち解けていく様子微笑ましい。
・今巻最後でも「呪いの言葉」のリフレイン。
・『シーズンゼロ』読む前にこっち読んじゃったのが数人。違和感ありつつそれでも話にはついていけるよう構成されている。

『かげきしょうじょ!! 2巻』
・愛を「かわいー」って言う星可愛い。
・さらさが近所の人達と仲良しでアットホームな雰囲気良い。
・私服、さらさが女の子らしくて、愛がボーイッシュ。
・初対面の暁也との距離感計りかねてる愛の様子、コミュニケーション勉強中っぽくて良い。
・ストーリーの上で過去編入るの早い。しかし重要な過去編。
・少年時代の暁也の行動、境遇を考えると同情する。その後の暁也のさらさに対する感情が大変複雑。
・激怒するじいちゃんのシーン良い。
・p89のシーン良い。努力ではどうにもならない理不尽な事象による諦め、という本作のテーマが良く表現されている。

『かげきしょうじょ!! 3巻』
・平静を装いつつ鼻血出す沙和良い。
・ミレイさん全キャラクタの中で一番好き。落ち着いて俯瞰的に見れる大人素敵。
・双子エピソード好き。双子という設定においてはベタな話ながら構成が巧み。
・受験初年度、千秋を落としたのは残酷ながら上手い設定。
・3巻以降のスピンオフ全部いい。短編集出して欲しい。
・さらさと愛というダブル主人公のエピソード中心の物語だけど、他キャラでも描きたい事が沢山あるんだろう。キャラクタ設定重厚。
・薫のスピンオフエピソード、めちゃくちゃ良い。彼女の頑なさに心打たれる。
・夏祭りシーンラストからの疾走感素晴らしい。泣きながら歌ってるシーンクソエモい。
・「好きでしたって言ってあげてもいい」、最高の余韻。
・薫にはトップに立ち野球部男子と結婚して幸せになって欲しい。

『かげきしょうじょ!! 4巻』
・毎巻、表紙の後のページのさらさと愛のポーズが可愛い。
・転んださらさに手を差し伸べるシーン、観てる観客の気分になりまんまと星様のファンになった。
・風邪で寝込んだ愛の部屋にクラスメイトがお見舞いにくるシーン、皆の距離がグッと縮まった感あって良い。
・聖のスピンオフ、素晴らしい。これも身体的制約で娘役を諦めざるを得ないという本作一貫したテーマである「対処しようのない事象による諦め」。
・「そんなこと」「今は言っちゃヤダ」のシーン、大好き。
・ファントムの星への対応、駄目だと思う。あんな場面でデュエットとかされたら、一生の思い出に残らないわけがない。
・ファントムと星、普通に結婚して欲しい。
・基本的に本作のキャラ、皆幸せになって欲しい。
・スピンオフ内のファントム、事故直後だからやさぐれてても不思議ではないのに、きちんと教師を全うしてて好感が持てる。

『かげきしょうじょ!! 5巻』
・オーディション編、全編通して面白い。
・沙和の闘争心の強さ良い。
・愛のオーディションでの演技シーンはこれまでの物語の総決算感あり素晴らしい。1巻時点での演技と比較するとその変化と成長具合が明白。
・p114ページの愛、美しい。
・さらさと愛の関係、百合ではない。
・聖のスピンオフ、強い。聖のキャラクタ性が濃縮された短編。
・聖と悠太の関係性、良い。
・小桃が聖を抱き寄せるシーン、最高にエモい。7巻で悠太と聖が抱き合うシーンに続く流れ。
・p157の同級生のシーンで、「一般人」と聖の差が明確に描かれる。歌劇団を目指す人の特異性を上手く表している。

『かげきしょうじょ!! 6巻』
・冒頭の彩子のエピソード、短ページながら彩子のキャラクタを読者にしっかり共感させる素晴らしい構成。
・p26, 27ページ、最高にエモい。
・5巻の演技シーンはどれも表現力豊かで素晴らしい。
・彩子の歌い出しシーン、美しい。
・彩子の演技シーンは先生の解説が入るスタイルで、他の人のは画面で表現するスタイル。多様で良い。
・水族館シーンでのさらさの提案の真意が不明。暁也の将来のため?自身の父親について感づいている?それとも煌三郎と勘違いしている?
・p82, 83のファントムの演技シーンのコマ割り、迫力があって素晴らしい。
・幼少期さらさと歌鷗が助六の掛け合いをするシーン良い。フォントによる演出も素敵。
・オーディションのさらさ演技で水族館場シーンがリフレインする意図、解釈が分かれる。p124, 125のさらさの表情の真意は?助六になりたかった夢を暁也がかなえようとしていることに対する嫉妬?

『かげきしょうじょ!! 7巻』
・野島聖...
・大木先生の「萌え」による評価指標、観客を例に出したのもわかりやすく、めちゃくちゃ納得できる。演劇題材作品でこんなにわかりやすいの今まで見たことない。
・p84からの怒涛の展開のスピード感素晴らしい。
・p92, 93の聖の言葉、7巻末スピンオフ読んだ後だと感情が大変なことになる。
・中山リサ編のスピンオフは野島聖に持っていかれた感あるが、それを糧に中山リサはトップスターを目指して努力するはず。だからリサ編で正しい。
・本作の各キャラクタ、それぞれ「どうしようもない事象による諦め」を経験しているが、聖はそれが2度訪れている(1回目と2回目のスピンオフ)。とにかく彼女には幸せになって欲しい。
・リサの乱れた髪を聖が整えるシーン良い。
・悠太素敵。聖が少し救われた感ある。

『かげきしょうじょ!! 8巻』
・「ちゅるエット」のシーン、本誌掲載時は「ちゅりエット」だった。噛んでいることをより分かりやすくした?
・さらさと暁也、二人が互いに向けている感情が複雑で7巻までは不明瞭だったが、8巻で暁也からさらさへの気持ちはだいぶ整理された感ある。これまで直接的な言葉での説明は少なかったが、8巻でかなり増えた印象。
・「手に届かない頭上の星」という表現、エモい。
・急にキレるさらさ、ちょっと『のだめカンタービレ』ののだめっぽい。
・じいちゃんの「どうしたって俺ぁ」「お前より早く死ぬよ」のシーン、涙腺にクる。
・おじいちゃんおばあちゃんのエピソードの時点で十中八九泣ける。
・大どんでん返しでさらさの父親が煌三郎でも面白いかも。彼がさらさに執着する理由も納得できる。現状、さらさの父親が歌鷗という情報のソースは噂話と歌鷗の娘の発言のみ。娘の発言もフェイクならかなりの大仕掛け。
・愛が泣くシーン、シーズンゼロから醸成されてきた人間性が次のステージに上った感があって良い。
・p142のさらさの「失敗したって」「何度でも」「また」「蘇りましょう!」のセリフ、挫折を経験したキャラクタの多い本作においてはパワーワード。
・p149の沙和の立ち姿美しい。
・愛の男役フラグ、最大の友が最大のライバルになる流れで大変面白い。現状、さらさと同じ舞台に立つことが目標の愛にとって男役をやる理由がないので、そこに納得できる理由がつけばスムーズに熱い展開。
・8巻は物語として良い区切り。ここで読書会が出来たのは適切なタイミングだった。