2021年上半期新人

 2021年上半期まとめ記事、全3つ中の1つ目。新人漫画家編。

※この記事中で扱う新人漫画家の定義は、「2021年1月1日~2021年6月30日の間に初商業コミックが発売になった漫画家(Amazon調べ)」としています。また、二人以上で描いている場合は、どちらか一方が上記のレギュレーションに合致すればOKとしています。

 上述したレギュレーションの「新人漫画家」の中で2021年上半期に私がコミックを読んだのは計36人。下半期も同じくらいのペースを続けたい。

 その中で特にオススメの漫画家さんを10人ピックアップします。わかりやすくランキング形式で。漫画好きの皆さん、将来への投資と思って新人漫画家のコミックをどんどん買いましょう。


10位『急がなくてもよいことを』(ひうち棚)

作者の妻と子供二人との何気ない生活の一コマを描いた短編集。
日常のふとした瞬間が切り取られており、他人の人生を追体験するような臨場感がある。


9位『まれなひと』(白湯白かばん)

かなりずれた人々を描くコメディを詰め込んだシュールギャグ作品集。
キャラクタ達の行動は理解不能ではないが意味も分からない絶妙な不条理具合。


8位『おやすみ前にひとつだけ』(Miyako Miiya)

悪魔の首を持ち帰った英雄の話など一風変わったおとぎ話を詰め込んだショートショート集。
バリエーション豊かで発想も面白い短編が多くセンスオブワンダーとユーモアに溢れていた。


7位『黄昏星のスイとネリ(1)』(徳永パン)

衰退する地球を舞台に宿を営む少女と人語を喋るナマケモノが主人公の物語。
退廃途上の地球の描き方が面白い。建築物や小物類のレトロな雰囲気も素敵。


6位『しあわせは食べて寝て待て(1)』(水凪トリ)

持病持ちで人生に閉塞感を感じている女性が薬膳を通して健康と自信を取り戻す物語。
温かみのある絵柄と柔らかいキャラクタ、優しい題材が組み合わさって素敵な雰囲気。


5位『たそがれにまにあえば 赤井さしみ作品集』(赤井さしみ)

人間や獣耳、ヘンテコクリーチャーの気の抜けた掛け合いを描いた作品集。
相手の意図を煙に巻いておちょくり合うような会話劇はシュールな雰囲気で面白い。


4位『ライカの星』(吉田真百合)

人工衛星の中で亡くなった宇宙犬の人間に対する復讐劇を描いた表題作を含む短編集。
作者の豊かな感受性と発想力が鮮やかに漫画作品に落とし込まれている。


3位『てづくりの魔法』(木村胡麻)

彼女と別れて無気力な男性と身の回りの物を何でも自分で作る女性が主人公のDIY物語。
物を作る楽しさや新しい事に触れた驚きなど主人公の純粋な感情が伝わってきて非常に良い。


2位『ゆうやけトリップ(1)』(ともひ)

新聞部のちっこい少女とミステリアスな長身美少女が放課後に心霊スポットを巡る物語。
淡い輪郭で描かれる水彩画のような独特の画面が非常に魅力的。画面にも強い拘りを感じる。


1位『三拍子の娘(1)』(町田メロメ)

母親と死別し父親に捨てられたけど今を楽しく生きる三人姉妹の日常を描いた物語。
二色カラーで描かれる画面は軽やか。コメディも軽快で読みやすい。家族の雰囲気も良い。