2021通年総合まとめ

 2021年の読んだ漫画まとめ記事、その2。縛りなしのオススメ作品50選。

※ランキングのレギュレーション
 2021年内に紙の書籍が発売されたコミック

 私が2021年に読んだ漫画は791冊。2020年が782冊だったのでだいたい横ばい。

 その中から特に面白かったものを50作品ピックアップしました。ランキング形式にしたので下に行くほどオススメです。皆さんの漫画選びの参考にして頂けますと幸いです。


50位『違国日記(7)(8)』(ヤマシタトモコ)
両親を亡くした少女とその娘を引き取った小説家の叔母との共同生活を描く物語。
主人公の少女が他者との距離感を学んだり人格が形成されていく様子が丁寧に描かれている。


49位『吸血鬼すぐ死ぬ(18)』(盆ノ木至)

クソ雑魚吸血鬼と吸血鬼ハンターの男のコンビを中心に繰り広げられるドタバタコメディ。
票数自由の斬新なルールで行われた人気投票編は本作らしいカオスさで悪乗りの極致。


48位『ぶんぶくティーポット+(5)』(森長あやみ)

人間に化けて生活するタヌキやキツネなどの動物達の日常を描いたコメディ。
今巻はホラーからSF、サスペンスまで、いつも以上にぶっ飛んだお話が多かった印象。


47位『吉祥寺少年歌劇』(町田粥)

「男役」と「娘役」に分かれて演じられる男性だけの劇団の養成学校を舞台にした物語。
特殊な環境ならではの少年達の苦悩や葛藤、育まれる友情が単巻で綺麗にまとまっている。


46位『ITおじさん(1)(2)』(山田しいた)
中堅IT企業で働く管理職男性とその部下達の業務の様子を描いたギャグ漫画。
IT用語を使ったギャグはバカバカしくって笑える一方でお仕事物としても共感性高い。


45位『東京ヒゴロ(1)』(松本大洋)

失敗した仕事の責任を取って早期退職した漫画編集者の男と周囲の人々を描く物語。
情緒的な画面表現とエモーショナルなストーリーが噛み合って上質な読み味。


44位『友達として大好き(3)(完)』(ゆうち巳くみ)

動物的恋愛脳な女子が規則に厳格な堅物男子と友達になるために奮闘する物語。
友達との関係性が深まった時の感情の高鳴りが非常にエモーショナルに描かれていた。


43位『レッツゴー怪奇組』(ビュー)

怪異を操り人々を驚かす少女と常人の六倍怖がりの少年が主人公のホラーコメディ。
味のある絵柄とドタバタな掛け合いにレトロな雰囲気が漂っていて楽しい。


42位『最果てのソルテ(1)』(水上悟志)

奴隷商人に売られた少女の壮大な冒険の旅を描くハイファンタジー。
メタ構造ありそうなストーリーなど水上悟志ファンタジー要素がたっぷり盛り込まれている。


41位『ひとりでしにたい(3)』(カレー沢薫/ドネリー美咲)

孤独死した叔母と同じ道を辿りたくない35歳の独身女性を描く物語。
作者の独特な思考スタイルと現代日本の社会問題という題材がかっちり噛み合っている。


40位『ジーンブライド(1)』(高野ひと深)

容姿や性別に対する社会の偏見に悩む女性と極度に神経質な男性が主人公の物語。
読みやすさとルッキズムへのメッセージやSF展開の重厚さがバランスよく両立している。


39位『血の轍(10)~(12)』(押見修造)

息子に対して異常な愛情を向ける母親と彼女に縛られる息子を描いたサイコサスペンス。
これまでの物語を全てひっくり返すような大きな展開には驚かされた。


38位『思えば遠くにオブスクラ 上下』(靴下ぬぎ子)

ワーホリでベルリンに滞在するビデオグラファーの女性の生活を描く物語。
主人公の海外生活で出会った人や物、感じたことが解像度高く描かれており非常に興味深い。


37位『てづくりの魔法』(木村胡麻)

彼女と別れて無気力な男性と身の回りの物を何でも自分で作る女性が主人公のDIY物語。
物を作る楽しさや新しい事に触れた驚きなど主人公の純粋な感情が伝わってきて非常に良い。


36位『死亡フラグに気をつけろ!(1)』(茶んた)

殺人鬼のいる洋館での一人行動、など死亡フラグをネタとして扱ったメタコメディ。
自身の置かれた状況を映画になぞらえ分析するアイディアとアホらしいストーリーが楽しい。


35位『Dr.STONE(19)~(23)』(稲垣理一郎/Boichi)

全人類が石化した3000年後の世界を科学の力で復興しようとする人々を描いた物語。
ダイナミックな展開を上手く物語に結びつける構成力に脱帽。


34位『チ。―地球の運動について―(3)~(6)』(魚豊)

15世紀のヨーロッパを舞台に地動説を支持する異端の人々を描く物語。
6巻から主役となった二人について極端かつ対照的な思想を持っており組み合わせが面白い。


33位『女の園の星(2)』(和山やま)

女子高を舞台に生徒達に少々なめられている男性教員と彼女らの交流を描いたコメディ。
コメディとして、キャラクタやテンポ等どの要素を取っても高クオリティで隙なし。


32位『おとなりに銀河(2)(3)』(雨隠ギド)

漫画家男性とミステリアスなアシスタント女性との不思議な関係を描く契約ラブコメディ。
恋愛だけでなく家族物としても尊い人間模様が雨隠ギド作品らしくて素敵。


31位『そのへんのアクタ(2)』(稲井カオル)

エイリアンとの戦いが日常化する世界で自身の役目を見失った元英雄の男を描く物語。
コメディパートは掛け合いのセンス抜群で非常に軽快。テンションの緩急自在。


30位『フールナイト(1)(2)』(安田佳澄)

死が迫る人々を植物に変える「転花」が普及した世界で、転花を管理する人々を描く物語。
背景や影など描き込み激しい魅力的な画面でどんよりとした世界が上手く表現されている。


29位『ヒラエスは旅路の果て(1)(2)』(鎌谷悠希)

自殺願望のある少女と神さまを名乗る男、もう一人の不死の男との黄泉への旅を描いた物語。
キャラクタの繊細な心理と美しくメリハリ効いた画面表現がリンクして心を揺さぶられる。


28位『にょろにょ~ろ』(こおにたびらこ)

下半身が蛇の少女と不思議な仲間達のヘンテコな交流を描いた作品。
ポップでキュートなデザインが可愛くてみっちり描き込まれた画面を眺めるだけで楽しい。


27位『葬送のフリーレン(4)~(6)』(山田鐘人/アベツカサ)

魔王を倒した勇者パーティの一人であるエルフが魔王なき世界のその後を辿るファンタジー。
本作の更なるストーリーの広がりを感じさせる見事な演出。静かな画面の雰囲気も良い。


26位『半助喰物帖(5)(6)(完)』(草香去来/灯まりも)

江戸時代からタイムスリップしてきた武士が文化を学びながら料理を作るグルメ漫画。
江戸と現代日本の文化対比は最後まで丁寧。ストーリーも本作らしいまとめ方で大団円。


25位『海辺のキュー(3)(4)(完)』(背川昇)

先輩からのイジメに悩む女子中学生と彼女の前に現れた謎の生物との奇妙な交流を描く物語。
日常が崩壊してからの怒涛の展開で畳みかけてきた最終巻。パンチの効いた良い作品。


24位『よつばと!(15)』(あずまきよひこ)

好奇心旺盛で元気いっぱいな少女とその周りの人々を描いた日常物。
3年ぶりの新刊でも変わらぬキャラクタ達の生活。これからも末永く続いて欲しい。


23位『潮が舞い子が舞い(5)(6)』(阿部共実)

とある高校の個性豊かなクラスメイト達の交流を描く群像劇。
会話劇の中に青春の苦い部分を織り込んでくるメリハリの利かせ方が素晴らしい。


22位『ダーウィン事変(2)(3)』(うめざわしゅん)

人間とチンパンジーの間に生まれた「ヒューマンジー」の少年が主人公の物語。
ハッタリは効いているがどこか現実感を感じさせる見事な演出力。


21位『夏目アラタの結婚(5)(6)』(乃木坂太郎)

児童相談所勤めの男性が死刑囚女性に獄中結婚を持ち掛けるラブサスペンス。
ハッタリ効いた演出は強烈なものがあり、真偽不明であっても手に汗握る。


20位『スイカ(1)』(森とんかつ)

オカルト的存在の少女と彼女に気に入られた不運な高校教師コンビを描くホラーギャグ。
レトロな印象の絵柄に独特過ぎる漫画表現、脈絡のないストーリーが大変ユニーク。


19位『スナックバス江(8)(9)』(フォビドゥン澁川)

老婆とチーママが切り盛りする場末のスナックを舞台にしたギャグ漫画。
30代独身男性に対するあるあるネタという分野においては他の追随を許さない共感性の高さ。


18位『転がる姉弟(1)(2)』(森つぶみ)

親の再婚により新しく家族となった姉と弟を中心に繰り広げられる日常物。
人と人が関わり合いお互いを理解し親密になっていく様子が丁寧に描かれている。


17位『雨の日も神様と相撲を(3)(完)』(戸賀環/城平京)

カエルを神と崇め相撲を価値観の中心に置いた村を舞台にしたミステリ小説コミカライズ。
全ての要素が相撲と蛙に集約していく奇抜なストーリー。全3巻で綺麗にまとまっていた。


16位『少年のアビス(4)~(7)』(峰浪りょう)

閉塞的な田舎町に囚われる少年と彼を慕う周りの女性達との関係を描く物語。
ショッキングな展開と醜悪なまでにこじれた人間関係が詰め込まれている。


15位『ゴールデンカムイ(25)~(28)』(野田サトル)

北海道に隠された金塊を求めて旧日本軍やアイヌ、新選組の残党などが争う物語。
これまでの物語の裏側が明かされ点と点が線で結ばれていく27巻後半の鶴見劇場は圧巻。


14位『草野と希♨(1)』(岩国ひろひと)

とある理由から二人で温泉地巡りレポをする女子高生と雑誌編集者の男を描く物語。
温泉地レポやサスペンスなど多数の要素が混在するストーリをまとめる構成力素晴らしい。


13位『双亡亭壊すべし(25)(完)』(藤田和日郎)

空爆でも壊れない謎の幽霊屋敷を舞台にしたアクションホラーの完結巻。
凧葉という何者でもなかった男が怪物泥怒を打ち負かす最終決戦は本作ラストにふさわしい。


12位『ダンジョン飯(10)(11)』(九井諒子)

魔物を調理して食べながらダンジョン深部を目指す冒険者一行を描いたファンタジー。
ライオス一行に対するカブルーやカナリア隊の絡め方など見事な最終盤のストーリー。


11位『ひかるイン・ザ・ライト!(1)』(松田舞)

歌うのが好きだけどアイドルの夢を諦めていた少女がオーディションに挑む物語。
主人公の精神的な成長とオーディションがストーリーの中で上手く連動しており読み味爽快。


10位『男爵にふさわしい銀河旅行(3)(完)』(速水螺旋人)

貧乏だけどプライドはいっちょ前な貴族が理想の花嫁を探して銀河を旅するファンタジー。
ラブロマンスや終盤のスケールの大きなSF展開も含めて、冒険活劇として綺麗に大団円。


9位『ゆうやけトリップ(1)』(ともひ)

新聞部のちっこい少女とミステリアスな長身美少女が放課後に心霊スポットを巡る物語。
淡い輪郭で描かれる水彩画のような独特の画面が非常に魅力的。画面にも強い拘りを感じる。


8位『三拍子の娘(1)』(町田メロメ)

母親と死別し父親に捨てられたけど今を楽しく生きる三人姉妹の日常を描いた物語。
二色カラーで描かれる画面は軽やか。コメディも軽快で読みやすい。家族の雰囲気も良い。


7位『僕の心のヤバイやつ(4)(5)』(桜井のりお)

クラスの中心女子と陰キャラ男子との恋愛を描いたスクールカーストラブコメディ。
甘々な関係を進展させつつ負の心理描写も交えることでキャラの厚みが増している。


6位『Thisコミュニケーション(3)~(5)』(六内円栄)

残酷非道な軍人の男と特殊な特性を持つ6人の少女達が人類の敵である怪物と戦う物語。
デルウハは毎巻最悪だけど魅力溢れる稀有なキャラクタ。


5位『トリリオンゲーム(1)(2)』(池上遼一/稲垣理一郎)

世界一ワガママな男とPCオタク、二人の青年が1兆ドル稼ぐことを目標に会社を興す物語。
キャラクタの魅力などが詰まったネームと緩急の効いた作画が合わさって面白さ天井知らず。


4位『ルックバック』(藤本タツキ)

漫画を描くのが好きな二人の少女の出会いとその後を描く物語。
キャッチーな導入から安定した中盤、急転直下の後半からラストまで圧巻のストーリー構成。


3位『チェンソーマン(10)(11)(完)』(藤本タツキ)

チェンソーの悪魔と同化した欲望に素直な男と悪魔達との戦いを描いたダークファンタジー。
混沌を極めたこれまでの物語を綺麗にまとめ上げる最終巻のストーリー構成美しい。


2位『スキップとローファー(5)(6)』(高松美咲)

自信家だけどちょっと抜けてる少女とクラスメイト達との交流を描いた学園青春群像劇。
キャラクタの心理的機微や人間関係の構築などの描写が非常に丁寧で共感性が高い。


1位『メダリスト(2)~(4)』(つるまいかだ)

気弱な少女と熱血男性コーチのコンビがメダリストを目指すフィギュアスケート物語。
師弟物の絆、競技の力強さ、成長物語の美しさ、コメディの面白さ、どの要素も秀逸。