
2021年の読んだ漫画まとめ記事、その4。2021年に完結巻が出た作品紹介。
2021年に完結巻が出た作品で(単巻完結のものは除く)私は読んだ作品は全部で67作品。漫画はどうしても新しい作品が取り上げられがちで完結のタイミングで話題になることは少ないですが、綺麗に終わった作品にもスポットライトをあげてほしい。皆さんも途中で止まっちゃってる作品などありましたら買いましょう。
(紹介はだいたい発売日順)
『シネマこんぷれっくす!』(全6巻)(ビリー)
曲者ぞろいの高校シネマ部を舞台に映画オタク達の激しい掛け合いを描いたコメディ。
ストーリーを畳みつつ、各キャラクタのエピソードをきっちり消化して綺麗に大団円。
『BEASTARS』(全22巻)(板垣巴留)
草食と肉食動物の獣人達が共生する世界を舞台にしたアニマルサスペンス。
捕食者と被捕食者が共生する世界観と異種族恋愛というテーマに決着をつけて完結。
『メタモルフォーゼの縁側』(全5巻)(鶴谷香央理)
75歳にしてBL漫画にハマった老婦人とBL好き女子高生との交流を描いた作品。
等身大のキャラクタ達が生きている様子は現実感溢れる。全5巻のストーリー構成もお見事。
『バクちゃん』(全2巻)(増村十七)
夢が枯渇したバクの星から移民として地球にやってきた子供バクを主人公にした物語。
外国人移民を異星人に置き換えて描くという挑戦的な試みはユニークだった。
『あつもりくんのお嫁さん(←未定)』(全6巻)(タアモ)
御曹司に恋をして彼と恋仲になるために単身上京した田舎娘を描いた作品。
全6巻で少女漫画のお手本にすべき綺麗なストーリー構成で完結。良い漫画でした。
『姉のおなかをふくらませるのは僕 おかわり!』(全2巻)(坂井音太/内藤らぶか)
血の繋がらない姉弟とその周りの人々の交流が描かれる創作家庭料理日常漫画。
キャラクタの個性を活かすお話作りやグルメ描写の丁寧さは無印から継続して魅力的。
『ニジとクロ』(全3巻)(武梨えり)
何でも白黒はっきりつけたい少女と鳥かネズミのような謎の生き物との生活を描いた作品。
生体不明の生物から始まり、人生のパートナーに至るまで関係性が変化が丁寧に描かれていた。
『恋屍川さんは肉食系』(全2巻)(矢寺圭太)
自身がゾンビであることを隠して学生生活を送りたいギャル女子高生が主人公のコメディ。
「食べちゃいたい」のダブルミーニングなど、ゾンビ女子高生設定が上手く活かされていた。
『衛府の七忍』(全10巻)(山口貴由)
異形の鎧を身にまとう怨身忍者達が悪を討つ江戸トンデモバトル物。
最後まで灰汁の強すぎるキャラクタ達が織りなす変な熱量溢れる世界を堪能できた。
『あゝ我らがミャオ将軍』(全4巻)(まつだこうた/もりちか)
北にありそうな社会主義国家の最高指導者を務める幼女の奔放な政治活動を描いたコメディ。
北ライクな国が舞台ではあるが可愛くほのぼのな雰囲気が徹底されておりユニークな作品だった。
『タカコさん』(全6巻)(新久千映)
人より少し耳が良くて日常の機微に敏感な女性を主人公に彼女のささやかな生活を描いた作品。
周囲の人間のしぐさや心の機微に気が付く主人公の視点を描くというスタンスが徹底されていた。
『インハンド』(全5巻)(朱戸アオ)
偏屈寄生虫学者が違法治療などの事件に挑む医療サスペンス。
主人公の過去編に丸々一冊使った力の入った完結巻。
『猫が西向きゃ』(全3巻)(漆原友紀)
特定区域の物理現象が変化する奇妙な自然現象の処理を専門にする業者を描く物語。
危ういバランスののんびりした空気感。最終2話の構成が上手く読後感気持ちいい。
『死んだ息子の遺品に息子の嫁が入っていた話』(全2巻)(秀)
息子を亡くした両親と彼の嫁だと言い張るアンドロイドとの交流を描く物語。
アンドロイドの自意識確立とセンチメンタル強めな家族ドラマが上手い具合に組み合わさっていた。
『チェンソーマン』(全11巻)(藤本タツキ)
チェンソーの悪魔と同化した欲望に素直な男と悪魔達との戦いを描いたダークファンタジー。
混沌を極めたこれまでの物語を綺麗にまとめ上げる最終巻のストーリー構成美しい。
『手品先輩』(全8巻)(アズ)
アガり症で(エロい)失敗ばかりする手品好き女子高生が主人公の奇術部ショートコメディ。
キャラクタ同士の関係性に大きな進展もさせず最後までお色気コメディとしてぶれなかった。
『能力 主人公補正』(全3巻)(鬼頭莫宏/当麻)
平凡な男子高校生が「主人公補正」の能力を授かったことで人生が一変する物語。
原作の鬼頭莫宏先生の悪ノリみたいな雰囲気が終始貫かれていた。
『ようかい居酒屋 のんべれケ。』(全5巻)(nonco)
河童など様々な美少女妖怪が訪れる居酒屋を舞台にしたお色気強めなドタバタコメディ。
最終巻まで新キャラ出しまくりで騒がしいくらいに賑やかな雰囲気で完結まで走り切った。
『いちげき』(全7巻)(松本次郎/永井義男)
江戸を舞台に、薩摩に対抗して幕府が組織した農民出の急造武士集団の奮闘を描いた物語。
戦いの目的が不明瞭になり様々な感情が入り交じる混迷具合の描き方が巧みだった。
『東京城址女子高生』(全4巻)(山田果苗)
東京にかつて存在した「城の跡地」を巡る女子高生を描いた作品。
ニッチな題材ながらお台場などの有名な土地の城にまつわる歴史をしっかりと紹介していた。
『ニコラのおゆるり魔界紀行』(全4巻)(宮永麻也)
魔族が住む魔界に迷い込んだ人間の少女と悪魔の青年との呑気な冒険を描いたファンタジー。
可愛らしい絵柄に幻想的な画面作り、ゆるい魔界の世界観など魅力的だった。
『あの人の胃には僕が足りない』(全6巻)(チョモラン)
怪物を惹きつける少年と秘密を抱えた先輩女子がワタリと呼ばれる怪物を退治する物語。
独特のキャラクタデザインと緻密な作画のクオリティが魅力的な作品だった。
『可愛そうにね、元気くん』(全8巻)(古宮海)
人が傷ついた姿に興奮を覚える少年が同級生女子への想いに悩む物語。
これまでのストーリーを思えばマイルドな着地点。一本筋の通った良い作品でした。
『向井くんはすごい!』(全2巻)(ももせしゅうへい)
ゲイであることをバラされた陽キャ高校生を中心にクラスメイト達を描く物語。
キャラクタ達の思考が各人の二面性も含めてしっかり描き分けられている。
『家庭教師なずなさん』(全4巻)(縁山)
黒い資産家の孫と彼を立派な悪党に育てるためにやってきた家庭教師の女性を描くコメディ。
面白いキャラクタ設定や小気味よい掛け合い魅力的な良い作品だった。
『魔々ならぬ』(全3巻)(ゆーき)
漫画家志望の男性と異世界から来た魔術師と魔王との同居生活を描いたコメディ。
ユニークなメタファンタジー設定にドタバタで賑やかな雰囲気など面白い魅力を持った作品だった。
『CITY』(全13巻)(あらゐけいいち)
どこか変わった人々が住む町を舞台にしたシュールギャグオムニバス。
画面狭しと暴れまわるキャラクタ達はこれ以上なく賑やかでお祭り気分な最終巻。
『はたらくすすむ』(全4巻)(安堂ミキオ)
風俗店のボーイとして働く定年を迎えた真面目な男性と風俗嬢との交流物を描く物語。
風俗業界に限らず、労働に対するスタンスについて誠実に描いていた印象。
『夜と海』(全3巻)(郷本)
孤高の美少女と気ままな同級生女子、学校のプールで出会った二人の関係を描いた作品。
特異な性格の二人の不思議な距離感を作品通して丁寧に描いてきていたのでラストにも納得。
『ふたり明日もそれなりに』(全5巻)(すずゆき)
付き合って1年半、同棲始めたて社会人カップルの仲睦まじい様子を描く物語。
主人公二人の仲睦まじく幸せな様子を最後まで楽しませてもらった。
『殺し屋Sのゆらぎ』(全4巻)(舟本絵理歌)
ターゲットの女子高生に一目惚れしてボディガードになった殺し屋男性の日々を描いた作品。
シビアな話も交えつつ心温まるストーリーで見事に大団円。柔らかい印象の良い漫画だった。
『アスペル・カノジョ』(全12巻)(萩本創八/森田蓮次)
同人描きの男のもとに転がり込んできたアスペルガー症候群の女性を描いた作品。
生きにくい二人が将来に対して楽観的ではないが細やかな希望を抱けるような美しいラスト。
『雨の日も神様と相撲を』(全3巻)(戸賀環/城平京)
カエルを神と崇め相撲を価値観の中心に置いた村を舞台にしたミステリ小説コミカライズ。
全ての要素が相撲と蛙に集約していく奇抜なストーリー。全3巻で綺麗にまとまっていた。
『あせとせっけん』(全11巻)(山田金鉄)
汗かきがコンプレックスな女性と匂いフェチな男性との恋人関係を描いた物語。
これまでのエピソードやキャラクタ達もしっかりと登場させたこの上ないハッピーエンド。
『ぽんこつポン子』(全10巻)(矢寺圭太)
妻に先立たれた頑固な老人と彼のもとにやってきたメイドロボとの交流を描いた作品。
家族の物語としてハートフルな展開で綺麗にまとまって大団円。最終巻の構成としてお見事。
『ロジックツリー』(全2巻)(雁須磨子)
8人兄弟の5番目少女を中心に個性豊かな大家族を描いた群像劇。
雁須磨子先生らしい直接的でなく匂わせるような演出でキャラクタの感情が描写されている。
『悪魔のメムメムちゃん』(全12巻)(四谷啓太郎)
全然仕事できないところがダメ可愛いポンコツ悪魔を中心に繰り広げられるコメディ。
キャラクタ同士の関係が構築されていく様子が楽しかった。最終話も実に本作らしい展開。
『命がけでもたりないのさ』(全2巻)(大柴健)
事故で亡くなったレーサーの父の意思を継いでレースゲームに興じる少女が主人公のeスポーツ物。
高校部活物の青春要素とeスポーツという題材を上手く組み合わせていた。
『進撃の巨人』(全34巻)(諫山創)
巨人と人類の生存戦争を描いていた巨編ダークファンタジー。
これ以上ない注目を集め作者にかかるプレッシャーは計り知れない中での見事な完結巻。
『怒りのロードショー』(全3巻)(マクレーン)
男子高校生4人組を中心に映画好きの人々の交流を描いた映画コメディ。
本作らしい悪ふざけとお祭り的な雰囲気は最後まで楽しかった。
『思えば遠くにオブスクラ』(全2巻)(靴下ぬぎ子)
ワーホリでベルリンに滞在するビデオグラファーの女性の生活を描く物語。
ドイツおよび周辺の国々の料理などの文化紹介は興味深いし実際に行ってみたくなる。
『友達として大好き』(全3巻)(ゆうち巳くみ)
動物的恋愛脳な女子が規則に厳格な堅物男子と友達になるために奮闘する物語。
友達との関係性が深まった時の感情の高鳴りが非常にエモーショナルに描かれていた。
『趣味のラブホテル』(全3巻)(らぱ☆)
同人作家の女性とふたなり美少女天使が全国各地のユニークなラブホテルを巡っていく物語。
多様な実在ラブホテルの紹介に加えて主人公二人の顛末もきっちりまとめた充実の最終巻。
『女の体をゆるすまで』(全2巻)(ペス山ポピー)
生物学的には女性ながら性自認に迷う作者の体験を赤裸々に描くエッセイ漫画。
思い返すのも辛いであろうエピソードが丁寧に描かれており身につまされる。
『4ジゲン』(全6巻)(にざかな)
老若男女様々な人々が通う定時制高校を舞台にしたギャグ漫画。
ダジャレを中心とした固定キャラクタによるネタは良くも悪くも最後までクオリティ安定。
『ビューティフル・エブリデイ』(全3巻)(志村貴子)
エロ漫画家の母親を持つ女子高生と、母の再婚相手の連れ子兄妹を中心に描かれる群像劇。
他の志村貴子作品同様に軽やかな読み味。短めながらすっきりとまとまってはいた。
『ほしとんで』(全5巻)(本田)
芸術学部の俳句ゼミに配属された変人に好かれる青年とそのゼミ仲間達を描いたコメディ。
愛すべきキャラクタ達やテンポの良い掛け合いなど最後まで素晴らしかった。
『無敵の未来大作戦』(全3巻)(黒崎冬子)
お金持ちの「聖人」に一夫多妻(一妻多夫)が許可された制度を中核に据えた学園コメディ。
荒唐無稽さなコメディがメインながら恋愛に対して強いメッセージが込められた作品だった。
『双亡亭壊すべし』(全25巻)(藤田和日郎)
空爆でも壊れない謎の幽霊屋敷を舞台にしたアクションホラーの完結巻。
凧葉という何者でもなかった男が怪物泥怒を打ち負かす最終決戦は圧巻のクオリティ。
『純情戦隊ヴァージニアス』(全5巻)(福岡太朗)
純潔であることで力を発揮できるヒーロー戦隊に所属する33歳男性が主人公のコメディ。
4ページ1話で全230話、良くも悪くもライブ感のあるスタイルは最後まで貫かれていた。
『ジョジョリオン』(全27巻)(荒木飛呂彦)
等価交換効果のある木の実を巡る争いが繰り広げられるミステリ色強めなジョジョ第8部。
戦闘シーンの分かりにくさ、難解な設定、キャラクタ描写の薄さなどテンポの悪さなどが目立った。
『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』(全2巻)(高橋すぎな)
公私ともに几帳面な会社員女性が美味しい食事を前に気が緩んでしまう様子を描いたグルメ物。
登場する料理のバリエーションやイメージしやすい食レポ描写などグルメ要素は丁寧だった。
『人の息子』(全3巻)(あのあやの)
漫画家の独身男性が彼を慕う施設住まいの少年を里親として引き取ろうとする物語。
里親という特殊な状況だからこそ生まれる家庭内外の問題などを丁寧に描いていた。
『半助喰物帖』(全6巻)(草香去来/灯まりも)
江戸時代からタイムスリップしてきた武士が文化を学びながら料理を作るグルメ漫画。
江戸と現代日本の文化対比は最後まで丁寧。ストーリーも本作らしいまとめ方で大団円。
『ときめきのいけにえ』(全3巻)(うぐいす祥子)
猟奇的な家庭に住む少女が意中の男子からの告白に思い悩むホラーラブストーリー。
終盤駆け足ながら壮大な設定やホラーを恋愛で押さえ込むというコンセプトは上手く描けていた。
『ヨリシロトランク』(全3巻)(鬼頭莫宏/カエデミノル)
「殺された人間」があるルールに従うと生き返るように改変された世界を描くサスペンス。
クローズドサークルでの殺人事件など本作の設定を派生させたお話作りはアイディアが面白かった。
『ボクらは魔法少年』(全7巻)(福島鉄平)
やんちゃなガキ大将が魔法「少年」に変身して町を守るヒーロー物語。
本作らしい歪みも残しつつ物語は綺麗にまとまって大団円。エピローグも爽やかな読後感。
『星のさいごメシ』(全3巻)(おおひなたごう)
ライターの女性が死ぬ前に食べたいさいごメシについて人々にインタビューするコメディ。
シリアス中心ストーリーの随所に挟まる細かいギャグというスタイルは面白かった。
『海辺のキュー』(全4巻)(背川昇)
先輩からのイジメに悩む女子中学生と彼女の前に現れた謎の生物との奇妙な交流を描く物語。
日常が崩壊してからの怒涛の展開で畳みかけてきた最終巻。パンチの効いた良い作品。
『リリィ・トライアングル』(全3巻)(ツナミノユウ)
高校生徒会を舞台にクレイジーなテンションで繰り広げられる三角関係百合4コマコメディ。
クレイジーなキャラの言動や誇張し過ぎた漫画表現などをメタ的に扱うの新しい。
『午後9時15分の演劇論』(全3巻)(横山旬)
美術大学の夜間学部に通う曲者揃いの人々による学生演劇を描く物語。
バリエーション豊かなキャラクタ模様やアクロバティックなストーリーなどユニークな内容だった。
『スインギンドラゴンタイガーブギ』(全6巻)(灰田高鴻)
戦後の日本を舞台に姉の想い人を探す少女と彼女が参加するジャズバンドを描く物語。
不器用なキャラクタ達が一つの音楽を共有して繋がっていくストーリー構成が良かった。
『綴れのレグホーン』(全3巻)(五辻みどろ)
無法地帯の街を舞台に、地質学者の女性と現地の少女が街の秘密を探るファンタジー。
情報も画面もごった煮感もユニークな作品であった。3巻通したストーリーも綺麗。
『インスタントライフ』(全3巻)(江戸川治)
死んだ生き物を3分間だけ蘇らせるサービスを提供する不思議な二人組を描く物語。
ショッキングな題材を活かしたストーリーや読者を驚かせる仕掛けなど工夫されていた。
『男爵にふさわしい銀河旅行』(全3巻)(速水螺旋人)
貧乏だけどプライドはいっちょ前な貴族が理想の花嫁を探して銀河を旅するファンタジー。
ラブロマンスや終盤のスケールの大きなSF展開も含めて、冒険活劇として綺麗に大団円。
『人形の国』(全9巻)(弐瓶勉)
人形病が蔓延する世界で自由に体を人形に変える正規人形達の戦いを描いたファンタジー。
最後に明かされた作品世界の根底となる設定は骨太のハードSFかつ弐瓶勉っぽくて魅力的であった。
『14歳の恋』(全12巻)(水谷フーカ)
大人びているけど中身はまだまだ子供なカップルを中心に中学生の恋愛を描く群像劇。
各カップルのエピソードを消化しつつ大団円。初心な中学生の恋模様は最後まで可愛かった。