本記事では2022年下半期に私が読んだ約400冊の漫画の中で、特に表紙デザインが好きだったものを20作品ピックアップしました(順番はだいたい発売月順)。漫画選びの参考にして頂けますと幸い。漫画デザイン、細部まで凝ったものが多いので、皆さんも手元にある漫画表紙デザインを見直してみましょう。

『さよなら絵梨』(藤本タツキ)
母を亡くした少年と謎の少女の映画撮影を通じた奇妙な交流を描いた物語。
映画撮影やファインダー越しの視点など作中の仕掛けを暗示させるデザイン。
『ダンジョン飯(12)』(九井諒子)
魔物を調理して食べながらダンジョン深部を目指す冒険者一行を描いたファンタジー。
強大な力を手にしたマルシルや翼獅子の腕など本編中の展開を上手く画に落とし込んでいる。
『鍋に弾丸を受けながら(2)』(青木潤太朗/森山慎)
「治安の悪い場所の飯は上手い」をコンセプトに世界中を旅する美少女(?)を描く作品。
鮮やかな色合いの果実で画面全体を三分割にした画面構成がユニーク。
『私の胎の中の化け物(1)』(中村すすむ)
品行方正な少女がある出来事をきっかけにタガが外れたように悪事に手を染める物語。
恍惚とした表情の少女とこぼれ落ちる花々など本作らしい。フォントもユニーク。
『山口つばさ短編集 ヌードモデル』(山口つばさ)
不良少年が同級生女子のヌードモデルをする表題作含む3作を収録した短編集。
シンプルながら大胆な構図。作品タイトルと作者名をここまで目立たせない表紙も珍しい。
『地元最高!(1)』(usagi)
イリーガルなアングラ世界を生きる女の子達のすさんだ日常を描く物語。
路上でよくわからないものを売る貧相な少女の無邪気な笑顔が本作の雰囲気を物語っている。
『破談から宜しくお願い致します(2)(完)』(水島ライカ)
ジムを経営する男性と彼を一途に慕う財閥令嬢との関係を描くラブコメディ。
シンプルなデザインながらヒロインの目力が強い。目立たないタイトルロゴも面白い。
『われわれは地球人だ!(1)』(高橋聖一)
宇宙空間を旅するショッピングモールとそこに閉じ込められた女子高生3人を描く物語。
ポップな宇宙船内のデザインとキャラクタのたたずまいがユニーク。ロゴデザインも良い。
『SPY×FAMILY(10)』(遠藤達哉)
スパイの父と殺し屋の母と超能力者の娘、正体を隠す3人を描く擬似家族コメディ。
椅子に座ったキャラクタで表紙デザインが統一される本作の中で今巻の異質さは目を引く。
『平家物語夜異聞(1)』(黒崎冬子)
平安時代にタイムスリップした高校生男女が平徳子と源義経に成り代わり対立する物語。
煩雑なようでロゴ含めて画面全体で整理されており、すっきりまとまったデザインが素敵。
『くるくるくるま ミムラパン(3)(完)』(関野葵)
移動式パン屋を営む男性と車屋勤めの女性コンビが街の困りごとを解決する物語。
水晶に映る魚眼レンズのような画面とキャラクタと正対するような構図がユニーク。
『ここは鴨川ゲーム製作所(1)』(スケラッコ)
会社を辞めた美大出の女性を中心に人々が集まりゲームを作る様子を描いた作品。
ゲーム製作者達がレトロゲームの中に入り込んだような画面構成が面白い。
『タイのひとびと(1)』(小林眞理子)
タイに頻繁に訪れる作者が現地の生活や人々の魅力をたっぷり描いたルポ漫画。
ビビッドな色使いでタイの屋台の幻想的な雰囲気が上手く演出されている。
『スイカ(2)』(森とんかつ)
オカルト的存在の少女と彼女に気に入られた不運な高校教師コンビを描くホラーギャグ。
関連性のないものが並ぶ白昼夢のような雰囲気が本作らしい。
『ふみちゃんの楽園(1)』(さとまるまみ)

スランプ中の小説家の女性と同居する男性との性行為含む生活を描いた作品。
本作の雰囲気を端的に表したストレートなデザイン。キャッチコピー的な一文も良い。
『宝石の国(12)』(市川春子)
身体が宝石で出来た生き物達と月から飛来する月人達を描いていたファンタジー作品。
シンプルなデザインながら本編を読んだ後ではかなり心をえぐってくる画面。
『令和のダラさん(1)』(ともつか治臣)
山に住まう異形の妖怪と彼女と仲良くなった人間の姉弟との交流を描くコメディ。
不気味なホラーと緊張感のないコメディが入り交じる本作らしい対比構造が面白い。
『ベイビーブルーパー(1)』(はるにわかえる)
青春恋愛映画を撮りたい男子とホラー映画を撮りたい女子が主人公の高校映画部コメディ。
キュートでポップながら血みどろな本作の内容を上手く表したデザイン。
『オナ禁エスパー 竜丸短編集』(竜丸)
オナ禁が続くほど強力な超能力得る中学生男子が地球を守る表題作を含む短編集。
爽やかなイラストなようでジョークグッズを持つ女性などに本作の内容が暗示される。
『雨宮さん(1)』(あらゐけいいち)
日常の中の言語化できない「何となく好き」を求める少女が主人公のコメディ。
曼荼羅のような構図に日常的な物品が並ぶ独特のデザインセンスはあらゐ先生らしい。