IMG_3909

 2023年10月読んだ漫画をまとめます。

 10月に読んだ漫画は89冊。『フラジャイル』全巻を一気読みしたこともあり沢山読めました。

 読んだ中のオススメ作品をピックアップします。


『呪術廻戦(24)』(芥見下々)

社会に潜んだ呪いを祓う呪術師達と呪霊との戦いを描く物語。
死滅回游編で停滞気味だったメインのストーリーが大きく動き始めて盛り上がってきた。


『あかね噺(8)』(末永裕樹/馬上鷹将)

落語家だった父親の無念を晴らすため自身も落語家になり真打を目指す少女が主人公の物語。
満を持して主人公が父親の落語を通して彼自身の人格とも向き合う展開が素晴らしかった。


『くりことびより(2)』(雪本愁二)

子供のいない夫婦と里親制度でやってきた女の子とのお菓子作りを通した交流を描いた物語。
天真爛漫な子供とそんな彼女の一挙手一投足を優しく見守る夫婦の姿に心が温かくなる。


『ウツパン 消えてしまいたくて、たまらない―』(有賀)

鬱病で自殺願望に苛まれている作者の過去から現在までを振り返るコミックエッセイ。
実際に体験した人間でしか描けないような臨場感がありエッセイとして説得力が強い。


『かげきしょうじょ!!(14)』(斉木久美子)

女性だけで構成された名門歌劇団の養成機関である音楽学校を舞台にした物語。
障害にぶつかりながらも夢への道を進んでいく少女達の姿がキラキラと眩しい。


『放課後ひみつクラブ(3)』(福島鉄平)

エキセントリックな少女と冷静な少年が学園の秘密を探るコメディ。
漫画的表現を駆使したキャラクタ達の掛け合いはハイテンポで非常に楽しい。


『くらげと珊瑚(2)(完)』(仲藤ぬい)

天真爛漫すぎる双子の妹を疎ましく思う少女と想い人の男子との交流を描いた作品。
妹に対する姉のコンプレックスを上手く活かして男子側との恋愛も成就し綺麗に完結。


『かさねと昴(2)』(山田金鉄)

女装が趣味な会社員男性と彼の同僚の女性との交流を描く物語。
付き合いたてのカップルと第三者の関係性を細かい心理の揺れ動きまで丁寧に描いていた。


『異世界発 東京行き』(大武政夫)

手違いで魔法少女に指名された少年を描く中編を含む作品集。
シュールなシチュエーションの作り方と四苦八苦するキャラクタ達の滑稽さが楽しい。


『J⇔M ジェイエム(1)』(大武政夫)

女子小学生と身体が入れ替わってしまった殺し屋の奮闘を描いたコメディ。
入れ替わり設定と大武先生のギャグスタイルがしっかりマッチしており素晴らしい。


『君は放課後インソムニア(14)(完)』(オジロマコト)

高校の天文部を舞台に不眠症という共通の悩みを持つ男女を描く物語。
主人公二人がお互いの大切さを確認し合う会合のシーンは本作の集大成としてふさわしい。


『いやはや熱海くん(2)』(田沼朝)

顔が綺麗で男の人が好きで惚れっぽい男子高校生の日常を描く物語。
キャラクタ達の性格の描き分けが抜群に上手く実在する人間のようなリアリティがある。


『ちがう宮原おまえじゃない!(1)』(帯屋ミドリ/藤高つむり)

意中の女子にアプローチするも幼馴染女子にいつも邪魔される男子が主人公のラブコメディ。
ダブルヒロインの構図で進んでおりラブコメとしてバランスが良い。


『この部屋から東京タワーは永遠に見えない 上』(麻布競馬場/川野倫)

現代日本の格差や嫉妬、生きづらさを描くタワマン文学と分類される小説のコミカライズ。
成功者と見なされプライドが高い人々ならではの悩みや葛藤に対する解像度が高い。


『エロチカの星(2)』(前野温泉)

さえない漫画家志望の男性と謎の美少女がコンビを組んでエロ漫画家のトップを目指す物語。
暴走しがちなヒロインと彼女に振り回されつつ心理面を支える主人公のコンビが良い。


『鬱ごはん(5)』(施川ユウキ)

フリーターの主人公がネガティブな持論を展開しながら1人で飯を食う物語。
食事と合わせて描かれる自身の人生に諦観している主人公の思考が興味深い。


『異世界サムライ(2)』(齋藤勁吾)

ファンタジー世界に転生した戦いに死に場所を求める侍が主人公の物語。
現実と異世界の死生観の違いをベースに主人公の特異性を強調する構成が上手い。


『音盤紀行(2)』(毛塚了一郎)

祖父の遺品のレコードの謎を追う女性二人の話などレコードをテーマにした短編集。
過去の文化に対する拘りが作品の随所から感じ取れて作品全体がユニークな雰囲気。


『俺の男魂 サクリファイス(1)』(はせべso鬱)

お嬢様女学園で女装が周囲にバレないように悪戦苦闘する男の娘が主人公の物語。
癖が強すぎる周囲の人々や自身の性欲に振り回される主人公の慌てふためく様子が滑稽。


『ハネチンとブッキーのお子さま診療録(1)』(佐原ミズ)

子育てに悪戦苦闘するシングルファーザーの男性と一風変わった小児科医が主人公の医療物。
子供達の行動に振り回される大人達が愛情を再確認するストーリー構成が素敵。


『ダイヤモンドの功罪(3)』(平井大橋)

規格外の才能ゆえに仲間と野球を楽しむことが許されない少年が主人公の物語。
キャラクタ達の悩みや葛藤、言葉に出さない内に込めた心理まで丁寧に描かれている。


『生活保護特区を出よ。(3)』(まどめクレテック)

能力不振や病気障害を持つ人間が集められる生活保護特区に送られた少女を描く物語。
底辺に属する人々の思考にリアリティがある。神事シーンの画面表現もユニークだった。


『ラブらず 恋が分からない男女の話(2)(完)』(梅里汐)

恋に憧れはあるけど恋愛感情がわいてこない似たもの同士男女の交流を描く物語。
社会通念化した恋愛ベースの人間関係に対して疑問符を投げるコンセプトがユニーク。


『だんドーン(1)』(泰三子)

幕末を舞台に「日本警察の父」と呼ばれる男、川路利良の生涯を描く物語。
重厚なストーリーとパワフルなコメディが混ざるスタイルは秦三子作品らしさ満載。


『僕の妻は感情がない(7)』(杉浦次郎)

料理用の家事ロボットと彼女を妻として扱う会社員男性との交流を描く物語。
ロボットSF作品の普遍的なテーマを本作ならではのストーリーで丁寧に描いてくれている。


『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season10』(服部昇大)

邦画好きな女子高生が賛否両論ある邦画を紹介する映画コメディ。
映画に限らないオタクのスタンスについて描かれているのが興味深い。


『鬼ゴロシ(12)』(河部真道)

謎の暴漢集団に家族を殺され自身も頭部を損傷した男の復讐劇を描く物語。
キャラクタ達の欲望が交錯し複雑化した本作のストーリーも徐々に集約に向かっている。


『国家心中 枝田作品集』(枝田)

傍若無人な名家の令嬢と自死から蘇った使用人を描くお話を含む作品集。
表題作が秀逸で二転三転するストーリー構成と主人公二人の関係性が素晴らしい。


『メダリスト(9)』(つるまいかだ)

気弱な少女と熱血男性コーチのコンビがメダリストを目指すフィギュアスケート物語。
競技シーンの没入感、感情を揺さぶるストーリー構成など、どの要素をとっても圧巻。


『路傍のフジイ(1)』(鍋倉夫)

40過ぎで非正規社員、冴えないけど何故だか人を惹き付ける不思議な男性が主人公の物語。
他人の価値観に左右されずマイペースに人生を楽しむ主人公が独特で興味深い。


『劇光仮面(4)』(山口貴由)

大学時代に特撮研究会に所属していた男性とその仲間達を描く物語。
本気で特撮に取り組んでいた主人公達が非現実と向き合うストーリーには緊迫感がある。


『東京ヒゴロ(3)(完)』(松本大洋)

出版社を早期退職した漫画編集者の男と周囲の人々を描く物語。
各々の思想を持って漫画に対して誠実なキャラクタ達など、上質で美しい作品だった。


以上が10月発売の作品。以下はそれ以外。


『フラジャイル(1)~(26)』(恵三朗/草水敏)

性格と口と人相が極めて悪い、病気の原因過程を診断する病理医が主人公の病院ドラマ。
医療ドラマや人情劇のクオリティは高く、それを支えるキャラクタ達も皆魅力的。