2023年の読んだ漫画まとめ記事、その1。新人漫画家作品編。
※この記事中で扱う新人漫画家の定義は、「2023年1月1日~2023年12月31日の間に初商業コミックが発売になった漫画家(Amazon調べ)」としています。また、二人以上で描いている場合は、どちらか一方が上記のレギュレーションに合致すればOKとしています。
上述したレギュレーションの「新人漫画家」の中で私がコミックを読んだのは計64人分。例年より少な目。
その中で特にオススメの漫画家さんを20人ピックアップします。皆さんの青田買いの参考にして頂けますと幸いです。
20位『おじくんとめいちゃん(1)(2)』(ナキエイドー)
半年前に連載が終了した仕事のない漫画家男性と彼を慕う姪っ子との交流を描く物語。
鬱をこじらせた男性側の思考と明るく人懐こい姪っ子の言動のコントラストが良い。
19位『ドランク・インベーダー(1)~(4)(完)』(吉田優希/Rootport)
酒の力で異世界征服を企む日本政府とそれを阻止しようとする酒好きの青年を描く物語。
奇を衒った設定ながらアルコールに関する描写は丁寧で題材に対するリスペクトを感じる。
18位『散歩する女の子(1)(2)』(スマ見)
道端の標識から妄想を膨らませるなど散歩しながら色んな遊びをする女子二人を描いた作品。
実写の写真を交えながら自分達でも実践できそうな散歩遊びが紹介されており面白い。
17位『うらうらひかる 津々に満つ(1)』(高村秀路)
母を亡くした少年とその父親が彼女の臓器移植相手に会うために旅をする物語。
温かい話が主軸ながらその陰に見え隠れする残酷な現実がヘビーで感情を揺さぶってくる。
16位『開花アパートメント(1)』(飴石)
大正末期を舞台にあるアパートに住む秘密を抱えた変わり者を描く物語。
当時の人々のファッションや生活習慣などが作品内でしっかり描写されている。
15位『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話(1)』(さとうはるみ)
仕事人間のアラフォー男性がビスクドール沼にどっぷりハマっていく物語。
美しいものに出会い新しい価値観に目覚めていく主人公の新鮮なリアクションが素敵。
14位『脳梁ドッグファイト(1)』(常盤魚)
思わせぶりな幼なじみ女子に対して理性と本能がせめぎ合う男子の葛藤を描いたコメディ。
意地っ張りで見栄を張るけど内心は不安でいっぱいな主人公カップルがどちらも可愛らしい。
13位『一二三四キョンシーちゃん(1)』(つのさめ)
最新技術で作られたキョンシー少女と彼女と同居する小学生女子が主人公のコメディ。
可愛らしいキャラデザインと妙に冷静な掛け合いが独特の雰囲気。
12位『東東京区区』(かつしかけいた)
多様なルーツやバックグラウンドを持った三人組が東東京を街歩きする作品。
現代的な建物から街の成り立ちや人々の営みの歴史を読み取っていく姿勢は興味深い。
11位『夏・ユートピアノ』(ほそやゆきの)
ピアノの調律師の女性とピアニストを親に持つもう一人の女性との交流を描く物語。
女性二人のユニークな関係性や繊細で複雑な感情が情緒的な表現も交えて描かれている。
10位『エロチカの星(1)(2)』(前野温泉)
冴えない漫画家志望の男性と謎の美少女がコンビを組んでエロ漫画のトップを目指す物語。
無表情で傍若無人ながら時折人間味溢れる表情をみせるヒロインが大変魅力的。
9位『BEAT&MOTION(1)(2)』(藤田直樹)
かつてアニメ制作の夢を諦めていた青年がある女性との出会いから再び夢と向き合う物語。
挫折から立ち上がり目標に向かって邁進していく主人公の姿が力強い。
8位『神田ごくら町職人ばなし 〈一〉』(坂上暁仁)
江戸時代の神田を舞台に、桶職人や刀匠など、様々な職人達を描いた作品。
職人達の動作と手さばき、出来上がる商品のち密さが精緻な作画で美しく描かれている。
7位『ラブらず 恋が分からない男女の話(1)(2)(完)』(梅里汐)
恋に憧れはあるけど恋愛感情がわいてこない似たもの同士男女の交流を描く物語。
キュンとするシチュエーションを冷静に分析する二人の掛け合いがユニーク。
6位『SAN値直葬!闇バイト(1)』(ムクロメ)
金にがめつい貧乏少女が怪物のぬいぐるみを仕入れる怪しいバイトに勤しむコメディ。
クトゥルフ神話ベース設定の不穏さにパワフルなコメディのノリが負けていない。
5位『いやはや熱海くん(1)(2)』(田沼朝)
顔が綺麗で男の人が好きで惚れっぽい男子高校生の日常を描く物語。
キャラクタ達の性格の描き分けが抜群に上手く実在する人間のようなリアリティがある。
4位『かわいすぎる人よ!(1)』(綿野マイコ)
容姿に自信がない少女と容姿端麗なおじ、同居する二人の生活を描く物語。
主人公二人の交流がたまらなく愛おしいし良い雰囲気が周囲に伝播する構成もハッピー。
3位『ダイヤモンドの功罪(1)~(4)』(平井大橋)
規格外の才能ゆえに仲間と野球を楽しむことが許されない少年が主人公の物語。
純真無垢な主人公を徐々に追い込んでいく陰湿なストーリーには強烈なインパクトがある。
2位『国家心中 枝田作品集』(枝田)
傍若無人な名家の令嬢と自死から蘇った使用人を描くお話を含む作品集。
表題作が秀逸で二転三転するストーリー構成と主人公二人の関係性が素晴らしい。
1位『君と宇宙を歩くために(1)』(泥ノ田犬彦)
ヤンキーの少年と転校生のもう一人の少年、「普通」ができない二人を描く物語。
タイプは違うが類似の悩みを持ち、互いを尊重し合う二人の関係性がたまらなく愛おしい。