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 2024年3月読んだ漫画をまとめます。

 3月に読んだ漫画は57冊。今年は忙しいので月平均50冊以上読めてれば良いかなぁという感覚で読んでいます。

 以下で読んだ中のオススメ作品をピックアップします。


『カラフルグレー(3)』

居城の爆発を阻止するために亡き父の死体の欠片を集める不死の少女を描いた作品。
フェチ要素が強い個性的なキャラデザインや軸をずらしたコメディは独特の雰囲気で面白い。敵味方ともにおとぼけを交えながら進む戦闘シーンも妙なテンションで楽しい。


『姫様"拷問"の時間です(14)』

高級食パンやワッフルなど様々な拷問を受ける囚われの姫を描いたコメディ。
本作独自の拷問概念が更に広がって好き放題に展開されており楽しい。出オチみたいな設定なのにここまでバリエーション豊かにお話を作れているの素晴らしい。


『正反対な君と僕(6)』

素直になれない陽キャ女子と彼女が想いをよせる物静かな男子との交流を描いた作品。
初々しい高校生達の恋愛模様が自意識との葛藤や迷いも含めて解像度高く描かれている。各キャラクタの価値観や他者との接し方の違いもきっちり描き分けられている。


『氷の城壁(10)』

人と距離を取りがちな女子高生含む男女グループ4人組の交流を描く物語。 
繊細で多感な高校生達の心理描写に対する描き分けが巧みで共感性が高い。それゆえに気持ちのすれ違いも身近に感じ取れて身につまされる。キュートな作風ながらヘビーな読み味。


『夏の終点(上)』

転校生のクラスメイト男子を好きになった中学生女子の淡い恋愛を描く物語。
大胆に省略された描線や贅沢な余白、間でキャラクタの感情を表現するコマ割りなどを組み合わせた画面表現は淡い雰囲気で大変ユニーク。甘く切ない少女の恋心を描くストーリーも素敵。


『みょーちゃん先生はかく語りき(4)』

生徒達からの下ネタ相談に本気で答えようと努力する養護教諭女性が主人公の作品。
エロい相談に対して自制心を持って真摯に対応した結果、何故だかよりエロい方向に向かっていく主人公の天然エロトラブルメーカーっぷりが面白い。


『くりことびより(3)』

子供のいない夫婦と里親制度でやってきた女の子とのお菓子作りを通した交流を描いた物語。
天真爛漫な主人公の元気いっぱいな姿がポップかつキュートで、傷を抱えた周囲の大人達がそんな彼女との交流を通して癒されていくストーリーも素敵。


『みやこまちクロニクル 父ありき編()』

岩手在住のアラフィフの独身男性と同居する両親との日々を描くエッセイ漫画。
日常の出来事が何気ない会話まで淡々としたためられており作者とともに父親の介護を追体験しているような感覚になる。エッセイとして非常によくできている。


『カノジョは今日もかたづかない(6)(完)』

周囲には見栄を張りがちなどんくさい会社員女性を主人公にした作品。
自己肯定感が低かった主人公が自分を評価し見栄を張らず地に足着いた思考ができるようになるまでの成長過程が丁寧に描かれてストーリーとして綺麗に完結。


『吉祥寺少年歌劇(2)』

「男役」と「娘役」に分かれて演じられる男性だけの劇団の養成学校を舞台にした物語。
キャラクタ達の苦悩や葛藤に対する描写の強度が高くそれゆえに彼らが友情を育みながら苦難を乗り越えていく姿が美しい。決めゴマをしっかり魅せる演出も上手く機能している。


『推し殺す(1)』

漫画家の夢を諦めた男子が自身の作品のファンである漫画家志望女子の編集者となる物語。
漫画創作の現代的なトレンドを考慮しつつ主人公二人が協力して制作に挑んでいくストーリーに爽快感がある。大学生サークルのふざけた空気感や灰汁の強いコメディ描写も魅力的。


『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ(2)』

契約社員で働く青年が人生を成功に導くために恋をしようと奮闘する物語。
純朴な若者が言葉巧みに陰謀論者に感化されていく過程が生々しく描かれており読んでいてハラハラする。恥をかくシーンの共感性羞恥心を刺激する演出もお見事。


『かまくらBAKE猫倶楽部(1)』

鎌倉の雑貨店で働く青年二人を主人公に猫に関する不思議な出来事が描かれる物語。
描かれる不思議で不気味な猫のエピソードと五十嵐大介先生の美しい作画が上手く合わさっており素敵。1話あたりのページが少ないのとライトな雰囲気で読みやすいのも良い。


『部長は少女漫画家(2)』

堅物そうに見えて実は会社に内緒で商業少女漫画を連載する男性会社員が主人公のコメディ。
テンションの浮き沈みが激しいキャラクタ達が表情豊かに一喜一憂する様子が滑稽で楽しい。掛け合いもテンポよく話が進むので読みやすい良いコメディ。


『海が走るエンドロール(6)』

65歳の女性がある青年との出会いをきっかけに映画製作を志す物語。
主人公の青年に対する想いの変化や嫉妬なども含めた複雑な感情を情緒的に表現する演出力が素晴らしい。トリックスター的な立ち位置のキャラクタ含めて各人物の役割分担も良い塩梅。


『バットゥータ先生のグルメアンナイト(2)』

14世紀に中東やインドなどを旅した実在の人物をモデルにした物語。
ライトでキャッチーな雰囲気ながら当時の人々の現代人とは異なる価値観を丁寧に描こうとする姿勢も見て取れる。しっかりとした知識をベースに題材に対して誠実な印象。


『ダイヤモンドの功罪(5)』

規格外の才能ゆえに野球を楽しむことが許されない少年が主人公の物語。
周囲の評価や主人公の行動が起こすであろう結果を彼自身がよく見えてしまっているからこその苦悩があり身につまされる。キーマンとなりそうな少年の役割が気になるところ。


『セーフセックス(2)』

初対面でホテルに行った社会人男女の恋模様を描く物語。
肉体関係で始まった二人が仲良しカップルに変化していく様子が微笑ましい。男女の仲に軽そうな二人だからこそ相手との関係に誠実に取り組もうとする姿勢にギャップがあって可愛らしい。


『白山と三田さん(10)(完)』

田舎に住む地味な高校生カップルのちょっと変な交際の様子を描いた作品。
本作らしいヘンテコなノリも交えつつ主人公の心境の変化やサブキャラクタ達のエピソード、主人公カップルの気持ちの確認などしっかり消化して気持ちのいい最終巻だった。


『レッドブルー(9)』

いじめられっ子だった少年がある理由から総合格闘技を始める物語。
歪んだ主人公の感性は周りの影響で徐々に矯正されてきたがまだまだ不穏な考えも抱いておりトリッキー。前の戦いの宿敵が修行に付き合ってくれる展開なんかは少年漫画らしくて真っ当に面白い。


『よふかしのうた(20)(完)』

不眠症の少年と吸血鬼の少女との夜の街を舞台にした不思議な交流を描く物語。 
本作の特異な吸血鬼設定とこれまでのストーリーを上手く活かして綺麗な最終巻。今後も続いていくキャラクタ達の関係性を感じさせる気持ちのいいラストでした。


『ブスなんて言わないで(4)』

自身の容姿に自信のない女性と美容研究家の女性がルッキズムについて考える物語。
男性美容研究家や若い女性に偏ったキャラクタ絵の是非など、様々なルッキズムのテーマに賛否どちらの意見も交えながら描いてくれており題材に対して非常に誠実。


『カオスゲーム(4)』

週刊誌記者の女性が奇妙な殺人鬼と自身の不思議な記憶の謎に迫るサスペンス。
妙に灰汁の強いキャラクタ達や掛け合いが激しめのコメディシーンなど特徴的で面白い。神々のゲームに巻き込まれた人間達という壮大な設定とストーリーもよく練り込まれている。


『スキップとローファー(10)』

自信家だけどちょっと抜けてる少女とクラスメイト達との交流を描く物語。
多感な時期の若者達の繊細な心理的揺らぎや他者との交流を通した変化が苦い描写も交えつつ軽やかに描かれている。キャラクタ達の成長や絆を深め合う様子が微笑ましい。


『メダリスト(10)』

気弱な少女と熱血男性コーチのコンビがメダリストを目指すフィギュアスケート物語。
障害が適切に配置してあるストーリー展開やキャラクタ同士の新たな関係性、主人公二人で進むための協力体制の再構築など、どの要素も非常に上手く制御されている。


『焼いてるふたり(14)』

BBQ好きの男性としっかり者のようで抜けている女性との夫婦生活を描いた作品。
天然な主人公夫婦だけでなく周囲のキャラクタ達も含めてのほほんとした空気が作品全体に流れており癒される。お話ごとに多様な表情を見せてくれる主人公達も相変わらず可愛い。


『街道あるくんです(2)』

江戸時代の幽霊女性を成仏させるために東海道を歩いて旅する会社員二人を描く作品。
一癖二癖あるキャラクタ達のどこかかみ合わない掛け合いが楽しい。ツッコミが鋭いのも特徴的。幽霊女性の謎が徐々に明らかになっていくストーリーも良く練られており面白い。


『夏目アラタの結婚(12)(完)』

児童相談所勤めの男性が死刑囚女性に獄中結婚を持ち掛けるラブサスペンス。
緻密に作り込まれた物語の全てに意味を持たせる怒涛の伏線回収が気持ちいい。二人の歪みながらも美しい関係性とそれを演出する終盤シーンの演出も圧巻。傑作でした。


『フールナイト(8)』

死が迫る人々を植物に変える「転花」が普及した世界を舞台にした物語。
主人公が仲間達と幸せな時間を過ごし自分の人生に意味を見つけていくにつれて彼の死が近づいている事実が一層切なくなる。ドライな雰囲気の作品ながら感情を揺さぶる力が強い。


『地図にない場所(5)(完)』

人生に悩む中学生男子と引退した天才バレリーナの交流を描く物語。
終盤の大胆な時間経過も含め主人公達の成長と自立の過程が作品を通して丁寧に描かれていた。対話とすれ違いを経てたどり着いた最終的な二人の関係性の落ち着きどころも素敵だった。


『怪異と乙女と神隠し(7)』

スランプに悩むアラサー小説家女性と謎の多い青年が怪異を解き明かしていく物語。
きさらぎ駅など比較的近年に発生した都市伝説を独自の解釈も交えながらキャラクタ達が解き明かしていく構成がユニーク。フェチ要素強めなキャラクタ達も魅力的。


『どく・どく・もり・もり(2)』

真っ赤な食用キノコの少女が両親の仇である毒キノコへの復讐を試みる物語。
キュートなキャラデザインとファンシーな世界観に反して残酷で救いのないグロテスクな物語が繰り広げられておりギャップが強烈。作品の裏に潜む謎の全様も気になるところ。