2024年8月読んだ漫画をまとめます。
8月に読んだ漫画は70冊。結構読めてます。
以下で読んだ中のオススメ作品をピックアップします。
『正反対な君と僕(7)』
素直になれない陽キャ女子と彼女が想いをよせる物静かな男子との交流を描いた作品。
恋愛面だけでなく学校行事に取り組んだり進路に悩む等身大の高校生達が描かれておりキラキラ眩しい。キャラクタ達の性格や思考回路の多様な描き分けも見事。
『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB(8)』
歴史上の人物を使ったり変な設定が繰り広げられたりするギャグオムニバス。
連載25周年というギャグ漫画としては超長寿作品になってもクオリティは安定しており安心して読める。作者のライフワークとして末永く続いてほしい。
『チェンソーマン(18)』
チェンソーの悪魔と同化した欲望に素直な男とある悪魔に憑りつかれた少女を描く物語。
作画の荒れは気になるレベルではあるが、混沌として先が読めないストーリーは本作らしくて面白い。過去キャラの投入も本作ファンとしては嬉しいところ。
『税金で買った本(12)』
ひょんなことから図書館で働くことになったヤンキー少年が主人公の物語。
図書館職員の通常業務から裏技的な業者とのやり取りまで詳細に描かれておりお仕事物として優秀。主人公が読書という行為や図書館という場所に帰属意識を感じている様子も微笑ましい。
『にこけい! 怒りのマンガ刑事(1)』
特別任務で漫画家を目指すことになった二人の敏腕刑事を描く物語。
荒唐無稽でエキセントリックな雰囲気は作者の描きたいことを好き放題描いている感があり素晴らしい。漫画ってこんなに自由でいいんだと感じさせてくれる作品。
『アルスラーン戦記(21)』
国を追われた王子とその仲間達の祖国奪還の戦いを描いた大作小説のコミカライズ。
出生の秘密を明らかにされても意思を曲げずに覇道を突き進んでいく主人公の姿が力強い。覚醒した主人公が宿敵達を次々と打ち破っていく展開にも爽快感がある。
『これ描いて死ね(6)』
漫画を読むのが大好きな少女とその仲間達を描く漫研部が舞台の物語。
新たな仲間も含めて個性的な漫研部メンバーを活かしたお話作りが個性的で素敵。本編が優しい物語な一方で巻末のスピンオフ的な新人漫画家話は本編と違いシビアな雰囲気で落差が強烈。
『黒魔法寮の三悪人(1)』
荒ぶる若者の巣窟である黒魔法寮に配属された三人の少女達が主人公の魔法学園コメディ。
主人公三人がそれぞれちゃんと性格ひん曲がっており、激しい彼女らの掛け合いや巻き起こす騒動のドタバタ感が楽しい。本作ならではの魔法学園物の設定もユニーク。
『パンをナメるな!(1)』
高校中退の引きこもり少女がひょんな事から鎌倉のパン屋で店長代理として働き始める物語。
登場するキャラクタ達が造形含めて個性がしっかり立っており皆魅力的。感情豊かで表情がコロコロ変わるのも可愛い。パン屋描写も丁寧でどのパンも美味しそう。
『いやはや熱海くん(3)』
顔が綺麗で男の人が好きな惚れっぽい男子高校生と周囲の人々を描く物語。
現実感のある掛け合いの雰囲気や上手く間を演出する漫画技法で思春期らしい感情の機微が十二分に表現されており素晴らしい。人間関係が形成されていく様子も丁寧で微笑ましい。
『るなしい(4)』
カルト宗教の家で生まれた女子と彼女の幼馴染男子、もう一人の男子との関係を描いた作品。
信者を操る宗教ビジネスと詐欺まがいの投資ビジネスで競い合う主人公達の駆け引きが異様な雰囲気で不気味。泥沼にはまっていくようなストーリー展開も妙な緊迫感がある。
『部長は少女漫画家(3)』
堅物そうに見えて実は会社に内緒で商業少女漫画を連載する男性会社員が主人公のコメディ。
勘違いネタやギャップの面白さを駆使しつつ設定を活かしたコメディスタイルは最後まで安定して楽しかった。ストーリーもコンパクトに上手く畳まれていた。
『スルーロマンス(5)』
恋愛脳で衝動的な女性と真面目で慎重派なもう一人の女性、対照的な二人を描く物語。
現代日本を生きる人々の等身大な恋愛への向き合い方にリアリティがある。女性の生き辛さやパートナー選びの難しさを真正面から描いた意欲的な作品でした。
『愛しの彼女は隠れオタク(3)』
彼氏をBLネタとして見ているBL漫画家女性と彼女の仕事を知らない彼氏を描くコメディ。
極端なBL色眼鏡をかけた主人公の思考がぶっ飛んでおりコメディの腕力が強い。彼女に振り回される彼氏や一部共感する周囲の人々との掛け合いも楽しい。
『じゃあ、あんたが作ってみろよ(2)』
婚約者にフラれたステレオタイプな思考の男性が自分の価値観を見つめ直す物語。
自身の中の偏見に苦しみながらも矯正するため努力していくキャラクタ達に好感が持てる。食事をキーアイテムとして人間ドラマを展開するスタイルも谷口先生らしい。
『平成敗残兵すみれちゃん(1)(2)』
元アイドルの31歳女性が従弟の男子高校生にプロデュースされて同人グラビア写真集を出す物語。
だらしないが何だかほっておけない主人公筆頭に個性豊かなキャラクタ達が魅力的。真偽はさておき同人グラビア写真集などの業界話も興味深い。
『天幕のジャードゥーガル(4)』
モンゴル帝国が猛威を振るう12世紀を舞台に奴隷の少女の数奇な運命を描く物語。
権力争いの中で各人が明確な意思を持って行動するようにキャラクタ配置とストーリー構成がよく練り込まれている。当時の歴史や文化に対する綿密な調査も感じ取れる。
『無敗のふたり(1)』
組んだ人間を誰でも勝たせてしまう天才トレーナーと格闘技を愛する青年コンビを描く物語。
MMAのトレーニングや試合中の戦略などの描写が詳細かつ丁寧でリアリティがある。エッジの利いたキャラクタの性格や暗い過去の設定なども本作者らしい。
『写らナイんです(1)』
霊を引き寄せる体質に悩む少年と霊感ゼロだけど心霊写真を撮りたい少女が主人公の物語。
ドタバタ感のあるコメディとゾッとするホラー描写のバランスが良い塩梅。霊感の有無、普通への憧れと厭忌など、主人公二人の対比的な設定も上手く機能している。
『この部屋から東京タワーは永遠に見えない 中』
現代日本の格差や嫉妬、生きづらさを描くタワマン文学と分類される小説のコミカライズ。
学歴や生まれた環境へのコンプレックスを持つ若者達が現実感を持って描かれている。原作小説が上手く漫画表現に落とし込まれている印象。
『セーフセックス(3)』
初対面でホテルに行った社会人男女の恋模様を描く物語。
肉体関係から始まった二人が互いを好ましく思う間柄に発展していくストーリーが上手くまとまっていた。両主人公のやり取りや掛け合いが最後まで可愛らしくて素敵なキャラクタだった。
『ときめき!治外法権 肉王正』
全生徒に青春を強要する強権生徒会長の女子と生徒会の面々との日々を描くコメディ。
倫理観がぶっ飛んだキャラクタ達が繰り広げる独特の言語センスの掛け合いや濃度が濃いドタバタコメディは三ヶ嶋犬太郎作品らしいオンリーワンの雰囲気。
『ゆらゆらQ(4)』
人と狐の間に生まれた女子高生と幼馴染男子が主人公のラブコメディ。
お互いに尊重し合う温かいホームドラマとドタバタ気味なコメディが上手く組み合わさって賑やかで楽しい雰囲気。大家族で素直な末っ子が過剰に可愛がられる家族の描き方も素敵。
『ワンダンス(13)』
吃音症の少年と言語以外での表現力が豊かな少女を主人公にした高校ダンス部物。
スタイリッシュなダンスシーンは相変わらずオリジナリティ溢れる漫画表現が駆使されており素晴らしい。少しずつ道を分かち始めた主人公二人の描き方も静かなようでドラマティック。
『メダリスト(11)』
気弱な少女と熱血男性コーチのコンビがメダリストを目指すフィギュアスケート物語。
選手側、コーチ側ともに強キャラが台頭してくる中で主人公二人がそれに食らいついていくストーリーが強い。キャラクタ同士の関係性の描き方も繊細かつ濃密で素晴らしい。
『街道あるくんです(3)』
江戸時代の幽霊女性を成仏させるために東海道を歩いて旅する会社員二人を描く作品。
パワフルなキャラクタ達によるテンポの良い掛け合いは独特の雰囲気があって楽しい。灰汁が強くて暴走しがちなキャラを上手く制御しながらお話を進めている雰囲気。
『8月31日のロングサマー(5)』
ループする8月31日を抜け出すために関係を深めようとする男女を描いたラブコメディ。
微妙にかみ合わないやり取りを繰り広げながらも互いへの意識を深めていく主人公二人の関係性が素敵。同じ構図を多用する独特の漫画表現も面白い。
『星喰い殺しのイグナロ(1)』
地中に埋まった「遺産」を人類が採掘する世界を舞台にある目的を持つ少女を描く物語。
壮大で謎めいた世界観が大変ユニークで、その雰囲気を上手く演出する暗めな画面の雰囲気も素敵。今後どのように作中の謎が開示されていくか楽しみ。
『地元最高!(6)』
イリーガルなアングラ世界を生きる女の子達のすさんだ日常を描く物語。
自身の歪んだ正義感のために半グレ以上に暴力を振りまく刑事のキャラクタが強烈で、それゆえに本巻ラストの彼女の表情が切ない。ポップな絵柄と激しい暴力描写のギャップもすさまじい。
『本田鹿の子の本棚 週刊少年カリー篇()』
クレイジーな読書趣味の娘の本棚を盗み見る父親とぶっ飛んだ設定の作中作を描くコメディ。
オムニバス形式の各話における発想力の斜め上具合には毎回感心させられる。ばかばかしい話の中に強めのメッセージが込められているのも面白い。
『レッツゴー怪奇組(5)』
人々を驚かすことを生業にする少女と常人の六倍怖がりの少年が主人公のホラーコメディ。
本作らしい間の抜けたギャグ描写も交えながら主人公の特性を活かしてヒロインの関係性に上手く決着をつけて物語の節目を迎えた印象。連載再開に期待したい。
『とくにある日々(5)』
女子高生二人とその周囲の人々のちょっとヘンテコなやり取りを描いた日常コメディ。
オリジナリティが高すぎるネタ選びとそれを漫画に落とし込む手腕が強い。デフォルメ強めのキャラクタ達によるワチャワチャした掛け合いもコミカルな雰囲気で楽しい。
『路傍のフジイ(3)』
40過ぎで非正規社員、冴えないけど何故だか人を惹き付ける不思議な男性が主人公の物語。
表情は乏しいが感情は豊かで、一緒にいて居心地がいい主人公のキャラクタが興味深い。何気ない日常のふとした瞬間をお話として成立させるストーリー構成力も素晴らしい。
『米蔵夫婦のレシピ帳(4)』
妻に先立たれた堅物な小説家の男性が妻の残したレシピ本を元に料理を作り記憶を辿る物語。
主人公が亡くした妻を想う感情表現の強さと少しずつ彼女の死に向き合っていくストーリーが素晴らしい。登場する料理がどれも美味しそうなのも良い。
『らーめん再遊記(11)』
かつてはラーメン界のカリスマと呼ばれた男の人生の次のステージを描く物語。
元天才との対決は本作らしい論破と再生で上手く畳まれた印象。昔馴染みとの交流や彼らの変化の中で主人公が少しずつ今後の道を見つけていっている雰囲気なのも気になるところ。
『ありす、宇宙までも(1)』
言語が苦手な少女が苛烈な天才少年のサポートを受けて宇宙飛行士を目指す物語。
主人公二人が出会うことで少女の人生が好転し、目標に向かって邁進していくストーリー構成がドラマティック。ユニークな題材や多様性表現へのアプローチも興味深い。
『お嬢様はお仕置きが好き(9)』
上品であろうとするお嬢様と彼女に様々なお仕置きをする男性との恋人関係を描いた作品。
微妙にかみ合っていないがこれ以上なく想い合う結果、ラブラブな二人の関係性がヘンテコでユニーク。エッチなシーンがしっかりエッチなのも良い。
以上が8月発売の作品。以下はそれ以外。
『恋とか夢とかてんてんてん(1)』
一方的に認知している片想い男性の転勤について大阪に移り住んだフリーター女性の物語。
夢を無くし閉塞感のある日々を過ごす主人公が恋にすがって衝動的に行動する姿にハラハラさせられる。ハイクラスな人間へのコンプレックスの描き方もリアル。
『MA・MA・Match』
ジュニアサッカークラブ所属の子供を持つ母親達がサッカーチームを組んで子供達に挑む物語。
スポーツをする子供を持つ親達に焦点を当てている点がユニークで、子供を見つめる彼女らの想いにもリアリティがある。単巻完結のストーリー構成も綺麗にまとまっている。