2024年11月読んだ漫画の中でオススメ作品のまとめです。
『ふつうの軽音部(4)』
邦楽ロック好きの少女が高校入学を期にギターを買って軽音部に入部する物語。
これまでの努力が結実し主人公の憧れが現実となった文化祭ライブシーンは圧巻のクオリティで爽快。癖の強いキャラクタ達の複雑な人間模様を上手く制御したストーリーもお見事。
『超巡!超条先輩(3)』
超能力で捜査を行う嫌われ者の警官と彼の相棒となった新米警官が主人公のコメディ。
個性豊かなキャラクタ達が繰り広げるドタバタ感が強い掛け合いに切れ味鋭いツッコミが合わさってコメディとしてクオリティが高い。作画の安定感も高くキャラ造形も素敵。
『税金で買った本(13)』
ひょんなことから図書館で働くことになったヤンキー少年が主人公の物語。
本巻メインのビブリオバトル編、人それぞれの本との向き合い方やそれを他者と共有することの楽しさを描いており素晴らしかった。サブキャラクタにきっちりストーリーがあるのも良い。
『ギャルとツチノコ(2)』
オカルト好きの男子高校生と彼から正体がツチノコと思われているギャルを描くコメディ。
デフォルメ強めなキャラクタ達が繰り広げるコメディがのんびりな雰囲気で癒される。ラブコメ面でも恋することの楽しさや片想いで空回りする気持ちなど描かれており素敵。
『バーサス(4)』
47体の魔王に支配される世界を救うために立ち上がった47人の勇者達を描くファンタジー。
序盤は収拾つくか心配していた大風呂敷の設定も、天敵同士の相性や関係性が具体化されだいぶ整理されてきた。美麗でダイナミックなアクションシーンも引き続き魅力的。
『北国ゆらゆら紀行(1)』
仕事を辞めたばかりの女性がライターの友人に誘われて北海道の観光名所を巡る物語。
ぼんやり生きていた主人公が人生における新たな一歩を踏み出していくストーリーに充足感があり素敵。実在の観光地やグルメも魅力的に描かれており北海道愛を感じる。
『ずっと青春ぽいですよ(3)』
アイドル研究部のオタク男子達が陰キャながらも青春を謳歌するために奮闘する物語。
はたからみるとくだらない事でも高校生達が全力で取り組むことで青春へと昇華されておりキラキラ眩しい。進学などのリアルな悩みを混ぜてくるバランスも良い塩梅。
『あくまでクジャクの話です。(3)』
恋愛に悩む男性教師と生物学を通して恋愛の悩みに答える変な女子高生との交流を描く物語。
想ったよりヘビーだったヒロインの家庭事情と生物学が上手く絡んだストーリー展開が巧み。傍若無人と恋する乙女が混在したヒロインも非常に魅力的。
『忍者と極道(14)』
悪行を限り尽くす「極道」と彼らと敵対する「忍者」との戦いを描いたトンデモアクション。
互いに互いの正義があることを認め合い死力を尽くして戦う両陣営のスタンスがエモーショナルに描かれている。戦闘描写の強引さも本作らしくてパワフル。
『クジャクのダンス、誰が見た?(6)』
警察官だった父親を殺害された少女が事件の真相に迫るクライムサスペンス。
衝撃の事実が明らかになりつつもまだまだ謎めいた部分も残っている中だが、次巻で完結とのこと。絡み合ったストーリーを上手く畳めるかお手並み拝見。
『めんつゆひとり飯(8)』
料理の味付けにめんつゆを多用しがちな無精者一人暮らしOLが主人公のグルメ物4コマ。
料理に対してそれぞれ一家言を持った個性豊かなキャラクタ達による掛け合いはボケツッコミのテンポが良くて楽しい。登場する簡単家庭料理もどれも美味しそう。
『サラウンド(4)』
バラバラ個性の男子3人組を中心に、何でもない高校生の日常を描く物語。
同性の仲良しグループだからこそできる何気ない日常会話や気の置けない関係性にリアリティがある。高校生ゆえの恋愛におけるおぼつかなさや初々しいリアクションも可愛い。
『いつか死ぬなら絵を売ってから(5)』
不遇な境遇ながら特異な絵を描く男性と彼の才能を見出した美術商の男性が主人公の物語。
主人公が美術商男性の暗い部分を感じながらもパートナーとして認めているのはユニークな関係性。スリリングな二人の関係が今後どう変化していくか楽しみ。
『しあわせは食べて寝て待て(5)』
持病持ちで人生に閉塞感を感じている女性が薬膳を通して生活を豊かにする物語。
主人公含め、一般的な幸せのレールから外れながらも自分を肯定する人々が描かれており多様性を肯定するポジティブな雰囲気が素敵。優しい絵柄ともマッチしている。
『傷口と包帯(1)』
弱った人間に性的興奮を感じるヤクザの娘と彼女の世話を任されたヤクザを描くコメディ。
可憐な容姿ながらぶっ飛んだ異常性癖を持ち、変顔中心にコメディ要員としてフル回転する主人公のキャラクタが強烈。彼女に振り回されるヤクザも不憫で滑稽。
『みずぽろ(3)』
高身長でガタイもいいが泳げない男子と彼の陰に隠れがちなもう一人の男子を描く水球部コメディ。
個性豊かなキャラクタ達によるコメディがほどよくドライな雰囲気で面白い。コメディの陰に隠れがちながら水球シーンもダイナミックかつ躍動感がある。
『ドッグスレッド(4)』
夢が潰えたフィギュアスケータの少年がアイスホッケーに舞台を移して戦う物語。
高校生達が真っ当にスポーツをするだけの漫画ではなく震災やアングラな要素も盛り込んできて油断ならない。色んな要素ごちゃまぜの闇鍋的雰囲気が野田サトル作品らしい。
『恋は忍耐(2)』
新たに共学になった元男子高に入学した少女のとある目的のための活動を描く物語。
主人公男子を想いながらも恋愛観を矯正しようとしているヒロインの歪んだ愛情が強烈でぶれない姿も力強い。そんな彼女に抵抗する主人公との駆け引きも面白い。
『あゎ菜ちゃんは今日もしあわせ(1)』
何にも取り柄がないコンビニバイトの少女が理性を飛ばして一人を楽しむ姿を描く物語。
仕事や人間関係で何一つ上手くいかない自分自身から目を背けて何でもない日常行為に没頭することで現実逃避する主人公の心理状態の描き方が大変ユニーク。
『乙嫁語り(15)』
19世紀の中央アジアを舞台に旅する西洋人の男性と現地のお嫁さん達を描いた物語。
結婚観や家族に対する価値観の異なる人々の描きわけが巧みで、それぞれに対するリスペクトを感じる。精緻な画面の描き込みや現実感のある生活の描写力も職人芸の領域。
『織田ちゃんと明智くん(1)』
前世からのある因縁を持つクラスの人気者女子と不良男子が付き合い始めるラブコメディ。
トリッキーな設定を活かしたカオスなシチュエーションの作り方がユニークで葛藤する男子の姿が可愛い。作画にも安定感がありキャラクタ造形も魅力的。
『宝石の国(13)(完)』
身体が宝石で出来た生き物達と月から飛来する月人達を描いていたファンタジー作品。
様々な苦難を経験してきた主人公が穏やかな日々にたどり着けたことが喜ばしい。唯一無二の世界観と壮大なストーリーの終着点として美しいラストでした。
『平和の国の島崎へ(7)』
国際テロ組織の工作員だった男性が一般人になり平和な日本で暮らす物語。
ハードな現実が主人公の穏やかな日常を徐々に侵食していくストーリー構成がよくできている。元工作員達のコロニーと公安の奇妙な関係性なんかもハードボイルドで素敵。
『8月31日のロングサマー(6)』
ループする8月31日を抜け出すために関係を深めようとする男女を描いたラブコメディ。
当て馬ヒロインは露骨な立ち位置ではあるが正ヒロインが自身の気持ちを見つめ直すきっかけとして上手く機能している。コマ割りや構図など画面表現もユニーク。
『生活保護特区を出よ。(4)』
能力不振や病気障害を持つ人間が集められる生活保護特区に送られた少女を描く物語。
特区というエリアの描き方がユニークで、心地よい空間ながら結局は社会的弱者の隔離場所でありそこから出なければ未来はない、と住人達も感じている描写も巧み。
『ブスなんて言わないで(5)』
自身の容姿に自信のない女性と美容研究家の女性がルッキズムについて考える物語。
本巻ラストの大胆な展開はあからさま過ぎるとも思うが本作のテーマに向き合う上で効果的になりえる。次巻完結。難しいテーマにどのように決着をつけるかお手並み拝見。
『ダーウィン事変(8)』
人間とチンパンジーの間に生まれた「ヒューマンジー」の少年が主人公の物語。
キャラクタ達が語る現代社会への疑問符や警鐘は巧みな演出も合わさってメッセージとして力強い。キーパーソンとなりそうなヒロインがどのような役回りになるか気になるところ。
『フラジャイル(29)』
性格と口と人相が極めて悪い、病気の原因過程を診断する病理医が主人公の病院ドラマ。
医療を支えるプロフェッショナル達の技術や技能、想いが後輩達に受け継がれていくストーリーがエモーショナルな演出とともに描かれており素晴らしい。
『ブルーピリオド(16)』
高校2年時に絵を描く楽しさに目覚めた少年が芸術に打ち込む物語。
頭の回転の速い主人公の思考回路がモノローグ含めてクリアに描写されており彼の悩みや葛藤に対して共感しやすい。若者それぞれの生き方の多様性に対する公平な描き方も素敵。
『その着せ替え人形は恋をする(14)』
人形職人を目指す少年と彼にコスプレ衣装作成を依頼するオタクギャルを描くラブコメディ。
重い空気が漂うシーンから一転、とんでもない勢いでラブを振りまくヒロインの緩急演出が素晴らしかった。喜多川というキャラクタの真骨頂。
『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん(12)』
邦画好きな女子高生が賛否両論ある邦画を紹介する映画コメディ。
否定的な意見が出がちである漫画などの実写映画化に対して、反例を次々あげて畳みかけるように諭していくやり取りが本作らしくて面白い。ラブコメ描写もインパクト強い。
『撮るに足らない(2)』
カップルチャンネルのエロ動画で稼ごうとする恋人未満の大学生二人を描いたラブコメディ。
女性側が最初は抵抗感を示しながらも行為がどんどんエスカレートしていくストーリーがエッチで素敵。見開きなどの大ゴマで魅せるエロシーンも迫力がある。
『ひらやすみ(8)』
のんきなフリーター男性と大学進学で上京してきた女子との平屋での共同生活を描く物語。
夢を追いかけないという主人公の選択が多様な生き方を描いている本作らしくて素敵。結構絡み合ってきた人間関係もどのような方向にもっていくか気になるところ。
『スターウォーク(1)』
変わり果てた地球に帰還した宇宙飛行士の少女とAIロボットとの旅を描く物語。
スケールの大きいなSF設定と激しく展開が動くトリッキーなストーリー構成が魅力的。人物やマスコットのキュートなキャラデザインと異形の化け物とのギャップも強烈。
『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ(7)』
マスコット的な可愛い生き物達の日常を描いた作品。
メルヘンチックな世界におけるキュートなキャラクタ達の呑気な日常を描いているようで、死と隣り合わせのシビアな現実がすぐ隣に配置されている雰囲気はオンリーワンの読み味。
『巡る遊星(1)』
30歳で芸人を辞めた脚本家志望の男性を中心に絡まり合う人間関係を描いた群像劇。
苦手な相手とのギクシャクしたやり取りやビジネスの上での妥協など、各キャラクタ達の思考が人間臭くてリアリティがある。淡々とした会話劇中心ながら起伏のあるストーリーも素敵。
『RIOT(1)』
田舎の高校に通う男子高校生二人が紙の雑誌を自分達で作ろうと奮闘する物語。
くすぶっていた主人公二人が雑誌作りという活動の喜びを覚え、試行錯誤を繰り返しながら創作に打ち込んでいく姿がエネルギッシュで素敵。等身大な若者達の悩みの描き方にもリアリティがある。