
2024年12月読んだ漫画の中でオススメ作品のまとめです。
『ゴーストフィクサーズ(3)』
GHOSTと呼ばれる非現実的現象を調査・管理する校正官達の戦いを描く物語。
エッジの利いたキャラクタの設定やスケールの大きな超常現象など少年漫画としてわかりやすくて魅力的。ワードセンスやキャラクタ造形なども中二心をくすぐる。
『放課後ひみつクラブ(7)』
エキセントリックな少女と冷静な少年が学園の秘密を探るコメディ。
表情豊かなキャラクタ達のコミカルなアクションやそれを活かすコマ割りと構図、ハイテンポでハイテンションな掛け合いが魅力的。次巻、完結。どのようなオチがつくか楽しみ。
『カグラバチ(5)』
父を殺された刀鍛冶の息子が特殊な力を持つ妖刀を携えて仇打ちの旅をする物語。
スタイリッシュな戦闘シーンに加えて各キャラクタがもった信念がぶつかり合うシチュエーションの作り方が巧み。少年漫画らしくわかりやすい世界観も上手く広がってきた。
『チェンソーマン(19)』
チェンソーの悪魔と同化した欲望に素直な男とある悪魔に憑りつかれた少女を描く物語。
緊急事態でも個人的な欲望が行動を支配するばからしい展開からショッキングなシーンへ、縦横無尽に読者を振り回すストーリー構成で藤本タツキの真骨頂といった印象。
『AIの遺電子 Blue Age(9)(完)』
ヒューマノイドが人間に交じって生活する近未来の医療現場を描くSF。
主人公の気持ちにある程度決着がついてスピンオフ作品として綺麗に完結。シリーズとして全22巻、骨太な世界観と現実として想像しうる近未来描写が魅力的な作品でした。
『さわやかなディオラマ(1)』
天涯孤独の引きこもり女性のもとに乙女ゲームのキャラクタが実体化して訪ねてくる物語。
トリッキーな設定ながら、キャラクタ達が大騒ぎせずにロジカルな思考で現実的な選択をしていくのが面白い。掛け合いのテンポやコマ割り、構図も独特。
『スイカ(4)(完)』
オカルト的存在の少女と彼女に気に入られた不運な高校教師コンビを描くホラーギャグ。
荒唐無稽な怪異が次々襲い来るハイテンションなホラーギャグの勢いを最後まで楽しませてもらった。絵柄やキャラデザインもユニークで唯一無二の雰囲気を持った作品でした。
『平成敗残兵すみれちゃん(4)』
元アイドルの31歳女性が従弟の男子高校生にプロデュースされて同人グラビアを出す物語。
こじらせすぎたネガティブオタクの新キャラが強烈な個性でインパクトが強い。愛すべき点とウザさを差し引きしてギリギリマイナスくらいの絶妙なライン。
『ダッフルコートアーミー(1)(2)』
女子高生で構成された特殊部隊の少女達が東西に分かれた日本において暗躍する物語。
普通の女子高生のように下らない会話をする主人公達が一転、ハードな戦闘を繰り広げるギャップがユニーク。オリジナリティ高い世界観も魅力的。
『かみあそび!~カードゲーマー少女の日常~(1)』
特に熱中できるものがなかった女子高生が対戦カードゲームの世界に足を踏み入れる物語。
カードゲーマ独特のずれた思考回路が軽快なコメディの中で面白おかしく描かれており滑稽。カードゲームの魅力もしっかり描かれている。
『まんペン(1)』
漫画家を目指すペンギンと彼(?)の担当になった編集者が主人公のコメディ。
逆境や批判にも動じずに自分がしたいことを貫くペンギンに編集者が振り回されながらも徐々に彼に感化されていくストーリーが素敵。ゆるい絵柄のシンプルな画面もちょうどよい塩梅。
『同志少女よ、敵を撃て(1)』
独ソ戦が激化するモスクワ近郊の村出身の少女が復讐のために狙撃手として戦う姿を描いた物語。
過酷な境遇の少女達が狂信的な思想の下に戦争にかりだされる姿がすさまじい熱量で描かれている。鎌谷悠希先生の美しい作画と漫画表現も作品にマッチしている。
『映像研には手を出すな!(9)』
それぞれ尖った能力を活かしてアニメーション制作に勤しむ女子高生達を描いた作品。
唯一無二の作品世界を更に奥深い領域へと持っていく新展開は未開の地に赴くような高揚感がある。この展開がどのように創作に活かされるかも楽しみ。
『J⇔M ジェイエム(4)』
女子小学生と身体が入れ替わってしまった殺し屋の奮闘を描いたコメディ。
トリッキーな新展開もお得意の勘違いネタのバリエーションを広げるのに一役買っている。入れ替わった身体の持ち主のことを全然気遣わないキャラクタ達の横暴さが楽しい。
『スーパーベイビー(6)』
ピュアで一途な黒ギャルと押しの弱い地味メンとの違和感アリアリなカップルを描く物語。
時に不安になりながらもお互いの愛情を確かめ合い絆を深めていく主人公二人の関係性が素敵。ヘビーな家族問題も二人なら乗り越えられるという安心感がある。
『無敗のふたり(2)』
組んだ人間を誰でも勝たせてしまう天才トレーナーと格闘技を愛する青年コンビを描く物語。
精緻な総合格闘技の描写とロジカルなキャラクタの思考が上手くかみ合っている。主人公二人含め我の強いキャラクタ達の自分を押し通そうとするスタンスも面白い。
『放課後ていぼう日誌(13)』
「ていぼう部」に入部した手芸好きな少女と個性的な部員たちを描く女子高生釣り物。
場所選びやツールの多様性と奥深さ、テクニックや魚がかかった時の快感など、未経験者にも釣りの楽しさを十二分に伝える描写力が趣味物として非常に強い。
『こももりた~持ち込みに来たのは極道娘~(2)』
敏腕漫画編集者が才能が全くない漫画家志望のヤクザの娘の世話に悪戦苦闘するコメディ。
最初はヤクザ娘を見放していた編集者が徐々に彼女のことを認め始めて絆を深めていく関係性が素敵。サクセスストーリーとしてのステップも丁寧。
『ひとりでしにたい(9)』
孤独死した叔母と同じ道を辿りたくない35歳の独身女性を描く物語。
子供のいない共働き夫婦の家庭事情や時短勤務の心理的負担など、現代日本における働き手世代のリアルな悩みをカレー沢薫らしいするどい着眼点と皮肉具合で面白おかしく描いている。
『焼いてるふたり(18)』
BBQ好きの男性としっかり者のようで抜けている女性との夫婦生活を描いた作品。
お互いのことを深く理解して尊重し合う二人の仲睦まじい交流が微笑ましい。ライフステージが少しずつ進んでいっており今後の二人がどのような家庭を築いていくかも楽しみ。
『秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか?(3)(完)』
メイド喫茶の謎めいた女性に恋をした社会的地位の低い男性を描く物語。
主人公二人が少し通じ合えた直後、急転直下の衝撃的な最終話は余韻の残る物語の閉め方で美しかった。あえて描きすぎない描写への拘りも印象的だった。
『イズミと竜の図鑑(2)』
吟遊詩人の少女とダンジョン案内人の獣人男性の竜の図鑑を作るための旅を描く物語。
オリジナリティの高いファンタジー世界の設定が細部まで作り込まれており引き込まれる。シニカルなキャラクタ達の掛け合いやシビアな世界観も魅力的。
『どくだみの花咲くころ(2)』
奇行が目立つ小学生男子と彼の作る「作品」に執着する優等生男子との交流を描く物語。
目力の強いキャラクタ造詣が印象的で、主人公達の衝動的であったり欲望に忠実な行動をとる際の表情に迫力がある。二人の奇妙な距離感も非常に独特。
『スキップとローファー(11)』
自信家だけどちょっと抜けてる少女と高校のクラスメイト達との交流を描く物語。
キャラクタ達の感情の機微や関係性の描写力が秀逸で、各登場人物のエピソード全てに心を揺さぶられる。青春群像劇としてこれ以上ないクオリティ。
『呪術廻戦(29)(30)(完)』
社会に潜んだ呪いを祓う呪術師と呪霊との戦いを描く物語。
本作らしい独特の戦闘ルールを駆使したラストバトルは起伏を付けながら最後まで盛り上げて上手く決着。エピローグも含めて綺麗にまとまった良い幕引き。エンタメ性の高いユニークな作品でした。
『父を怒らせたい(1)』
末期ガンでおとなしくなった粗暴な父を前に気持ちの置き場に悩む女性を描く物語。
昔と変わった父親との交流を通して娘が父との関係性を改めて見つめ直すストーリーが丁寧に描かれている。娘だけでなく母や近所の人など父に対する多面的な評価の描き方も印象的。
『泥の国(1)』
現代から異世界の姫に転生した女性と暗い地下世界にやってきた記憶のない女性を描く物語。
異世界転生をメタった設定がユニークでインパクトが強い。双方視点を並行して描く構成も上手くコントロールされておりストーリー全体が良く練り込まれている印象。
『ありす、宇宙までも(2)』
言語が苦手な少女が苛烈な天才少年のサポートを受けて宇宙飛行士を目指す物語。
主人公二人が協力しながら成長して宇宙飛行士への道を一歩ずつ着実に進んでいくストーリー構成に爽快感がある。周囲の人間が彼らの存在を認めていく展開も気持ちいい。
『レッドブルー(12)』
ある理由から総合格闘技を始めた元いじめられっ子の少年を主人公とした物語。
格闘技描写は現実感とエンタメを上手く混在させた良いバランス。本巻中盤から時間が進んで物語が次のステージに進んだことで主人公周りの環境がどのように変わっていくか楽しみ。
『僕のヒーローアカデミア(42)(完)』
特異体質の「個性」を持つ人々が生きる世界で無個性の少年がトップヒーローを目指す物語。
ライトな雰囲気とヘビーな社会的背景が混在する作品世界は唯一無二。長期連載でしか描けない最終盤の濃密な展開も素晴らしかった。
『奸臣スムバト(1)』
13世紀のモンゴル帝国に侵略されるジョージア王国を舞台にした田舎貴族の青年が主人公の物語。
キュートな絵柄とわかりやすいコマ割りが読みやすい一方で、歴史ストーリーは重厚で交錯するキャラクタ心理も丁寧に描かれており素晴らしい。
『100年の経(1)(2)』
100年のコールドスリープから目覚めた小説家が文章生成AIが席巻する文学界に挑む物語。
生成AIに関する近未来SF描写が現代からもイメージしやすい内容でリアリティがある。主人公の小説家としての強いプライドがどんな方向に向かうかも気になるところ。