
2024年下半期まとめ記事、その1。読んだ漫画全部のまとめ。
2024年下半期に読んだ漫画は371冊。月平均60冊程度でぼちぼち読めました。
その中でオススメの作品をランキング形式で50作品紹介します。皆さんの漫画探しの参考にして頂けると幸いです。
50位『J⇔M ジェイエム(3)(4)』(大武政夫)
女子小学生と身体が入れ替わってしまった殺し屋の奮闘を描いたコメディ。
自分で始めた設定を演じ切るために後に引けなくなるキャラクタの姿が滑稽で誤解が誤解を生んでいく流れも面白い。大武先生の作風と今作の題材が上手くハマっている。
49位『呪術廻戦(27)~(30)(完)』(芥見下々)
社会に潜んだ呪いを祓う呪術師と呪霊との戦いを描く物語。
超人気作品のラスボス格との決戦において悪ふざけのような展開を持ってこれた作者の胆力すさまじい。前巻の展開からの落差もすごい。コントや漫才描写がしっかり高クオリティなのも良かった。
48位『乙嫁語り(15)』(森薫)
19世紀の中央アジアを舞台に旅する西洋人の男性と現地のお嫁さん達を描いた物語。
結婚観や家族に対する価値観の異なる人々の描きわけが巧みで、それぞれに対するリスペクトを感じる。精緻な画面の描き込みや現実感のある生活の描写力も職人芸の領域。
47位『宝石の国(13)(完)』(市川春子)
身体が宝石で出来た生き物達と月から飛来する月人達を描いていたファンタジー作品。
様々な苦難を経験してきた主人公が穏やかな日々にたどり着けたことが喜ばしい。唯一無二の世界観と壮大なストーリーの終着点として美しいラストでした。
46位『女の園の星(4)』(和山やま)
生徒達に少々なめられている男性教員とその周囲の人々との交流を描く女子高コメディ。
静かな会話劇の中で混沌としたシチュエーションを作り出すセンスが秀逸。無自覚なボケと冷静なツッコミの応酬がテンポよく繰り広げられる雰囲気は唯一無二。
45位『今日も吹部は!(1)』(宮脇ビリー)
野球部から吹奏楽部に転部した少年と全然まとまりのない部員たちとの交流を描くコメディ。
癖の強すぎる部員達の好き放題な主張に主人公が振り回される様子が滑稽。アクション強めなドタバタ感やギリギリアウトなヒロインの暴走なんかも楽しい。
44位『転がる姉弟(6)』(森つぶみ)
親の再婚により新しく家族となった姉と弟を中心に繰り広げられる物語。
楽しいことで頭がいっぱいな小学生と少しずつ悩みも増え始める高校生、子供達の思考の違いが上手く描かれており素晴らしい。姉弟の友人同士の交流も眺めていて微笑ましい。
43位『かみあそび!~カードゲーマー少女の日常~(1)』(文月いつか/森もりん)
特に熱中できるものがなかった女子高生が対戦カードゲームの世界に足を踏み入れる物語。
カードゲーマ独特のずれた思考回路が軽快なコメディの中で面白おかしく描かれており滑稽。カードゲームの魅力もしっかり描かれている。
42位『恋は忍耐(2)』(川西ノブヒロ)
新たに共学になった元男子高に入学した少女のとある目的のための活動を描く物語。
主人公男子を想いながらも恋愛観を矯正しようとしているヒロインの歪んだ愛情が強烈でぶれない姿も力強い。そんな彼女に抵抗する主人公との駆け引きも面白い。
41位『ダイヤモンドの功罪(7)』(平井大橋)
規格外の才能ゆえに野球を楽しむことが許されない少年が主人公の物語。
どんなに慎重に立ち回ろうとも周囲を狂わせてしまう主人公の苦悩する姿が悲劇的。多様で複雑なキャラクタ心理の描き分けやドラマティックなストーリー上の演出も素晴らしい。
40位『ハヴィラ戦記(1)』(みのすけ)
男女関係の組み合わせまで人間に管理される人型の小さな生き物達の戦いを描く物語。
動植物保護に関する人間のエゴや傲慢さを具現化したような設定が秀逸。キャラクタの価値観や箱庭の中の環境など、唯一無二の世界観は細部まで作り込まれている。
39位『鍋に弾丸を受けながら(5)』(青木潤太朗/森山慎)
「治安の悪い場所の飯は上手い」をコンセプトに世界中を旅する美少女(?)を描く作品。
作者が現地の人々との交流の中で感じた異国の文化や考え方に関するロジカルな考察が非常に興味深い。勿論、登場する食事もどれも魅力的に描かれている。
38位『推しをカタチにする仕事(1)』(安藤狂太郎)
アニメや漫画のコラボ商品やキャラクターグッズを企画、制作する会社を舞台にしたコメディ。
エキセントリックなキャラクタ達が繰り広げる掛け合いはハイテンポかつキレがよくて楽しい。グッズ業界のお仕事に関する内容も興味深い。
37位『青春爆走!(1)』(研そうげん)
高校デビューに失敗し性欲を持て余す男子高校生がある目的のために活動を始める物語。
コンプレックスで歪み切った主人公達が次々道を踏み外していくストーリーはショッキングかつ疾走感がある。思惑が読めないキャラクタの今後の動きも気になるところ。
36位『ザ・キンクス(2)』(榎本俊二)
小説家の父親と専業主婦の母親、娘と息子の4人家族の日常を描いた作品。
榎本俊二らしい日常生活に対する斬新な着眼点とシュールながらほっこりなホームドラマが合わさって独特の雰囲気。コミカルなアクションやダイナミックな見開き表現も楽しい。
35位『これ描いて死ね(6)』(とよ田みのる)
漫画を読むのが大好きな少女とその仲間達を描く漫研部が舞台の物語。
新たな仲間も含めて個性的な漫研部メンバーを活かしたお話作りが個性的で素敵。本編が優しい物語な一方で巻末のスピンオフ的な新人漫画家話は本編と違いシビアな雰囲気で落差が強烈。
34位『ダーウィン事変(8)』(うめざわしゅん)
人間とチンパンジーの間に生まれた「ヒューマンジー」の少年が主人公の物語。
キャラクタ達が語る現代社会への疑問符や警鐘は巧みな演出も合わさってメッセージとして力強い。キーパーソンとなりそうなヒロインがどのような役回りになるか気になるところ。
33位『君と宇宙を歩くために(3)』(泥ノ田犬彦)
ヤンキーの少年と転校生のもう一人の少年、「普通」ができない二人を描く物語。
各人で異なる「できない」ことへの悩みを解像度高く描いており素晴らしい。他者との関係の中で彼らの悩みが少しずつ解消されていくストーリーも優しくて素敵。
32位『正反対な君と僕(7)』(阿賀沢紅茶)
素直になれない陽キャ女子と彼女が想いをよせる物静かな男子との交流を描いた作品。
恋愛面だけでなく学校行事に取り組んだり進路に悩む等身大の高校生達が描かれておりキラキラ眩しい。キャラクタ達の性格や思考回路の多様な描き分けも見事。
31位『突風とビート(1)』(椎名軽穂)
とある能力を持った女子高生と不登校気味なクラスメイト男子との奇妙な関係を描いた物語。
かなりトリッキーな仕掛けを活かした入り組んだストーリー構成が大変ユニーク。性格は違えど双方お人好しで素直な主人公二人も好感が持てるキャラクタで素敵。
30位『劇光仮面(6)』(山口貴由)
大学時代に特撮研究会に所属していた男性とその仲間達を描く物語。
じわじわと主人公サイドのキャラクタが追い詰められていく過程に緊迫感があり敵側の異常行動も強烈。不可解な展開であっても強引に納得させられてしまう作品の腕力すさまじい。
29位『イズミと竜の図鑑(2)』(凪水そう)
吟遊詩人の少女とダンジョン案内人の獣人男性の竜の図鑑を作るための旅を描く物語。
オリジナリティの高いファンタジー世界の設定が細部まで作り込まれており引き込まれる。シニカルなキャラクタ達の掛け合いやシビアな世界観も魅力的。
28位『秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか?(3)(完)』(春野ユキト)
メイド喫茶の謎めいた女性に恋をした社会的地位の低い男性を描く物語。
主人公二人が少し通じ合えた直後、急転直下の衝撃的な最終話は余韻の残る物語の閉め方で美しかった。あえて描きすぎない描写への拘りも印象的だった。
27位『ただの飯フレです(3)』(さのさくら)
マッチングアプリで出会ったご飯を食べるためだけに集まる男女を描く物語。
現代人が抱えがちなモヤモヤをお話に落とし込む手腕が巧み。現実の会話の雰囲気を上手く表現した掛け合いのセンスも素晴らしい。登場するご飯も美味しそう。
26位『平成敗残兵すみれちゃん(3)(4)』(里見U)
元アイドルの31歳女性が従弟の男子高校生にプロデュースされて同人グラビアを出す物語。
こじらせすぎたネガティブオタクの新キャラが強烈な個性でインパクトが強い。愛すべき点とウザさを差し引きしてギリギリマイナスくらいの絶妙なライン。
25位『奸臣スムバト(1)』(トマトスープ)
13世紀のモンゴル帝国に侵略されるジョージア王国を舞台にした田舎貴族の青年が主人公の物語。
キュートな絵柄とわかりやすいコマ割りが読みやすい一方で、歴史ストーリーは重厚で交錯するキャラクタ心理も丁寧に描かれており素晴らしい。
24位『ずっと青春ぽいですよ(3)』(矢寺圭太)
アイドル研究部のオタク男子達が陰キャながらも青春を謳歌するために奮闘する物語。
はたからみるとくだらない事でも高校生達が全力で取り組むことで青春へと昇華されておりキラキラ眩しい。進学などのリアルな悩みを混ぜてくるバランスも良い塩梅。
23位『ありす、宇宙までも(1)(2)』(売野機子)
言語が苦手な少女が苛烈な天才少年のサポートを受けて宇宙飛行士を目指す物語。
主人公二人が出会うことで少女の人生が好転し、目標に向かって邁進していくストーリー構成がドラマティック。ユニークな題材や多様性表現へのアプローチも興味深い。
22位『パンをナメるな!(1)』(貞松龍壱)
高校中退の引きこもり少女がひょんな事から鎌倉のパン屋で店長代理として働き始める物語。
登場するキャラクタ達が造形含めて個性がしっかり立っており皆魅力的。感情豊かで表情がコロコロ変わるのも可愛い。パン屋描写も丁寧でどのパンも美味しそう。
21位『米蔵夫婦のレシピ帳(4)』(片山ユキヲ)
妻に先立たれた堅物な小説家の男性が妻の残したレシピ本を元に料理を作り記憶を辿る物語。
主人公が亡くした妻を想う感情表現の強さと少しずつ彼女の死に向き合っていくストーリーが素晴らしい。登場する料理がどれも美味しそうなのも良い。
20位『僕のヒーローアカデミア(41)~42)(完)』(堀越耕平)
特異体質の「個性」を持つ人々が生きる世界で無個性の少年がトップヒーローを目指す物語。
ライトな雰囲気とヘビーな社会的背景が混在する作品世界は唯一無二。長期連載でしか描けない最終盤の濃密な展開も素晴らしかった。
19位『放課後ひみつクラブ(6)(7)』(福島鉄平)
エキセントリックな少女と冷静な少年が学園の秘密を探るコメディ。
キャラクタ達が巻き起こす大騒動は自由奔放かつハイテンポでジェットコースターのような楽しさがある。オリジナリティ高いキャラクタデザインも多用かつフェチ要素強くて素敵。
18位『イマジナリー(3)』(幾花にいろ)
幼馴染で微妙な距離感の男女を中心に大学生達の交流を描く物語。
付き合う前や付き合った直後の大学生男女のやり取りが駆け引きも含めてリアリティたっぷりに描かれている。特に身体の関係を意識し合う二人の思考が生々しくって素晴らしい。
17位『8月31日のロングサマー(5)(6)』(伊藤一角)
ループする8月31日を抜け出すために関係を深めようとする男女を描いたラブコメディ。
微妙にかみ合わないやり取りを繰り広げながらも互いへの意識を深めていく主人公二人の関係性が素敵。同じ構図を多用する独特の漫画表現も面白い。
16位『レッツゴー怪奇組(5)(完)』(ビュー)
人々を驚かすことを生業にする少女と常人の六倍怖がりの少年が主人公のホラーコメディ。
本作らしい間の抜けたギャグ描写も交えながら主人公の特性を活かしてヒロインの関係性に上手く決着をつけて物語の節目を迎えた印象。連載再開に期待したい。
15位『100年の経(2)』(赤井千歳)
100年のコールドスリープから目覚めた小説家が文章生成AIが席巻する文学界に挑む物語。
生成AIに関する近未来SF描写が現代からもイメージしやすい内容でリアリティがある。主人公の小説家としての強いプライドがどんな方向に向かうかも気になるところ。
14位『傷口と包帯(1)』(七井海星)
弱った人間に性的興奮を感じるヤクザの娘と彼女の世話を任されたヤクザを描くコメディ。
可憐な容姿ながらぶっ飛んだ異常性癖を持ち、変顔中心にコメディ要員としてフル回転する主人公のキャラクタが強烈。彼女に振り回されるヤクザも不憫で滑稽。
13位『ビバリウムで朝食を(3)』(道満晴明)
街の七不思議の秘密を探る仲良し小学生3人組の少し不思議な冒険を描いた作品。
エッジの利いた世界観に個性豊かなキャラクタ達、シニカルでハイテンポな掛け合い、細かいやり取りの中での小ネタの多さなど、道満晴明作品らしい雰囲気たっぷり。
12位『あくまでクジャクの話です。(2)(3)』(小出もと貴)
恋愛に悩む男性教師と生物学を通して恋愛の悩みに答える変な女子高生との交流を描く物語。
生物学の知識に周囲の人間関係をこじつけてズカズカと持論を展開するヒロインのキャラクタが強烈。キャラ造形や恋する乙女な一面も素敵。
11位『映像研には手を出すな!(9)』(大童澄瞳)
それぞれ尖った能力を活かしてアニメーション制作に勤しむ女子高生達を描いた作品。
唯一無二の作品世界を更に奥深い領域へと持っていく新展開は未開の地に赴くような高揚感がある。この展開がどのように創作に活かされるかも楽しみ。
10位『フラジャイル(28)(29)』(恵三朗/草水敏)
性格と口と人相が極めて悪い、病気の原因過程を診断する病理医が主人公の病院ドラマ。
医療を支えるプロフェッショナル達の技術や技能、想いが後輩達に受け継がれていくストーリーがエモーショナルな演出とともに描かれており素晴らしい。
9位『放課後帰宅びより(3)』(松田舞)
帰り道にロマンを求めるハイパー帰宅部の主催者女子とその部員である男子を描く物語。
気になる存在から恋心が芽生えていく過程が丁寧に描かれておりシチュエーション演出も含めて破壊力高い。軽快な掛け合いのコメディ描写も楽しい。
8位『いやはや熱海くん(3)』(田沼朝)
顔が綺麗で男の人が好きな惚れっぽい男子高校生と周囲の人々を描く物語。
現実感のある掛け合いの雰囲気や上手く間を演出する漫画技法で思春期らしい感情の機微が十二分に表現されており素晴らしい。人間関係が形成されていく様子も丁寧で微笑ましい。
7位『メダリスト(11)』(つるまいかだ)
気弱な少女と熱血男性コーチのコンビがメダリストを目指すフィギュアスケート物語。
選手側、コーチ側ともに強キャラが台頭してくる中で主人公二人がそれに食らいついていくストーリーが強い。キャラクタ同士の関係性の描き方も繊細かつ濃密で素晴らしい。
6位『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(25)』(谷川ニコ)
陰気で口の悪い女子高生とその周りのクラスメイト達を描いた青春コメディ。
個性豊かなキャラクタ達の複雑な関係性に恋愛も加わり濃厚な人間模様が繰り広げられている。コメディ部分のキレも鋭く青春群像劇として秀逸。
5位『その着せ替え人形は恋をする(14)』(福田晋一)
人形職人を目指す少年と彼にコスプレ衣装作成を依頼するオタクギャルを描くラブコメディ。
重い空気が漂うシーンから一転、とんでもない勢いでラブを振りまくヒロインの緩急演出が素晴らしかった。喜多川というキャラクタの真骨頂。
4位『ドカ食いダイスキ! もちづきさん(1)』(まるよのかもめ)
食欲に抗えず異常なカロリーを摂取する女性の奇行めいた食事風景を描いたコメディ。
人並みの理性を持ちつつも食欲に負けて異常行動を繰り返す主人公の情緒が不安定で滑稽。グルメ漫画とは思えない勢いのある漫画表現も素晴らしい。
3位『にこけい! 怒りのマンガ刑事(1)』(マクレーン)
特別任務で漫画家を目指すことになった二人の敏腕刑事を描く物語。
荒唐無稽でエキセントリックな雰囲気は作者の描きたいことを好き放題描いている感があり素晴らしい。漫画ってこんなに自由でいいんだと感じさせてくれる作品。
2位『ふつうの軽音部(3)(4)』(出内テツオ/クワハリ)
邦楽ロック好きの少女が高校入学を期にギターを買って軽音部に入部する物語。
これまでの努力が結実し主人公の憧れが現実となった文化祭ライブシーンは圧巻のクオリティで爽快。癖の強いキャラクタ達の複雑な人間模様を上手く制御したストーリーもお見事。
1位『スキップとローファー(11)』(高松美咲)
自信家だけどちょっと抜けてる少女と高校のクラスメイト達との交流を描く物語。
キャラクタ達の感情の機微や関係性の描写力が秀逸で、各登場人物のエピソード全てに心を揺さぶられる。青春群像劇としてこれ以上ないクオリティ。