
2024年の読んだ漫画まとめ記事、その1。オススメ作品50選。
※ランキングのレギュレーション
2024年内に紙の書籍が発売されたコミック
私が2024年に読んだ漫画は726冊。2023年が933冊だったのでだいぶ減ってしまいましたがライフステージが色々変化しているので致し方なし。来年はもっと減る予定です。
その中から特に面白かったものを50作品ピックアップしました。ランキング形式にしたので下に行くほどオススメです。皆さんの漫画選びの参考にして頂けますと幸いです。
50位『ハヴィラ戦記(1)』(みのすけ)
男女関係の組み合わせまで人間に管理される人型の小さな生き物達の戦いを描く物語。
動植物保護に関する人間のエゴや傲慢さを具現化したような設定が秀逸。キャラクタの価値観や箱庭の中の環境など、唯一無二の世界観は細部まで作り込まれている。
49位『鍋に弾丸を受けながら(5)』(青木潤太朗/森山慎)
「治安の悪い場所の飯は上手い」をコンセプトに世界中を旅する美少女(?)を描く作品。
作者が現地の人々との交流の中で感じた異国の文化や考え方に関するロジカルな考察が非常に興味深い。勿論、登場する食事もどれも魅力的に描かれている。
48位『推しをカタチにする仕事(1)』(安藤狂太郎)
アニメや漫画のコラボ商品やキャラクターグッズを企画、制作する会社を舞台にしたコメディ。
エキセントリックなキャラクタ達が繰り広げる掛け合いはハイテンポかつキレがよくて楽しい。グッズ業界のお仕事に関する内容も興味深い。
47位『青春爆走!(1)』(研そうげん)
高校デビューに失敗し性欲を持て余す男子高校生がある目的のために活動を始める物語。
コンプレックスで歪み切った主人公達が次々道を踏み外していくストーリーはショッキングかつ疾走感がある。思惑が読めないキャラクタの今後の動きも気になるところ。
46位『SAN値直葬!闇バイト(2)』(ムクロメ)
守銭奴少女とそのバイト仲間達が怪物のぬいぐるみを仕入れる怪しい仕事に勤しむコメディ。
並外れたがめつさでクトゥルフ神話の大いなる存在達さえも退ける主人公がとにかく強烈なキャラクタ。生死さえもコメディ展開に持っていく腕力すさまじい。
45位『ザ・キンクス(1)(2)』(榎本俊二)
小説家の父親と専業主婦の母親、娘と息子の4人家族の日常を描いた作品。
榎本俊二らしい日常生活に対する斬新な着眼点とシュールながらほっこりなホームドラマが合わさって独特の雰囲気。コミカルなアクションやダイナミックな見開き表現も楽しい。
44位『君と宇宙を歩くために(2)(3)』(泥ノ田犬彦)
ヤンキーの少年と転校生のもう一人の少年、「普通」ができない二人を描く物語。
各人で異なる「できない」ことへの悩みを解像度高く描いており素晴らしい。他者との関係の中で彼らの悩みが少しずつ解消されていくストーリーも優しくて素敵。
43位『正反対な君と僕(6)(7)』(阿賀沢紅茶)
素直になれない陽キャ女子と彼女が想いをよせる物静かな男子との交流を描いた作品。
恋愛面だけでなく学校行事に取り組んだり進路に悩む等身大の高校生達が描かれておりキラキラ眩しい。キャラクタ達の性格や思考回路の多様な描き分けも見事。
42位『突風とビート(1)』(椎名軽穂)
とある能力を持った女子高生と不登校気味なクラスメイト男子との奇妙な関係を描いた物語。
かなりトリッキーな仕掛けを活かした入り組んだストーリー構成が大変ユニーク。性格は違えど双方お人好しで素直な主人公二人も好感が持てるキャラクタで素敵。
41位『秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか?(3)(完)』(春野ユキト)
メイド喫茶の謎めいた女性に恋をした社会的地位の低い男性を描く物語。
主人公二人が少し通じ合えた直後、急転直下の衝撃的な最終話は余韻の残る物語の閉め方で美しかった。あえて描きすぎない描写への拘りも印象的だった。
40位『ただの飯フレです(3)』(さのさくら)
マッチングアプリで出会ったご飯を食べるためだけに集まる男女を描く物語。
現代人が抱えがちなモヤモヤをお話に落とし込む手腕が巧み。現実の会話の雰囲気を上手く表現した掛け合いのセンスも素晴らしい。登場するご飯も美味しそう。
39位『平成敗残兵すみれちゃん(3)(4)』(里見U)
元アイドルの31歳女性が従弟の男子高校生にプロデュースされて同人グラビアを出す物語。
こじらせすぎたネガティブオタクの新キャラが強烈な個性でインパクトが強い。愛すべき点とウザさを差し引きしてギリギリマイナスくらいの絶妙なライン。
38位『奸臣スムバト(1)』(トマトスープ)
13世紀のモンゴル帝国に侵略されるジョージア王国を舞台にした田舎貴族の青年が主人公の物語。
キュートな絵柄とわかりやすいコマ割りが読みやすい一方で、歴史ストーリーは重厚で交錯するキャラクタ心理も丁寧に描かれており素晴らしい。
37位『これ描いて死ね(5)(6)』(とよ田みのる)
漫画を読むのが大好きな少女とその仲間達を描く漫研部が舞台の物語。
新たな仲間も含めて個性的な漫研部メンバーを活かしたお話作りが個性的で素敵。本編が優しい物語な一方で巻末のスピンオフ的な新人漫画家話は本編と違いシビアな雰囲気で落差が強烈。
36位『ありす、宇宙までも(1)(2)』(売野機子)
言語が苦手な少女が苛烈な天才少年のサポートを受けて宇宙飛行士を目指す物語。
主人公二人が出会うことで少女の人生が好転し、目標に向かって邁進していくストーリー構成がドラマティック。ユニークな題材や多様性表現へのアプローチも興味深い。
35位『パンをナメるな!(1)』(貞松龍壱)
高校中退の引きこもり少女がひょんな事から鎌倉のパン屋で店長代理として働き始める物語。
登場するキャラクタ達が造形含めて個性がしっかり立っており皆魅力的。感情豊かで表情がコロコロ変わるのも可愛い。パン屋描写も丁寧でどのパンも美味しそう。
34位『米蔵夫婦のレシピ帳(3)(4)』(片山ユキヲ)
妻に先立たれた堅物な小説家の男性が妻の残したレシピ本を元に料理を作り記憶を辿る物語。
主人公が亡くした妻を想う感情表現の強さと少しずつ彼女の死に向き合っていくストーリーが素晴らしい。登場する料理がどれも美味しそうなのも良い。
33位『僕のヒーローアカデミア(40)~42)(完)』(堀越耕平)
特異体質の「個性」を持つ人々が生きる世界で無個性の少年がトップヒーローを目指す物語。
ライトな雰囲気とヘビーな社会的背景が混在する作品世界は唯一無二。長期連載でしか描けない最終盤の濃密な展開も素晴らしかった。
32位『ダイヤモンドの功罪(5)~(7)』(平井大橋)
規格外の才能ゆえに野球を楽しむことが許されない少年が主人公の物語。
どんなに慎重に立ち回ろうとも周囲を狂わせてしまう主人公の苦悩する姿が悲劇的。多様で複雑なキャラクタ心理の描き分けやドラマティックなストーリー上の演出も素晴らしい。
31位『放課後ひみつクラブ(6)(7)』(福島鉄平)
エキセントリックな少女と冷静な少年が学園の秘密を探るコメディ。
キャラクタ達が巻き起こす大騒動は自由奔放かつハイテンポでジェットコースターのような楽しさがある。オリジナリティ高いキャラクタデザインも多用かつフェチ要素強くて素敵。
30位『イマジナリー(3)』(幾花にいろ)
幼馴染で微妙な距離感の男女を中心に大学生達の交流を描く物語。
付き合う前や付き合った直後の大学生男女のやり取りが駆け引きも含めてリアリティたっぷりに描かれている。特に身体の関係を意識し合う二人の思考が生々しくって素晴らしい。
29位『姫様"拷問"の時間です(13)~(15)』(ひらけい/春原ロビンソン)
高級食パンやワッフルなど様々な拷問を受ける囚われの姫を描いたコメディ。
本作独自の拷問概念が更に広がって好き放題に展開されており楽しい。出オチみたいな設定なのにここまでバリエーション豊かにお話を作れているの素晴らしい。
28位『Thisコミュニケーション(12)(完)』(六内円栄)
残酷非道な軍人の男と特殊な特性を持つ6人の少女達が人類の敵である怪物と戦う物語。
主人公を最後まで一貫してシリアルキラーとして描きつつ少女達との絆を形成し大風呂敷も畳んだ見事な最終巻。しっかり練り込まれた素晴らしい作品でした。
27位『8月31日のロングサマー(3)~(6)』(伊藤一角)
ループする8月31日を抜け出すために関係を深めようとする男女を描いたラブコメディ。
微妙にかみ合わないやり取りを繰り広げながらも互いへの意識を深めていく主人公二人の関係性が素敵。同じ構図を多用する独特の漫画表現も面白い。
26位『レッツゴー怪奇組(5)(完)』(ビュー)
人々を驚かすことを生業にする少女と常人の六倍怖がりの少年が主人公のホラーコメディ。
本作らしい間の抜けたギャグ描写も交えながら主人公の特性を活かしてヒロインの関係性に上手く決着をつけて物語の節目を迎えた印象。連載再開に期待したい。
25位『それでも天使のままで』(小骨トモ)
エロ漫画を描く少年と彼の漫画に興味を持った少女との交流を描いた表題作含む作品集。
狭い視野や恵まれない境遇が原因で美しかったはずの恋愛感情が歪んでいき、眼をそむけたくなるほど悲惨な結末に行きつくストーリー構成は強烈。
24位『恋は忍耐(1)(2)』(川西ノブヒロ)
新たに共学になった元男子高に入学した少女のとある目的のための活動を描く物語。
主人公男子を想いながらも恋愛観を矯正しようとしているヒロインの歪んだ愛情が強烈でぶれない姿も力強い。そんな彼女に抵抗する主人公との駆け引きも面白い。
23位『100年の経(1)(2)』(赤井千歳)
100年のコールドスリープから目覚めた小説家が文章生成AIが席巻する文学界に挑む物語。
生成AIに関する近未来SF描写が現代からもイメージしやすい内容でリアリティがある。主人公の小説家としての強いプライドがどんな方向に向かうかも気になるところ。
22位『傷口と包帯(1)』(七井海星)
弱った人間に性的興奮を感じるヤクザの娘と彼女の世話を任されたヤクザを描くコメディ。
可憐な容姿ながらぶっ飛んだ異常性癖を持ち、変顔中心にコメディ要員としてフル回転する主人公のキャラクタが強烈。彼女に振り回されるヤクザも不憫で滑稽。
21位『ビバリウムで朝食を(3)』(道満晴明)
街の七不思議の秘密を探る仲良し小学生3人組の少し不思議な冒険を描いた作品。
エッジの利いた世界観に個性豊かなキャラクタ達、シニカルでハイテンポな掛け合い、細かいやり取りの中での小ネタの多さなど、道満晴明作品らしい雰囲気たっぷり。
20位『みやこまちクロニクル 父ありき編』(ちほちほ)
岩手在住のアラフィフの独身男性と同居する両親との日々を描くエッセイ漫画。
日常の出来事が何気ない会話まで淡々としたためられており作者とともに父親の介護を追体験しているような感覚になる。エッセイとして非常によくできている。
19位『あくまでクジャクの話です。(1)~(3)』(小出もと貴)
恋愛に悩む男性教師と生物学を通して恋愛の悩みに答える変な女子高生との交流を描く物語。
生物学の知識に周囲の人間関係をこじつけてズカズカと持論を展開するヒロインのキャラクタが強烈。キャラ造形や恋する乙女な一面も素敵。
18位『映像研には手を出すな!(9)』(大童澄瞳)
それぞれ尖った能力を活かしてアニメーション制作に勤しむ女子高生達を描いた作品。
唯一無二の作品世界を更に奥深い領域へと持っていく新展開は未開の地に赴くような高揚感がある。この展開がどのように創作に活かされるかも楽しみ。
17位『シメジ シミュレーション(5)(完)』(つくみず)
2年間の引きこもり生活で頭からしめじが生えてきた少女を主人公にした作品。
ゆる日常4コマから全人類を巻き込んだ壮大なSFへと変貌していった構成には驚かされた。自己と他者の境界など哲学的な思考を果敢に描こうとした意欲的な作品でした。
16位『フラジャイル(27)~(29)』(恵三朗/草水敏)
性格と口と人相が極めて悪い、病気の原因過程を診断する病理医が主人公の病院ドラマ。
医療を支えるプロフェッショナル達の技術や技能、想いが後輩達に受け継がれていくストーリーがエモーショナルな演出とともに描かれており素晴らしい。
15位『いやはや熱海くん(3)』(田沼朝)
顔が綺麗で男の人が好きな惚れっぽい男子高校生と周囲の人々を描く物語。
現実感のある掛け合いの雰囲気や上手く間を演出する漫画技法で思春期らしい感情の機微が十二分に表現されており素晴らしい。人間関係が形成されていく様子も丁寧で微笑ましい。
14位『ずっと青春ぽいですよ(2)(3)』(矢寺圭太)
アイドル研究部のオタク男子達が陰キャながらも青春を謳歌するために奮闘する物語。
はたからみるとくだらない事でも高校生達が全力で取り組むことで青春へと昇華されておりキラキラ眩しい。進学などのリアルな悩みを混ぜてくるバランスも良い塩梅。
13位『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(25)』(谷川ニコ)
陰気で口の悪い女子高生とその周りのクラスメイト達を描いた青春コメディ。
個性豊かなキャラクタ達の複雑な関係性に恋愛も加わり濃厚な人間模様が繰り広げられている。コメディ部分のキレも鋭く青春群像劇として秀逸。
12位『放課後ブルーモーメント(3)(完)』(旗谷澄生)
真面目だけど要領の悪い女子と補習授業で一緒になった男子との交流を描いた作品。
助け合う主人公カップル含めたメイン5人の関係性や少女漫画的シチュエーション演出力など素晴らしかった。全3巻のストーリー構成も美しくまとまっていた。
11位『その着せ替え人形は恋をする(13)(14)』(福田晋一)
人形職人を目指す少年と彼にコスプレ衣装作成を依頼するオタクギャルを描くラブコメディ。
重い空気が漂うシーンから一転、とんでもない勢いでラブを振りまくヒロインの緩急演出が素晴らしかった。喜多川というキャラクタの真骨頂。
10位『イズミと竜の図鑑(1)(2)』(凪水そう)
吟遊詩人の少女とダンジョン案内人の獣人男性の竜の図鑑を作るための旅を描く物語。
ロマンあふれる世界観に幻想的な画面演出、シビアなストーリー、魅力的なキャラクタ達などが合わさり総合力の高い骨太なファンタジーに仕上がっている。
9位『メダリスト(10)(11)』(つるまいかだ)
気弱な少女と熱血男性コーチのコンビがメダリストを目指すフィギュアスケート物語。
選手側、コーチ側ともに強キャラが台頭してくる中で主人公二人がそれに食らいついていくストーリーが強い。キャラクタ同士の関係性の描き方も繊細かつ濃密で素晴らしい。
8位『劇光仮面(5)(6)』(山口貴由)
大学時代に特撮研究会に所属していた男性とその仲間達を描く物語。
己の信念を貫こうとするキャラクタ達の熱量や悲劇も含め濃厚な人間ドラマ、息をつく暇もないストーリー展開、緊迫感溢れる画面演出は圧巻。唯一無二の山口貴由ワールドは面白さ天井知らず。
7位『スナックバス江(14)(15)』(フォビドゥン澁川)
老婆とチーママが切り盛りする場末のスナックを舞台にしたギャグ漫画。
本流の隙間を攻めるような独特の話題選びにゲスながら憎めないキャラクタ達、センス溢れるハイテンポな掛け合いなど、コメディとしてどの要素も一級品で素晴らしい。
6位『ドカ食いダイスキ! もちづきさん(1)』(まるよのかもめ)
食欲に抗えず異常なカロリーを摂取する女性の奇行めいた食事風景を描いたコメディ。
人並みの理性を持ちつつも食欲に負けて異常行動を繰り返す主人公の情緒が不安定で滑稽。グルメ漫画とは思えない勢いのある漫画表現も素晴らしい。
5位『にこけい! 怒りのマンガ刑事(1)』(マクレーン)
特別任務で漫画家を目指すことになった二人の敏腕刑事を描く物語。
荒唐無稽でエキセントリックな雰囲気は作者の描きたいことを好き放題描いている感があり素晴らしい。漫画ってこんなに自由でいいんだと感じさせてくれる作品。
4位『放課後帰宅びより(1)~(3)』(松田舞)
帰り道にロマンを求めるハイパー帰宅部の主催者女子とその部員である男子を描く物語。
気になる存在から恋心が芽生えていく過程が丁寧に描かれておりシチュエーション演出も含めて破壊力高い。軽快な掛け合いのコメディ描写も楽しい。
3位『夏目アラタの結婚(12)(完)』(乃木坂太郎)
児童相談所勤めの男性が死刑囚女性に獄中結婚を持ち掛けるラブサスペンス。
緻密に作り込まれた物語の全てに意味を持たせる怒涛の伏線回収が気持ちいい。二人の歪みながらも美しい関係性とそれを演出する終盤シーンの演出も圧巻。傑作でした。
2位『ふつうの軽音部(1)~(4)』(出内テツオ/クワハリ)
邦楽ロック好きの少女が高校入学を期にギターを買って軽音部に入部する物語。
これまでの努力が結実し主人公の憧れが現実となった文化祭ライブシーンは圧巻のクオリティで爽快。癖の強いキャラクタ達の複雑な人間模様を上手く制御したストーリーもお見事。
1位『スキップとローファー(10)(11)』(高松美咲)
自信家だけどちょっと抜けてる少女と高校のクラスメイト達との交流を描く物語。
キャラクタ達の感情の機微や関係性の描写力が秀逸で、各登場人物のエピソード全てに心を揺さぶられる。青春群像劇としてこれ以上ないクオリティ。