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 2024年の読んだ漫画まとめ記事、その3。2024年に完結巻が出た作品紹介。

 2024年に完結巻が出た作品で(単巻完結のものは除く)私は読んだ作品は全部で70作品。完結作品にも目を向けて貰えればいいなぁと思ってまとめております。皆さんも、新規開拓に疲れてきたら、たまには完結作品にも目を向けてみましょう。
(紹介はだいたい発売日順)


『ふみちゃんの楽園』(全2巻)(さとまるまみ)
スランプ中の小説家の女性と同居する男性との性行為含む生活を描いた作品。
自身の人生や生き方に思い悩んでいた主人公が男性との幸せな生活の中で自分を見つめ直して新たな道を踏み出していくストーリー構成が全2巻で綺麗にまとまっていた。


『ダンピアのおいしい冒険』(全6巻)(トマトスープ)
いわゆる海賊船に乗り込み太平洋を旅する好奇心旺盛な男を主人公にした物語。
作者の確かな歴史に関する知識をベースに17世紀当時の世界を旅する人々の姿が丁寧に描かれていた。最終話の主人公の決断も現代の価値観では残酷だが本作らしい。


『シメジ シミュレーション』(全5巻)(つくみず)
2年間の引きこもり生活で頭からしめじが生えてきた少女を主人公にした作品。
ゆる日常4コマから全人類を巻き込んだ壮大なSFへと変貌していった構成には驚かされた。自己と他者の境界など哲学的な思考を果敢に描こうとした意欲的な作品でした。


『神さまがまちガえる』(全4巻)(仲谷鳰)
あらゆるものの左右が反転するなど世界規模で起こるバグの中で生きる人々を描いた作品。
自由度が高いトリッキーな設定をちょっと持て余し気味だった嫌いもあるが、主人公と保護者女性との関係性などキャラクタのエピソードは綺麗にまとまっていた。


『生きてるうちに推してくれ』(全4巻)(丹羽庭)
霊が視えるアイドル女性と除霊を生業にする坊主とのコンビを描いたコメディ。
この作者らしいドタバタ感のあるコメディスタイルは最後まで楽しかったし、ストーリーもキャラクタエピソードは最低限消化して伏線めいた描写の回収を含めて綺麗に畳んだ印象。


『フォルトゥーナ』(全2巻)(神羊弱虫)
醜い容姿ゆえに人里を追われ「森の怪物」として生きる青年の一生を描く物語。
出会いや別れなどのドラマティックなイベントを通した主人公の思考の変化を描いたストーリー構成は面白かったが、終盤の哲学的な自問自答は唐突かつちょっと冗長な印象だった。


『ハンサムマストダイ』(全2巻)(アストラ芦魔)
ハンサムアイドル養成所に潜入しトップアイドルを目指すドルオタ女性が主人公のコメディ。
バカバカしい展開で畳みかけてくるハイテンションなコメディスタイルは最後まで勢いがあった。短期集中連載ならではの急展開のストーリー構成も潔かった。


『うらうらひかる 津々に満つ』(全2巻)(高村秀路)
母を亡くした少年とその父親が彼女の臓器移植相手に会うために旅をする物語。
あまりにも残酷な主人公二人の過去に対して、そこから立ち直るのに十分な描写がされずに二人が前を向く比較的ポジティブなラストに至ってしまった。設定が重すぎた印象。


『極東事変』(全6巻)(大上明久利)
戦後日本を舞台に半不死身の人間兵器達とGHQとの争いを描くアクション物。
武器や車両のディテールや戦後日本のきな臭い雰囲気、躍動感溢れるアクションシーン、ハードボイルドな決めコマや画面など、随所に作者の拘りが感じ取れる作品だった。


『われわれは地球人だ!』(全2巻)(高橋聖一)
宇宙空間を旅するショッピングモールとそこに閉じ込められた女子高生3人を描く物語。
地球とは全く異なる文明や価値観を持った星々の設定にはバリエーションがあったし、主人公三人が絆を深めながら旅をしていくストーリー構成も素敵だった。


『ここは鴨川ゲーム製作所』(全2巻)(スケラッコ)
会社を辞めた美大出の女性を中心に人々が集まりゲームを作る様子を描いた作品。
多様な悩みを抱えたキャラクタ達がゲーム制作という場を通して緩くつながり心を支え合う様子が素敵。絵柄同様、ストーリーもファジィで主張し過ぎないのが心地よい。


『万能会社員 菅田くん』(全3巻)(山田しいた)
IT企業を舞台にエンジニアの女性と謎の多い万能会社員男性を描いたコメディ。
ITエンジニア系の現実感のあるお仕事描写をベースにしながら、振り切ったバカバカしい展開やそれに伴う障壁をキャラクタが腕力で切り開いていくスタイルが楽しい作品だった。


『すぐ泣く先輩』(全2巻)(うっちゃー)
感情表現が豊かなギャルと彼女をからかう無表情な後輩女子の掛け合いを描いたコメディ。
ピュアで素直な感性を持っていて他人に感化されやすい主人公がキュート。周囲の人々がそんな彼女をからかいながらも慕っている関係性もハートフルで素敵だった。


『仏ガール』(全3巻)(柚ちえこ)
仏像オタクの美術部顧問とその生徒が仏像鑑賞のために各地に赴く物語。
実在する仏像のビジュアル面での迫力を魅せる画面表現には拘りを感じる。仏像に関する逸話の紹介も含めて題材に対するリスペクトが随所に感じられて好感が持てる作品でした。


『おねぇちゃん日和』(全3巻)(ネリ夫)
ちょっとおバカな姉とツッコミ役の妹、二人の何気ない日常の掛け合いを描くコメディ。
とぼけた主人公のキャラクタやそれにツッコむ周囲の人々との掛け合いの軽快さ、関西弁のセリフのリズム感など、コメディとして読みやすい作品でした。


『ヘブンの天秤』(全4巻)(浄土るる)
素行の悪い天使が堕天しないために地上に降りて人助けをする物語。
迷い苦悩し続けた主人公の勇気を振り絞った反攻を完膚なきまでに踏みにじる救いのないラストはこれ以上なく残忍かつ悪趣味。作者の短編同様、長編でも後味の悪さは健在だった。


『一ノ瀬家の大罪』(全6巻)(タイザン5)
事故により全員記憶喪失になった6人家族の真実が明らかになっていく物語。
破綻寸前と思われていたストーリーを何とか制御してある程度まとまったラストとなった印象。収録された読み切りも含めてチャレンジングな題材や仕掛けに果敢に挑む姿勢は評価できる。


『カノジョは今日もかたづかない』(全6巻)(加納梨衣)
周囲には見栄を張りがちなどんくさい会社員女性を主人公にした作品。
自己肯定感が低かった主人公が自分を評価し見栄を張らず地に足着いた思考ができるようになるまでの成長過程が丁寧に描かれてストーリーとして綺麗に完結。


『のボルダ』(全4巻)(鬼頭莫宏)
競技歴1年の物静かな女性会社員を主人公にしたボルダリング物。
静かな画面やマニアックな要素の掘り下げなどが特徴的な作風とボルダリングという題材はマッチしていた。創作秘話的を作者の分身が語るお話をストーリーの合間に入れ込んでくるスタイルもユニークだった。


『白山と三田さん』(全10巻)(くさかべゆうへい)
田舎に住む地味な高校生カップルのちょっと変な交際の様子を描いた作品。
本作らしいヘンテコなノリも交えつつ主人公の心境の変化やサブキャラクタ達のエピソード、主人公カップルの気持ちの確認などしっかり消化して気持ちのいい最終巻だった。


『よふかしのうた』(全20巻)(コトヤマ)
不眠症の少年と吸血鬼の少女との夜の街を舞台にした不思議な交流を描く物語。 
本作の特異な吸血鬼設定とこれまでのストーリーを上手く活かして綺麗な最終巻。今後も続いていくキャラクタ達の関係性を感じさせる気持ちのいいラストでした。


『脳梁ドッグファイト』(全2巻)(常盤魚)
思わせぶりな幼なじみ女子に対して理性と本能がせめぎ合う男子の葛藤を描いたコメディ。
右脳と左脳のせめぎ合いという設定を老年期の脳関係の病気も含めて扱ったのはユニークだった。愛らしいキャラクタ達の激しめの掛け合いも楽しい作品だった。


『夏目アラタの結婚』(全12巻)(乃木坂太郎)
児童相談所勤めの男性が死刑囚女性に獄中結婚を持ち掛けるラブサスペンス。
緻密に作り込まれた物語の全てに意味を持たせる怒涛の伏線回収が気持ちいい。二人の歪みながらも美しい関係性とそれを演出する終盤シーンの演出も圧巻。傑作でした。


『僕はメイクしてみることにした』(全3巻)(糸井のぞ)
38歳で初めてスキンケアやメイクに興味を持った会社員男性が主人公の物語。
男性がメイクをすることへの偏見など暗い描写も交えつつ男性メイクへの肯定的なメッセージが描かれていた。実在の商品を取り上げたメイク知識の紹介も興味深かった。


『星のラブドール』(全2巻)(ぴのきみまる)
性知識が全くない小学生高学年男子と心を持ったラブドールとの交流を描く物語。
人間の少年とラブドール少女の決して叶わない悲恋がドラマティックなストーリーを通して描かれていた。全2巻で物語は美しくまとまっており読後の余韻が素晴らしい。


『すずめくんの声』(全2巻)(路田行)
元恋人のことが忘れられない女性のもとに彼そっくりの声を持つ男性が現れる物語。
めんどくさい思考回路を持ったキャラクタ達が皆人間味に溢れており、各人が自身に折り合いをつけていく描き方も素敵だった。コミカルな心理描写もキュートだった。


『エロチカの星』(全4巻)(前野温泉)
さえない漫画家志望の男性と謎の美少女がコンビを組んでエロ漫画家のトップを目指す物語。
ストーリーにやや駆け足の印象は合ったものの、主人公の過去の因縁やメイン二人の関係にきっちり決着をつけて綺麗に幕引き。ずれた雰囲気のコメディも楽しい作品だった。


『世界にさよならのキスをして』(全3巻)(日々の杏)
お互いに恋愛感情はないが恋人以上に通じ合う奇妙な関係性の男女を描く物語。
二人の関係性の変化とそれにより導き出された結論が美しくストーリーとして綺麗にまとまっていた。サブキャラクタから見た二人の姿をしっかり描いていたのも良かった。


『スカライティ』(全3巻)(日々曜)
滅んだ世界で生き残った不死の人々の願いを叶え殺すために旅をするロボットを描く物語。
本作の世界観や設定をベースにした主人公の特異な価値観を上手く活かしたお話や静かな画面の雰囲気がユニークな作品だった。全3巻でコンパクトかつ綺麗に完結。


『Thisコミュニケーション』(全12巻)(六内円栄)
残酷非道な軍人の男と特殊な特性を持つ6人の少女達が人類の敵である怪物と戦う物語。
主人公を最後まで一貫してシリアルキラーとして描きつつ少女達との絆を形成し大風呂敷も畳んだ見事な最終巻。しっかり練り込まれた素晴らしい作品でした。


『ビンテイジ』(全5巻)(赤堀君)
ファッションに疎い大学生男子が亡き父親の影響で古着のことを勉強し始める物語。
主人公の成長や古着を通した夢、父親への感情、ヒロイン達との関係性などを上手くまとめて綺麗に完結。大学生という自由な立場を活かして無茶をする雰囲気も素敵だった。


『クジマ歌えば家ほろろ』(全5巻)(紺野アキラ)
ロシアから来た鳥人間っぽい変な生物と彼と同居することになった家族を描く物語。
家族になった主人公と少年、その別れと再会までを描いたすっきりとしたラスト。主人公の独特なキャラデザインを活かしたシュールな画面演出などユニークな雰囲気の作品だった。


『淡島百景』(全5巻)(志村貴子)
舞台女優を養成するための女学校を舞台に学生や親族などそれぞれの想いが錯綜する群像劇。
偶然タイムリーになった女学校内での孤立の話も含めて、特殊な環境の中で信念を持って逞しく生き晴れやかな舞台を目指していく若者達の姿が美しく描かれていた。


『放課後ブルーモーメント』(全3巻)(旗谷澄生)
真面目だけど要領の悪い女子と補習授業で一緒になった男子との交流を描いた作品。
助け合う主人公カップル含めたメイン5人の関係性や少女漫画的シチュエーション演出力など素晴らしかった。全3巻のストーリー構成も美しくまとまっていた。


『フォビア』(全3巻)(原克玄/ゴトウユキコ)
拒絶や孤独など、様々な恐怖症に過剰に怯える人々を描いたホラーオムニバス。
視方によってはギャグにも思えるような極端な設定が湿っぽい雰囲気の画面で演出されて不気味なホラーに仕上がっていた。原作と作画のコンビが上手くかみ合っていた印象。


『好きな子がめがねを忘れた』(全12巻)(藤近小梅)
眼鏡忘れてしかめっ面な少女とその娘が好きな純情男子との掛け合いを描くラブコメディ。
初心な様子で恥ずかしがりながらも一歩一歩歩み寄って関係を深めていく主人公二人のやり取りは最後まで甘々だった。良いラブコメディでした。


『三拍子の娘』(全3巻)(町田メロメ)
母親と死別し父親に捨てられたけど今を楽しく生きる三人姉妹の日常を描いた物語。
三者三様の個性を持った主人公達は皆魅力的で軽やかに逞しく生きる姿や彼女らの関係性も素敵。シンプルな描線の絵柄もユニークで最後までさわやかな印象の作品でした。


『イジめてごっこ』(全7巻)(南文夏)
重度の被虐願望がある女性と特にSっ気のない男性のカップルがSM関係を始める物語。
作品初期は絶望的かと思われた主人公二人の間にあるSMに対する認識の差を徐々に歩み寄らせてハッピーエンドへと導いたストーリー構成が美しかった。


『Lv1魔王とワンルーム勇者』(全11巻)(toufu)
勇者に討たれ不完全な形で復活した魔王と落ちぶれてニート生活を送る勇者を描く物語。 
最終決戦を終えた後の人類と魔族との顛末や各キャラクタ達のエピローグなど丁寧に描いて本作らしい大団円。主人公二人の関係性などユニークな作品でした。


『夏の終点』(全2巻)(西尾拓也)
転校生のクラスメイト男子を好きになった中学生女子の淡い恋愛を描く物語。 
柔らかい絵柄と繊細な描線、大胆に余白を活用した画面は非常にユニーク。絵柄同様にストーリーも最後までふわっとしていた印象で、各キャラクタの心理などはややつかみにくかった。


『僕が恋するコズミックスター』(全4巻)(縁山)
宇宙からやってきた少女とともにヒーロー活動をすることになった少年が主人公の物語。
独特のヒーロー設定やそれを活かしたキャラクタ同士の恋愛模様、軽快なリズムの掛け合いなどユニークな作品だった。縁山先生の次回作にも期待したい。


『くりことびより』(全4巻)(雪本愁二)
子供のいない夫婦と里親制度でやってきた女の子とのお菓子作りを通した交流を描いた物語。
キャラクタ達がヘビーな過去に向き合いつつも家族として前を向いていくポジティブな幕引き。コミカルに動き回るキャラクタ達やキラキラした画面演出が楽しい作品でした。


『部長は少女漫画家』(全3巻)(古都かねる/西村マリコ)
堅物そうに見えて実は会社に内緒で商業少女漫画を連載する男性会社員が主人公のコメディ。 
勘違いネタやギャップの面白さを駆使しつつ設定を活かしたコメディスタイルは最後まで安定して楽しかった。ストーリーもコンパクトに上手く畳まれていた。


『スルーロマンス』(全5巻)(冬野梅子)
恋愛脳で衝動的な女性と真面目で慎重派なもう一人の女性、対照的な二人を描く物語。
現代日本を生きる人々の等身大な恋愛への向き合い方にリアリティがある。女性の生き辛さやパートナー選びの難しさを真正面から描いた意欲的な作品でした。


『セーフセックス』(全3巻)(岩浪れんじ/森もり子)
初対面でホテルに行った社会人男女の恋模様を描く物語。 
肉体関係から始まった二人が互いを好ましく思う間柄に発展していくストーリーが上手くまとまっていた。両主人公のやり取りや掛け合いが最後まで可愛らしくて素敵なキャラクタだった。


『レッツゴー怪奇組』(全5巻)(ビュー)
人々を驚かすことを生業にする少女と常人の六倍怖がりの少年が主人公のホラーコメディ。
本作らしい間の抜けたギャグ描写も交えながら主人公の特性を活かしてヒロインの関係性に上手く決着をつけて物語の節目を迎えた印象。連載再開に期待したい。


『グリーングリーングリーンズ』(全3巻)(寺坂研人)
熱中できることのない空っぽな少年がゴルフのプロを目指す少女と出会い変わっていく物語。
本気で夢を追いかける少女に主人公が感化され、作品当初からは考えられない熱量を持ってゴルフに取り組む様子は微笑ましかった。早期完結は残念。


『異世界人生劇場~竜と魔王とエビフライ~』(全2巻)(ka92)
エビフライで戦う英雄の話などちょっと変わった設定を詰め込んだ異世界ショートショート。
画面や各お話の情報量が多くて少し読みにくい嫌いもあったがドタバタ感やシリアスな場面でも間の抜けたキャラクタ達の掛け合いなど楽しい作品だった。


『大丈夫倶楽部』(全8巻)(井上まい)
精神的に安定した「大丈夫」を目指す会社員女性と周囲の人々を描く物語。
メンタルを健全に保つための生活の中のライフハックを面白おかしく描く日常回がありつつ、各キャラのエピソードも上手く畳んで綺麗に完結。ユニークな個性を持った面白い作品でした。


『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』(全4巻)(魚豊)
契約社員で働く青年が人生を成功に導くために恋をしようと奮闘する物語。
陰謀論に染まった主人公が出した結論やヒロインとの関係性、師匠キャラとの最後のやり取りなど、本作のテーマにしっかりオチをつけて綺麗に完結。


『霧尾ファンクラブ』(全6巻)(地球のお魚ぽんちゃん)
クラスメイトの男子が好きすぎて奇行に走る女子二人を描いた片思いコメディ。
本作らしいトンチンカンなノリのコメディも交えながら、伏線めいた描写も回収して綺麗に物語は幕を閉じた。主人公が出した結論と最後の三人の関係性の描き方も素敵。


『カオスゲーム』(全5巻)(山嵜大輝)
週刊誌記者の女性が奇妙な殺人鬼と自身の不思議な記憶の謎に迫るサスペンス。
終盤の展開は駆け足でストーリー面はやや消化不良感があったものの、謎めいたオカルト設定やダイナミックなアクションシーン、それらを演出する美麗な作画など魅力的な作品だった。


『この復讐にギャルはいらない』(全4巻)(まの瀬)
人間不信の元殺し屋の少年と彼を慕う同じクラスのギャルとの交流を描いた作品。
早期完結で終盤ストーリーが駆け足になったのは残念だったが、斜め上の方向に外れたギャグの雰囲気は唯一無二で最後まで楽しかった。次回作にも期待したい。


『恋をしたのに世界は滅びる気配もない』(全3巻)(東雲)
図書館に勤める人見知り男性と未亡人の官能小説家との関係を描くラブストーリー。
キュートな作画ながらキャラクタ達が置かれた状況はシビアで、そんな中で人と人が繋がりながらポジティブに前に進んでいくストーリが―素敵だった。


『かさねと昴』(全5巻)(山田金鉄)
女装が趣味な会社員男性と彼の同僚の女性との交流を描く物語。
女装を肯定的に捉えられるようになった男性と自分の好きなものを形にする喜びを再認識した女性、主人公二人の成長をしっかり描き切って綺麗に完結。随所に作者の拘りが感じ取れる良い作品でした。


『無能の鷹』(全8巻)(はんざき朝未)
有能そうで実際にはどうしようもないポンコツな女性会社員が主人公のお仕事コメディ。
仕事できなさ具合が常軌を逸している主人公や、やや強引なくらいの勘違いネタでお話を展開していくスタイル、現実感のあるITコンサル企業の業務ネタなどユニークな作品だった。


『おぼこい魔女はまじわりたい!』(全7巻)(仲邑エンジツ)
一人前になるために性交が必要な魔女見習い少女と彼女に迫られる少年を描くラブコメディ。
主人公カップルだけでなく群像劇としてクラスメイト達のエピソードもある程度回収してまとまりよく完結。キャラクタに何だか人間味のある面白い作品でした。


『少年のアビス』(全18巻)(峰浪りょう)
閉塞的な田舎町に囚われる少年と彼を慕う周囲の人々との関係を描く物語。
どう転んでも全てのキャラクタが破滅へと向かっていきそうだった本作としては比較的希望が見いだせる穏やかなエンディング。最後までヘビーな人間関係が繰り広げられた濃厚な作品でした。


『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』(全3巻)(麻布競馬場/川野倫)
現代日本の格差や嫉妬、生きづらさを描くタワマン文学と分類される小説のコミカライズ。
東京でも田舎でも、その土地に馴染めず生き辛さを感じる人々が生々しくセンセーショナルに描かれていた。コンプレックスの煮凝りのような作品だった。


『双影双書』(全4巻)(舟本絵理歌)
命を狙われる大帝国の皇太子と彼の影武者となった貧民街出身の少年を描く物語。
柔らかい雰囲気の温かい絵柄に朗らかながら芯の強いキャラクタ達、ヘビーな宮廷の権力争いが特徴的な作品だった。終盤ややドタバタだったもののストーリーとしては綺麗に完結。


『異刻メモワール』(全3巻)(るん太)
現実世界に絶望する少年が迷い込んだ異世界でもう一人の少年と暮らし始める物語。
現地に生きる者たちの日常生活の気配が感じ取れる精緻なキャラクタや背景描写は最後までクオリティが高かった。余韻の残る物語の畳み方も素敵だった。いい漫画でした。


『宝石の国』(全13巻)(市川春子)
身体が宝石で出来た生き物達と月から飛来する月人達を描いていたファンタジー作品。
様々な苦難を経験してきた主人公が穏やかな日々にたどり着けたことが喜ばしい。唯一無二の世界観と壮大なストーリーの終着点として美しいラストでした。


『AIの遺電子 Blue Age』(全9巻)(山田胡瓜)
ヒューマノイドが人間に交じって生活する近未来の医療現場を描くSF。
主人公の気持ちにある程度決着がついてスピンオフ作品として綺麗に完結。シリーズとして全22巻、骨太な世界観と現実として想像しうる近未来描写が魅力的な作品でした。


『スイカ』(全4巻)(森とんかつ)
オカルト的存在の少女と彼女に気に入られた不運な高校教師コンビを描くホラーギャグ。
荒唐無稽な怪異が次々襲い来るハイテンションなホラーギャグの勢いを最後まで楽しませてもらった。絵柄やキャラデザインもユニークで唯一無二の雰囲気を持った作品でした。


『【推しの子】』(全16巻)(赤坂アカ/横槍メンゴ)
人気アイドルの隠し子である双子の兄妹がそれぞれの方法で母の足跡をたどる芸能界物語。
超人気作の完結で賛否両論が出ることを承知の上で原作者の描きたかったストーリー構想を描き切っていた印象。社会現象になるだけのパワーを持った力強い作品でした。


『田沼殿と源内さん~ときどき徳川ファミリー~』(全2巻)(山田しいた)
稀代の政治家・田沼意次と天才発明家・平賀源内が主人公の江戸時代ギャグ。
歴史物にオーバーテクノロジーやファンタジーを混ぜまくったり唐突に他漫画パロディ回を挟んできたりと、カオスな雰囲気で最後まで走り切っていた。


『秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか?』(全3巻)(春野ユキト)
メイド喫茶の謎めいた女性に恋をした社会的地位の低い男性を描く物語。
主人公二人が少し通じ合えた直後、急転直下の衝撃的な最終話は余韻の残る物語の閉め方で美しかった。あえて描きすぎない描写への拘りも印象的だった。


『呪術廻戦』(全30巻)(芥見下々)
社会に潜んだ呪いを祓う呪術師と呪霊との戦いを描く物語。
本作らしい独特の戦闘ルールを駆使したラストバトルは起伏を付けながら最後まで盛り上げて上手く決着。エピローグも含めて綺麗にまとまった良い幕引き。エンタメ性の高いユニークな作品でした。


『歌舞伎町ヒステリックドリーマー』(全2巻)(関野葵)
行方不明の姉を探すために歌舞伎町の謎に迫る少女と3人の仲間達を描いた物語。
歌舞伎町という舞台と家庭環境が恵まれない少年少女達、幻想的な画面が合わさって独特の雰囲気。起承転結がしっかりしたストーリーも上下巻で綺麗に完結。


『僕のヒーローアカデミア』(全42巻)(堀越耕平)
特異体質の「個性」を持つ人々が生きる世界で無個性の少年がトップヒーローを目指す物語。
ライトな雰囲気とヘビーな社会的背景が混在する作品世界は唯一無二。長期連載でしか描けない最終盤の濃密な展開も素晴らしかった。