
2025年5月読んだ漫画の中でオススメ作品のまとめです。
『であいもん(19)』(浅野りん)
のんきな青年としっかり者の少女が主人公の京都の和菓子屋を舞台にしたホームドラマ。
じっくりと丁寧に描かれてきた主人公とヒロイン女性との関係が綺麗にまとまって作品としては一つの区切りを迎えた。主人公の和菓子屋としての成長も頼もしい。
『超巡!超条先輩(5)』(沼駿)
超能力で捜査を行う嫌われ者の警官と彼の相棒となった新米警官が主人公のコメディ。
切れ味鋭いハイテンポな掛け合いやユニークな言語センス、尖った個性のキャラクタ達、バリエーション豊かな話の引き出しなどの要素が合わさってコメディとして高水準。
『サンキューピッチ(2)』(住吉九)
ある制約を抱えたピッチャーの少年を中心に曲者揃いの野球部を描く高校野球物。
ケレン味の強いキャラクタ達にハッタリの利いた独特の論理展開、緩急自在なストーリー構成、インパクトの強い漫画表現が組み合わさってとんでもない面白さ。
『姫様”拷問”の時間です(17)』(ひらけい/春原ロビンソン)
シャカシャカポテトやほかほかメロンパンなど様々な拷問を受ける囚われの姫を描いたコメディ。
拷問や囚われの姫という概念が歪み切った空間で繰り広げられるギャグに安定感がある。魔王様の子育て奮闘記などサブ的なストーリーも高クオリティ。
『税金で買った本(15)』(ずいの/系山冏)
ひょんなことから図書館で働くことになったヤンキー少年が主人公の物語。
職場でのプレゼンスを維持するために自分しかできない仕事を複数かかえるベテラン職員の話など、図書館に限らずお仕事物としての業務の描き方にリアリティがある。
『酒蔵かもし婚(1)』(菅原じょにえる/増田晶文)
専業主夫志望の無職男性が婚活で出会った女性して婚約して酒蔵に婿養子に入る物語。
天然だけど誠実で憎めない主人公と口数は足りないが情熱を秘めているヒロイン、二人がどちらも魅力的。ヒロインのキャラ造形も強い。酒蔵のお仕事描写も興味深い。
『東京最低最悪最高!(2)』(鳥トマト)
東京の出版社を舞台に現実に絶望しつつも折り合いをつけながら生きる人々を描く群像劇。
現代日本社会の醜悪な部分を誇張したストーリーは露悪的ながらインパクトが強い。妥協と諦めの中で生きていくキャラクタ達の姿にもリアリティがある。
『黒魔法寮の三悪人(4)』(斎藤キミオ)
荒ぶる若者の巣窟である黒魔法寮に配属された三人の少女達が主人公の魔法学園コメディ。
主人公三人の性根が本当に腐りきっているのがコメディのキャラクタとして潔くて素晴らしい。癖が強すぎるサブキャラクタや毎回起こる事件のドタバタ具合も楽しい。
『はだかで恋を語る仲(2)』(鳩野マメ)
理想のセックスに至るために片想い相手と風呂場で性行為について語り合う男子を描く物語。
想い人と彼女の元カレとの関係性やセックスに関する課題を本人達の前で分析させられるというシチュエーションが地獄過ぎて主人公が不憫。コンセプトが強烈な作品。
『ミュージアムのふたり(1)』(山崎虔十)
悪評から逃れたくて博物館で働き始めた女性と先輩の学芸員女性が主人公の物語。
素朴ながら温かみのある人々との交流の中で荒んでいた主人公女性が少しずつ柔和な雰囲気になっていく様子が素敵。元学芸員の作者が描く博物館業務の描写も興味深い。
『J⇔M ジェイエム(5)』(大武政夫)
女子小学生と身体が入れ替わってしまった殺し屋とその女子が主人公のコメディ。
入れ替わり設定を駆使した馬鹿らしいシチュエーションの創出とそれに対するモノローグツッコミの切れ味が鋭い。大武先生の作風と題材がマッチしている印象。
『無敗のふたり(3)』(遠藤浩輝)
組んだ人間を誰でも勝たせてしまう天才トレーナーと格闘技を愛する青年コンビを描く物語。
感情をむき出しにする青年や不敵なトレーナー、思考が読めないライバルキャラなど外面は様々ながら内面では各人が格闘技をロジカルに分析して動いている雰囲気が興味深い。
『虚構推理(23)』(片瀬茶柴/城平京)
怪異たちから知恵の神として慕われる義眼義足の少女を主人公にした怪奇ミステリ。
複数の妖怪系の昔ばなしを組み合わせながら土台にして、本作らしい二重解決を提示するミステリ構成力が素晴らしい。コミカルなキャラクタ同士の掛け合いも楽しい。
『写らナイんです(4)』(コノシマルカ)
霊を引き寄せる体質に悩む少年と霊感ゼロだけど心霊写真を撮りたい少女が主人公の物語。
死の予感さえ感じさせる凶悪な怪異をもギャグの仕掛けに変えてしまうようなコメディのテンションが面白い。登場するキャラクタ達もエッジが立っていて魅力的。
『スナックバス江(17)』(フォビドゥン澁川)
老婆とチーママが切り盛りする場末のスナックを舞台にしたギャグ漫画。
癖の強いキャラクタ達による軽快な会話劇はゲスな内容ながらどこか共感してしまう親しみやすさがある。ネタのバリエーションも豊富かつクオリティも高水準で安定している。
『平和の国の島崎へ(9)』(濱田轟天/瀬下猛)
国際テロ組織の工作員だった男性が一般人になり平和な日本で暮らす物語。
主人公が圧倒的な能力で他を寄せ付けない展開は爽快。一時的ながら工作員活動を再開させられた主人公が日本での生活と自身の変化にどのような折り合いをつけていくか楽しみ。
『ひとりでしにたい(10)』(カレー沢薫/ドネリー美咲)
孤独死した叔母と同じ道を辿りたくない35歳の独身女性を主人公に日本の社会問題を描く物語。
子供を産む産まない希望が夫婦間で異なるというシビアな状況がリアリティたっぷりに描かれている。復讐めいた妻の言動にはもはや恐怖さえ覚える。
『ブルーピリオド(17)』(山口つばさ)
高校2年時に絵を描く楽しさに目覚めた少年が芸術に打ち込む物語。
将来への決意と憧れとの別離という本作にとって重要なターニングポイント2つが、主人公の心理の大きな揺れも含めたエモーショナルな演出とストーリーで描かれており素晴らしかった。
『ダーウィン事変(9)』(うめざわしゅん)
人間とチンパンジーの間に生まれた「ヒューマンジー」の少年が主人公の物語。
作品全体の流れを大きく揺るがす展開が立て続けに起こっており、高い緊迫感が持続する強いストーリー構成。難解なテーマと絡み合った設定を今後どのように収束させていくか楽しみ。
『秘密法人デスメイカー(1)』(鰻田まあち)
ヒーローからの被虐願望がある怪人と彼女から生み出された怪人達との日常を描いたコメディ。
一般的な倫理基準からするとアウトよりを攻めているネタチョイスがスリリングで強烈。メタも交えた型にはまらないお話の構成もユニークで斬新な読み味。
『宙に参る(5)』(肋骨凹介)
夫(人間)を亡くした女性(人間)とその息子(ロボット)との宇宙旅行を描いたSF作品。
回転式宇宙船の構造や暗号技術などオリジナリティの高い近未来SF描写が作り込まれておりリアリティがある。ロジカルな雰囲気が強い中で人情味のある人間ドラマの強度も高い。
『あんじゅう(3)(完)』(幾花にいろ)
しっかり者とがさつ、タイプの違う二人の社会人女性のルームシェア生活を描いた作品。
リラックスできて素が出せる、お互いに気の置けない二人の関係性が現実感のある掛け合いややり取りの中で描かれておりゆったりした雰囲気が素敵な作品だった。
『しすたれじすた(1)』(岡田麿里/オジロマコト)
アイドル達の衣装を繕うデザイナー女性とその家族との歪な関係と交流を描く物語。
主人公の挫折からの再起とバラバラだった家族が新たな形での結束が鮮やかに融合したストーリー構成が見事。活き活きしたキャラクタの表情や感情表現も素晴らしい。
『そういう家の子の話(1)』(志村貴子)
宗教二世の若者達が仕事、結婚、独り立ちなどの人生の岐路において思い悩む姿を描く群像劇。
特殊な家庭事情という類似の環境で育ってきた主人公達がそれぞれのスタンスで自分の人生に向き合う姿を描き分けるキャラクタ描写力が素晴らしい。
以上が今月発売の作品、以下はそれ以外。
『怪獣を解剖する(上下)』(サイトウマド)
かつて大災害を巻き起こした怪獣の死骸を調査する科学者の女性が主人公の物語。
現実の社会問題を入り混ぜた怪獣の設定は独自性が高くロジカルに作り込まれており非常によくできていた。上下巻通したストーリーも起伏があって綺麗にまとまっていた。
『解剖、幽霊、密室』(サイトウマド)
別途上下巻の単行本にまとめられた『怪獣を解剖する』のプロトタイプ版も収録された作品集。
斬新な漫画表現やユニークな題材など作者による模索の姿勢が感じ取れて興味深い。収録作では『複層住戸』のトリッキーな仕掛けと画面がお気に入り。










































