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2025年12月読んだ漫画の中でオススメ作品のまとめです。 

『ワールドトリガー(29)』(葦原大介)

異次元からの侵略者である近界民と戦うボーダー達を描いた戦略バトル物。
膨大な数のキャラクタ達それぞれを個性的で奥行きのある人物として描きつつ、独特な作品ルールの中でロジカルな戦いを展開するストーリー構成力は相変わらずすさまじい。


『逃げ上手の若君(23)』(松井優征)

生きる英雄と殺す英雄、北条時行と足利尊氏の生死を賭けた鬼ごっこを描く物語。
敵キャラであっても格を下げない華のある散り際の描き方が誠実で素晴らしい。物語も最終盤の雰囲気。主人公一行と宿敵との決戦をどのように描いてれるか楽しみ。


『ふつうの軽音部(9)』(出内テツオ/クワハリ)

渋めの邦楽ロック好きの少女を中心に高校軽音部の活動を描く物語。
主人公の心境の変化も含めて、個性豊かなキャラクタ達が繰り広げる人間模様が広がってきて楽しい。トリッキーなキャラクタの暴走も物語の展開に合わせて上手く制御されている印象。


『サンキューピッチ(4)』(住吉九)

ある制約を抱えたピッチャーの少年を中心に曲者揃いの野球部を描く高校野球物。
試合の中で相手校と知略戦を繰り広げながら形勢が二転三転する展開の制御が巧み。強烈な個性のキャラクタ達にも上手く役割が与えられており構成がよく練り込まれている。


『来見沢善彦の愚行(1)』(ときわ四葩)

昭和40年代を舞台にスランプの漫画家と漫画家志望の青年との奇妙な関係を描く物語。
急転直下でドラマティックな構成の第一話から綱渡りのような展開が続くストーリーがスリリング。絵柄含めて当時の漫画創作現場へのリスペクトも随所に感じ取れる。


『野球・文明・エイリアン(2)』(へじていと/山岸菜)

聡明な男子大学生と超野球好きの女子のカップルがエイリアンに野球を教える物語。
サバイバルや科学知識に文明の構築、異星人との交流という要素だけでも濃い内容ながら、そこに野球がぶっこまれて形成されるカオスな雰囲気が楽しい。


『こわいやさん(2)』(カメントツ)

可愛らしい動物が住む「どうぶつ」村にある怪談を販売する「こわいや」が舞台の物語。
オムニバス形式で進んでいた作中作が徐々に繋がり奇妙な世界観が明らかになってきた。枠外を使ったメタ演出などホラー描写も毎回きっちり怖くて強度が高い。


『マトリの推し事 芸能人の家宅捜索をやりたくて(2)』(清家孝春/廣畑徹)

華やかな芸能人を推すことが生きがいの麻薬取締官女性が自分の推しを捜査する物語。
中毒者でさえドン引きさせる行動力で推しへの愛を振りかざして暴走する主人公のキャラクタが強烈。麻薬取締官の業務描写も興味深い。


『平成敗残兵すみれちゃん(8)』(里見U)

元アイドルの31歳女性が従弟の男子高校生にプロデュースされて再始動する物語。
基本的に本気でダメ人間ながら芯の通った強さのある主人公は魅力的。時代遅れの仕事のやり方を続けて周りから疎まれる新キャラなど登場人物の痛々しさにリアリティがある。


『彼は友達(2)』(浦野月鼓)

「絶対に好きにならない」と約束の上でクラスメイト男子と友人になった女子を描く物語。
人との距離感や高校のクラスという狭いコミュニティの中での人間関係に思い悩む若者達の姿が丁寧かつ面白おかしく描かれている。表情豊かなキャラクタ達の感情表現が印象的。


『あくまでクジャクの話です。(6)』(小出もと貴)

恋愛に悩む男性教師と生物学を通して恋愛の悩みに答える変な女子高生との交流を描く物語。
恋愛成就のためには手段を選ばない主人公がパワフルでキュート。こじつけのような恋愛に関する生物学の例えもその強引さが面白い。


『じゃあ、あんたが作ってみろよ(4)』(谷口菜津子)

婚約者にフラれたステレオタイプな男女観を持った男性が自分の価値観を見つめ直す物語。
生まれ育った環境によって形成されてしまう男女観や家庭観が軽やかかつヘビーに描かれておりリアリティがある。主人公二人の関係性がどうなるか楽しみ。


『ホテル・メッツァペウラへようこそ(7)』(福田星良)

フィンランドのホテルで働くことになった訳あり日本人青年が主人公の物語。
雄大で厳しい雪国の自然の中だからこそ生まれる温かい交流が鮮やかに描かれていて素敵。フィンランド独特のグルメや文化に関する描写も興味深い。


『かわいすぎる人よ!(4)』(綿野マイコ)

素直でしっかり者の少女と容姿端麗で姪っ子を溺愛するおじ、同居する二人を描く物語。
お互いのことを尊重し合う主人公二人の関係が尊い。二人の空気が周囲の人々に伝播していく雰囲気も含めて、この上なく優しい世界で読んでいて癒される。


『現象X 超常現象捜査録(2)』(温泉中也)

超常現象がかかわる事件を捜査する亜人女性と国家警察男性のコンビを描く物語。
ハードボイルドな雰囲気の捜査過程やシニカルな掛け合い、犯人の悲劇的運命、解決に至るまでのドラマティックなストーリー構成など各要素のクオリティが高い。


『げにかすり(3)』(迫稔雄)

元プロボクサーの男性がプロモーターとしてボクシング界で成り上がっていく物語。
凄まじい熱量の画面と曲者揃いのキャラクタ達、一筋縄ではいかないトリッキーなストーリーなど、熱量溢れる作風が力強い。ボクシング興行の裏側に関する描写も興味深い。


『ダイヤモンドの功罪(9)』(平井大橋)

規格外の才能ゆえに野球を楽しむことが許されない少年が主人公の物語。
純粋無垢だった主人公が周囲とのすれ違いや軋轢の末に悪い方向に堕ちていく姿は強烈。集団における険悪な雰囲気や打算的に動く大人達の姿の描写にもリアリティがある。


『レッドブルー(16)』(波切敦)

ある理由から総合格闘技を始めた元いじめられっ子の少年を主人公とした物語。
強敵との戦いの中でも独特のキモい思考を展開する主人公のメンタルに関する描写がユニーク。寝技含めた細かい攻防も描かれており総合格闘技題材の作品として誠実な印象。


『ミハルの戦場(3)』(濱田轟天/藤本ケンシ)

世界大戦後に分割統治される日本を舞台に狙撃手の少女と観測手の男性コンビを描く物語。
他国の占領下におかれた人々の貧しい生活や価値観の変異にリアリティがある。


『ダーウィン事変(10)』(うめざわしゅん)

人間とチンパンジーの間に生まれた「ヒューマンジー」の少年が主人公の物語。
新たな事実の発覚やキャラクタ同士の関係性の変化などがストーリーの中に上手く組み込まれており緊迫した展開が続く。ハッタリ利かせたリアリティの演出も見事。


『ワンダンス(15)』(珈琲)

吃音症の少年と言語以外での表現力が豊かな少女を主人公にした高校ダンス部物。
主人公二人のダンサーとしてのステージが上がりそうなタイミングで関係性の変化も描いていくストーリー構成は巧み。高校生達の各々のダンスへのスタンスもよく作り込まれている。


『焼いてるふたり(22)』(ハナツカシオリ)

BBQ好きの男性としっかり者のようで抜けている女性との夫婦生活を描いた作品。
主人公夫婦とその周囲の人々の平和な日々は眺めていて癒される。ストレスなく読める良いコメディ。家庭料理の調理過程も丁寧に描写されていて実際に再現してみたくなる。


『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん(14)』(服部昇大)

邦画好きな女子高生が賛否両論ある邦画を紹介する映画コメディ。
好きな要素や面白い点の言語化が上手く邦画にかぎらずコンテンツをオススメする際に参考になる。主人公二人のピュアな恋愛模様も微笑ましくて可愛い。


『劇光仮面(8)』(山口貴由)

大学時代に特撮研究会に所属していた男性とその仲間達を描く物語。
特撮に本気で取り組む主人公達の狂気と現実に顕現した怪物の暴走がぶつかるストーリー、落ち着いた文章でぶっ飛んだ内容のモノローグ演出やグロテスクな描写など唯一無二の山口貴由ワールド。


『本田鹿の子の本棚 46億年寓話篇』(佐藤将)

クレイジーな読書趣味の娘の本棚を盗み見る父親とぶっ飛んだ設定の作中作を描くコメディ。
創作におけるお決まりをメタった変化球ネタがてんこ盛りでバリエーション豊か。このスタイルの単話完結物でシリーズ10冊以上描かれていることに驚く。


『今日も吹部は!(4)(完)』(宮脇ビリー)

野球部から吹奏楽部に転部した少年と全然まとまりのない部員達との交流を描くコメディ。
ハイテンポな掛け合いのテンションは維持しつつ主人公とメインヒロインのヘンテコな関係性にいちおうの決着をつけて綺麗に大団円。良い作品でした。