
2026年5月読んだ漫画の中でオススメ作品のまとめです。
『逃げ上手の若君(25)』(松井優征)
生きる英雄と殺す英雄、北条時行と足利尊氏の生死を賭けた鬼ごっこを描く物語。
強烈なメタ表現や長期伏線の回収、攻守逆転の構図など、鮮やかな漫画演出やストーリー構成の巧みさは職人芸の域。長編ストーリーの佳境としても素晴らしい展開。
『呪術廻戦モジュロ(3)(完)』(岩崎優次/芥見下々)
『呪術廻戦』本編から68年後の近未来を舞台に呪術師と宇宙人の会合を描くスピンオフ作品。
原作から続く作品世界の根底にかかわる設定に大きく踏み込んだり、原作キャラを活躍させたりと、続編に近いスピンオフとして素晴らしい作品だった。
『野球・文明・エイリアン(4)(完)』(へじていと/山岸菜)
聡明な男子大学生と超野球好きの女子のカップルがエイリアンに野球を教える物語。
もともと突拍子もない設定が思いもよらない方向に進んだ終盤の展開はぶっ飛んでいて面白かった。本作にしか描けない世界を見せてくれたユニークな作品でした。
『来見沢善彦の愚行(2)』(ときわ四葩)
昭和40年代を舞台にスランプの漫画家と漫画家志望の青年との奇妙な関係を描く物語。
各人の思惑が交錯するストーリー展開はスピード感があって素晴らしい。キャラクタの緊張感が伝わってくるスリリングな読み味はサスペンスとして上質。
『税金で買った本(19)』(ずいの/系山冏)
ひょんなことから図書館で働くことになったヤンキー少年が主人公の物語。
正社員と派遣、管理者と実務者という立場の違いに起因した職場内の軋轢など、お仕事物としてリアリティがある。図書館業務に関する描写もマニアックながら興味深い。
『チー付与(20)』(業務用餅/kisui/六志麻あさ)
物質を強化する能力を持つ青年と彼が所属する冒険者団体の人々を描くファンタジー作品。
トリッキーな能力バトルと不条理成分強めのギャグ、国や種族間の争いを描くスケールの大きなストーリー、強めのメッセージなどが混在していてカオスな読み味。
『Vの食卓(1)』(山口八三)
血液ではなくビーツを食べる吸血鬼と有機農家の青年との奇妙な関係を描いた作品。
自信家でやや強引な吸血鬼と大らかながら抜け目ない青年、二人の会話ややり取りに独特のテンポがあって面白い。有機農業や野菜に関する描写も詳細かつ丁寧で興味深い。
『ウリッコ(3)』(殺野高菜/大森かなた)
漫画喫茶に住み売春して生活費を稼ぐ女性が人生一発逆転を目指して漫画を描き始める物語。
生きる意味が何もなかった主人公が漫画創作という僅かな希望にすがり全てを捨てて打ち込む姿が壮絶。衝撃的な展開から彼女の人生がどちらに転がっていくか目が離せない。
『虐幸のくるちゃん(1)』(木陰ひな田)
母親の機嫌を伺うことを最優先に生きるように育てられた少女と家族との歪な関係を描く物語。
歪んだ価値観を植え付けられて無自覚に母親最優先で動く主人公の言動がホラーめいている。そんな彼女の献身に喜びを覚えている母親もねじ曲がった価値観で不気味。
『怪怪ギギギギギ(2)』(うぐいす祥子)
怪異現象が起こる立ち入り禁止の地域の謎を探ろうとする高校生3人を描くホラーコメディ。
生命の危機クラスの怪異に遭遇しても勢いで何となく生き残っていくキャラクタ達の生命力の強さが面白い。ホラーなのに何とかなるだろうという妙な安心感がある。
『海が走るエンドロール(9)(完)』(たらちねジョン)
65歳の女性がある青年との出会いをきっかけに映画製作を志す物語。
主人公と青年の関係を上手くまとめ上げ、サブキャラクタ達のエピソードも綺麗に消化して爽やかなラスト。情緒的でエモーショナルな漫画表現が光る良い作品でした。
『司書正(4)』(丸山薫)
膨大な書の情報を暗記した抜け殻のような男を中心に繰り広げられる古代中国宮廷劇。
宮廷内での権力争いに加えて、国家の過去や他国との関係にもストーリーを広げつつ、その中心に司書正というキーを配置してるのが上手い構成。練り込まれた世界観が魅力的。
『いやはや熱海くん(5)』(田沼朝)
顔が綺麗で男の人が好きな惚れっぽい男子高校生と周囲の人々を描く物語。
素直で表裏のない主人公には容姿だけではない魅力があり、周囲がそれに気づいて彼に惹かれていく人間模様が素敵。関西弁で繰り広げられる掛け合いも独特の空気があって面白い。
『虚構推理(25)』(片瀬茶柴/城平京)
怪異たちから知恵の神として慕われる義眼義足の少女を主人公にした怪奇ミステリ。
ぶっ飛んだ設定がごちゃ混ぜになってカオスな雰囲気だった今回の作中作に対して、強引とも思える理由付けで正当性を持たせようとしてくるのがトリッキーで本作らしい。
『写らナイんです(8)』(コノシマルカ)
霊を引き寄せる体質に悩む少年と霊感ゼロだけど心霊写真を撮りたい少女が主人公の物語。
ライトな怪奇ホラーギャグの中に時々挟まる不条理ギャグのナンセンス具合が強くて面白い。生死にかかわるような怪奇検証も勢いで解決していくテンションの高さも素敵。
『ハイこちら解奇部です(1)』(シマ・シンヤ)
警察から依頼を受けて呪いにまつわる事件を解決する老婆と青年コンビを描く物語。
ビジネスライクでドライな雰囲気ながら人と怪異に寄り添って丁寧に仕事をこなしていく主人公二人の姿が魅力的。性格も能力も異なる二人の補い合うバディの関係性も素敵。
『ドッグスレッド(8)』(野田サトル)
夢が潰えたフィギュアスケータの少年がアイスホッケーに舞台を移して戦う物語。
馴染みのない競技であっても、競技のルールや選手の動き、さらには競技自体の魅力もわかりやすく描く描写力の高さが光る。一癖二癖あるキャラクタ達も皆魅力的。
『げにかすり(4)』(迫稔雄)
元プロボクサーの男性がプロモーターとしてボクシング界で成り上がっていく物語。
精緻な作画で描かれるボクシングシーンには臨場感があり迫力満点。ハッタリ利かせて誇張された描写にもリアルで力強い画面により説得力が持たされている。
『平成敗残兵すみれちゃん(10)』(里見U)
元アイドルの31歳女性が従弟の男子高校生にプロデュースされて再始動する物語。
基本的にはダメ人間で取り返しのつかないミスもしながら、決める時にはビシッと決める主人公の落差の激しさが面白い。サブキャラ達も癖が強くて個性豊か。
『みちかとまり(4)(完)』(田島列島)
田舎に住む少女と不思議な力を持ったもう一人の少女との交流を描いた作品。
夢と現実が入り混じるような奇々怪々なお話が進み、読者も主人公も詳細は理解しないものの、ふんわりと収まるところに収まったストーリーが不思議な読み味だった。
『歌舞伎町カラオケ店員としくにさん(2)』(竹内佐千子)
ある目的を持ったカラオケ屋の店員とその店を訪れる様々な訪問客を描く物語。
現代日本社会の負の側面を写すような人々が毎話登場し、彼らの生き辛さや救いのなさにリアリティがある。謎が謎を呼ぶストーリー構成も面白い。
『君と宇宙を歩くために(6)』(泥ノ田犬彦)
ヤンキーの少年と転校生のもう一人の少年、「普通」ができない二人を描く物語。
本作で初めて使われる強い言葉で明確な敵意を描いた上で、敵意への対処に思い悩む主人公の成長した姿を描くストーリー構成が素晴らしい。題材に対し誠実で真摯な作品。
『ブルーピリオド(19)』(山口つばさ)
高校2年時に絵を描く楽しさに目覚めた少年が芸術に打ち込む物語。
相手の気持ちまで想像し過ぎるキャラクタ達が思いをぶつけあう姿は青春成分強め。将来の目標を決めた主人公が今後の物語の中でどのような道を歩んでいくかも気になるところ。
『ローズ ローズィ ローズフル バッド(7)』(いくえみ綾)
ゆるキャラ漫画が代表作のアラフォー女性漫画家が少女漫画を描くために奮闘する物語。
仕事に打ち込むと決心しながらも恋に後ろ髪を引かれる主人公の乙女具合やそんな中でも何だか抜けた雰囲気が愛嬌があって魅力的。
『ザ・バックラッシャー(2)』(岡田索雲)
自身の正しさを証明するために変身ヒーローとして活動する44歳の無職男性を描く物語。
極端な思想を持つ人物が登場しては退場するストーリーは予想を裏切る展開が多くてスピード感がある。周囲に振り回される主人公の思想の頼りなさも滑稽。
『まなざし珠子の自由研究(1)』(乃木坂太郎)
事故死した教員を生き返らせるための自由研究に本気で取り組む少女と仲間達を描く物語。
トリッキーな物語の導入から徐々に事件の背景が明らかになり、想いもよらない方向に話が進んでいくストーリー構成はサスペンスとしてよく練り込まれている印象。
『下足痕踏んじゃいました(7)』(麻生みこと )
誘拐などの凶悪事件を担当する新米刑事とパートナー先輩女性とのコンビを描いた作品。
犯罪事件の捜査現場という馴染みのないシチュエーションながら、描かれる犯人と被害者、刑事達は妙に人間臭くてコミカルな会話の様子には親近感さえわく。










































